M&A

2020年最新版日本企業の大型M&Aランキング!1000億円超は22件も!

最近、大戸屋とコロワイド、いきなりステーキとペッパーランチ等、なじみのある企業同士がM&Aを実施してニュースに取り上げられることが多くなったこともあり、M&Aを身近な話題に感じている方も増えたのではないでしょうか。

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実際、M&Aの件数は近年増加傾向にあり、2019年の日本企業におけるM&A成立件数は前年比238件増の4088件と、2012年から8年連続で増加しています。中でも上場企業によるM&A成立件数は過去最高件数を記録しました。

本記事では2019年に行われた大型M&Aランキングトップ10から、2019年にM&Aが多数行われた理由は一体何なのかという点について紐解いていきます。

2019年に行われたM&Aについて

2019年1月~12月までの1年間で、日本企業によって行われたM&Aの総件数は4088件となり、過去最多を記録しました。

中でも、日本企業同士によるM&Aは過去最高の3000件、日本企業と海外企業のM&Aでは、日本企業が海外企業を買収するM&Aが826件、海外企業による日本企業の買収件数は262件となっています。M&Aの成立件数自体も2012年から8年連続で増加しており、2019年のM&A市場では1000億円を越えるM&Aが24件も成立するといった結果になりました。

国内企業同士のM&A【IN-IN型】

M&Aの中でも、国内企業同士で行われるM&Aを『IN-IN型』と呼びます。2019年に行われたIN-IN型の案件は全体で3000件で、2017年から3年連続で件数が増加しています。

とりわけベンチャー企業のM&Aが目立っており、2019年に行われたIN-IN型M&Aでは、ベンチャー企業のM&Aが3分の1を占めています。また、事業承継を目的としたIN-IN型M&Aは606件と前年比14.6%増です。

国内企業による外国企業の買収【IN-OUT型】

IN-OUT型とは、日本国内の企業が海外企業を買収するM&Aのことです。国内ではマーケットの縮小を見据えて海外に向けた買収を進めたり、グローバル化等の要因から、海外進出を求めて海外企業の買収を行ったりする企業が増えています。

2019年のIN-OUT型のM&A案件は826件、こちらも2014年から6年連続で増加しています。この826件のうち、アジアに関する者あ303件、北米では258件、欧州は195けなり、その他の地域では70件です。内訳は、北米が258件、欧州195件その他の地域が70件となり、アジアの企業への関心の高さがうかがえます。

ただし、取引金額的にはヨーロッパや北米のほうが大きいのが現状です。

海外企業による国内企業の買収【OUT-IN型】

OUT-INとは、海外企業が日本国内の企業を買収するM&Aを指します。2019年に行われたOUT-INに関するM&A案件は262件で、中でもベンチャー企業に対する買収が42.4%と最も高い結果になりました。

日本のベンチャー企業が海外企業から注目され始めていることがうかがえます。

M&Aランキングトップ10【2019年】

それでは早速、2019年に行われた日本企業に関するM&Aの買収金額が1000億円を越えた案件22件をご紹介し、そのうちトップ10の取引をピックアップして解説していきます。

2019年に行われたM&Aのうち、1000億円を越えた買収金額で取引をされたのは下記の22件です。

 

順位 金額(円) 買収企業 被買収企業
1 1兆2,096億 アサヒグループホールディングス CUB Pty Ltdなど123社(オーストラリア)
2 1兆1,806億 ソフトバンク LINE
3 9,640億 昭和電工 日立化成
4 5,837億 ノバルティス(スイス) シャイアー(武田薬品工業)
5 5,000億 三菱商事、中部電力 エネコ(オランダ)
6 4,800億 三菱UFJ銀行、東銀リース DVB Bank SE(ドイツ)
7 4,565億 ソフトバンク ヤフー
8 4,009億 Zホールディングス ZOZO
9 3,340億 大日本住友製薬 マイオバント・サイエンシズなど5社(イギリス・スイス)
10 3,213億 東京センチュリー アビエーション・キャピタル・グループ(アメリカ)
11 1,745億 ユニゾHD従業員 ユニゾHD
12 1,477億 HOYA ニューフレアテクノロジー
13 1,432億 旭化成 ベロキシス・ファーマシューティカルズ(アメリカ)
14 1,403億 米フォートレス・インベストメント・グループ ユニゾHD
15 1,300億 第一生命ホールディングス 生保グレートウェスト(アメリカ)
16 1,243億 日本製紙 包装資材大手オローラ(オーストラリア)
17 1,162億 DIC 化学大手BASF(ドイツ)
18 1,161億 ホンダ ショーワ
19 1,138億 ブリヂストン トムトムテレマティクス(オランダ)
20 1,127億 ホンダ ケーヒン
21 1,000億 日本電産 オムロンオートモーティブエレクトロニクス
21 1,000億 東海カーボン COBEX(ドイツ)

 

M&Aでの企業買収金額1位のM&Aから順に解説していきます。

・アサヒグループホールディングスのM&A

2019年7月、アサヒグループホールディングスは、ベルギーの企業がオーストラリアで展開するビール製造販売事業を取得するため、グループ内の会社で同事業を行っているすべての会社の株式を買収し、子会社化する契約を締結しました。

