M&A

事業承継とは?事業継承との違いや成功のポイントまで完全網羅で解説

事業承継は、国内企業のうち約6割が後継者不足に悩んでいる日本にとって、特に注目を集めています。

(出典:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p201107.html)

しかし、事業承継とは具体的にどういうことなのか、どのような流れで行われるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、事業承継に関する基礎知識や実際に後継者に引き継ぐまでの流れ、成功のためのポイントまで完全網羅して解説していきます。

事業承継とは

事業承継とは、現経営者が会社や会社の中の一部の事業を「後継者」に引き継ぐことです。

後継者とは、現経営者の家族はもちろん、現在従業員として働いている方や、家族や従業員でもない第三者になる場合もあります。

事業承継における「後継者」の対象によって、

  • 親族内承継 (親族)
  • 親族外承継 (従業員など)
  • M&A (上記以外の第三者)

の3つの方法に分かれます。

事業承継と事業継承の違い

事業承継と類似の言葉に「事業継承」というのがありますが、双方の違いは、「現経営者の精神を受け継