子会社化する関連会社は、ベルギーの大元の企業をはじめ、全123社にも及ぶ超大型M&Aであり、買収金額も1兆2096億円となります。この場合は、一社を高額で買い取ったというよりは、関連会社すべてを買い取った形になるので、買い取る会社が膨大である分、取引金額も高額となったと言えるでしょう。

 

この買収により、アサヒグループホールディングスは、ブランドビールを増やしより競争力を高める方針です。

・ソフトバンクのM&A

2019年11月、ソフトバンクグループで、ヤフーの親会社であるZホールディングスによりヤフーとLINEの経営統合という発表が行われました。

ソフトバンクは発足当初からM&Aに巨額の投資をしており、M&Aを繰り返すことによって経営規模を広げてきた企業といっても過言ではありません。

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このM&Aでソフトバンクが要した買収金額は、1兆1806億円で、統合により、ZホールディングスとLINEそれぞれの経営資源を集約する方針です。ソフトバンクグループは、経営統合後の統合会社グループにおいて、各事業でシナジーを追及するとともに、『日本・アジアから世界をリードするAiテクカンパニーを目指す』としています。

 

・昭和電工のM&A

2019年12月、大手化学メーカーである昭和電工は、同業種で上場企業の日立化成をTOBで子会社化すると発表しました。この取引は2020年4月に実施され無事に完了しており、昭和電工が要した資金は時価総額の2倍以上で、約9640億円です。

TOBの発表時点では、昭和電工の時価総額が約4500億円、日立化成は8500億円でしたので、資金規模の小さいほうが親会社となる珍しい形のM&Aの事例でもあります。

 

昭和電工の事例が注目を浴びたことにより、今後はこうした逆TOBのような事例も増えてくるかもしれません。

 

・ノバルティスのM&A

ノルバティスと、武田薬品工業のM&Aは、OUT-IN型のM&Aで、2019年5月に発表され、7月に実行されました。

ノルバティスに売却したのは、武田薬品工業の中のシャイアーが販売してきたドライアイ治療薬です。2018年二は世界で3億8800万ドルを売り上げており、製品の他、アメリカとカナダを拠点とする従業員400人もノルバティスに移籍する形になります。

 

武田薬品工業はこのM&Aにより、ノルバティスから約5,837億円の売却金額を受け取っています。

・三菱商事と中部電力のM&A

三菱商事と中部電力は2019年11月に、オランダの電力会社エネコを買収すると発表しました。三菱商事が80%、中部電力が20%の出資をして、共同出資会社を設立し、その新会社がエネコの全株式を取得することで買収するというものです。

この取引は2020年5月に終了しており、買収金額は約5000億円に上りました。

エネコの買収に至ったのは、エネコが発電事業のみならず電力やガスの売買とr匹を手掛けており、国内外問わず事業展開をしているためです。電力の小売契約数は、総計600万を越えており、同企業を買収することで、市場拡大を狙うのが目的であると言えるでしょう。

三菱UFJ銀行・東銀リースのM&A

2019年3月、三菱UFJ銀行はドイツの大手銀行であるDZバンクの子会社から航空機ファイナンス事業を事業譲渡を受けると発表しました。事業譲渡では、三菱UFJ持分法適用会社である東銀リースもうわ割り、実際の事業は東銀リースが親切する会社が受け継ぐ形となります。

この買収は2019年11月に完了しましたが、三菱UFJ銀行と、東銀リースが要した資金は4800億円となりました。

航空機ファイナンス事業の巨額買収をしたのは、今後航空機分野の将来性が高いと見たからで、民間の予測によると、世界の民間航空機の需要は2023年には2018年の1.5倍になると予想されています。三菱UFJ歯2018年に始めた経営計画で欧州の主要施策として『航空機』を見据えていたために、今回の買収に至ったと考えられます。

・ソフトバンクのM&A②

ソフトバンクのM&Aは2位にも出てきましたが、2019年5月にソフトバンクがヤフーを約4565億円で連結子会社とした案件もランクインしています。

買収の目的は、両社のサービス群、IoT~得られる膨大な量と種類のマルチビッグデータを利用することでより便利なサービス提供を行うためです。

合わせて、法人個人問わず、各産業分野に置ける様々な課題解決をするとともに、事業成長支援をする革命的ソリューションを提供していくとしています。

・ZホールディングスのM&A

2019年9月、ZホールディングスがZOZOをTOBによって連結子会社化すると発表しました。ZホールディングスのTOBは約4009億円で取引され、2019年11月に無事完了しています。

そして、その後11月にソフトバンクグループがLINEとZOZOをグループに加えました。ここまでのランクにソフトバンクは計3度程出てきましたが、いずれも巨額での取引が行われており、M&Aで先行投資をすることで、国内外代表する企業として成長したことが分かります。

・大日本住友製薬のM&A

2019年11月、大日本住友製薬は、イギリスとスイス両方に本社を持つ製薬ベンチャーのロイバントサイエンシンズとの間で戦略的提携契約を締結したと発表しました。

ロイバントサイエンシンズへの株式10%以上の出資、ロイバント製薬子会社5社の全株式取得、ヘルスケアテクノロジープラットフォームの取得の総額が約3340億円となります。

中でもこのヘルスケアテクノロジープラットフォームは医療とITを駆使した新たなヘルスケアビジネスで、大日本住友製薬はDXの一環として、ロイバントサイエンシンズの同事業を取得したと考えられます。

DXとは?これからの企業に求められるデジタル化について

・東京センチュリー

東京センチュリーは2019年9月、アメリカの航空機リース大手である、Aviation Capital Group LLC(アビエーション・キャピタル・グループ、カリフォルニア州)を買収すると発表しました。これまでに、東京センチュリーはACGの24.5%の株式を保有しておりましたが、残りの株式を3213億円で取得することで完全子会社化する方針です。

 

今回の子会社化により、東京センチュリーは東京センチュリーグループにおけるオペレーティングリースをはじめとする航空機ファイナンス事業と、航空機部品・サービス事業、エンジンリース事業等、他の航空機関連事業とのシナジーを高めて、航空機マーケット全体の成長を取り込むことで、収益機会の拡大を企図していくとしています。

 

M&Aが2019年に多数行われた理由

買収後の手続きに失敗しないためのポイント

このように、2019年は1000億円を越える高額なM&A取引が20件以上も行われた上に、総M&A成立数も過去最多という結果になりました。

その大きな理由としては、2つ考えられ、

1つは、2020年に東京オリンピックが開催される予定であったため

2つ目は、デジタル化に伴う新規事業参入

です。

 

・東京オリンピックが開催される予定であったため

もともと2020年は東京オリンピックが開催される予定でした。そのため、航空機事業の買収が目だったたり、海外事業とのM&Aが多く行われたということが考えられます。実際、大規模な金額の取引ではなくとも、警備会社や訪問医療マッサージなどの事業のM&Aも多く行われています。

例えば、セコムは東芝の大規模設備の警備ノウハウを獲得することを目的に、東芝セキュリティを完全子会社化しました。これは、セコムが持つ警備ノウハウと、東芝の大規模設備に特化した警備ノウハウを合わせることで、より付加価値の高いサービス提供を実現できるとされたからです。

またセントラル警備保障によるメンテナンス企業の子会社化や、アルソックによる訪問医療マッサージのケアプラスの子会社化といった、事業拡大のためのM&Aも行われています。

いずれも、東京オリンピックにおいては、警備面の強化や選手のケア等が必要になるため、それらを見越したM&A戦略であったことが予想できます。

・デジタル化に伴う新規事業参入

先ほどの大型案件で解説した中にもいくつかITを導入するためのM&A事例はいくつか出てきましたが、AiやITの導入は今後の企業では避けては通れない道となることが予想されます。

企業のデジタル化の方針として、DXという用語がありますが、いわゆるITを活用することで企業における業務や人々の生活を便利に変革するという考え方を指します。今やAiやITに力をいれている企業の収益力が増しており、人材不足やコスト削減が叫ばれる中で、今後それらのテクノロジーは避けられないと予想されています。

実際、大手企業でもDXを取り入れていない企業は約半数、中小企業では約8割です。これからデジタルを利用しなければ周りの企業において行かれる可能性が高いとされている中で、特に中小企業では高齢化や余剰資金の不足により、独自で大きな変革を行うのが難しい可能性もあります。

DXとは?これからの企業に求められるデジタル化について

しかし自社だけでDXを行うのが厳しいのであれば、協力できる仲間企業をみつけて技術や労働環境を高め合うことで、経営を持続させていくことも可能です。それにM&Aは非常に有効的で、IT導入の開発や投資を共同出資で進めていくことができます。

それだけでなく、ソフトバンクや大日本住友製薬などの事例のように、ITを導入している企業や事業を買収して、早期に新規事業に参入するということもDX化、デジタル化での成長戦略の1つです。

こうした取り組みを現在からしている企業が出てきているために、M&Aが増えているということも考えられるでしょう。

まとめ

本記事では、2019年に行われた日本企業の大型M&Aについての解説と、2019年のM&A成立件数が増えた例から考えられる、ビジネスを取り巻く環境の変化などについて解説いたしました。

1000億円を超える大型案件は22件にもなりましたが、M&Aへの投資規模の大小関わらず、今後、企業の成長戦略としてM&Aは必須の検討事項とも言えるでしょう。

経営者は今ある技術やノウハウの維持はもちろんのこと、従業員雇用の確保や長期的な成長戦略を立てることも重要な課題です。M&Aは企業の成長戦略として、新規事業参入のため、事業承継をするためなどに有効的で、今後もそれらを事由としたM&A案件は増えていくことが予想されます。もちろん、未来投資として、巨額の投資をする企業も増えてくるかもしれません。

今回は大型案件を中心に解説しましたが、今後は中小規模のM&Aでも戦略的なM&A等をピックアップして解説していきたいと思います。M&Aを検討中の方、M&Aに関するご質問のある方はぜひ下記のお問合せ窓口からお気軽にご相談ください。

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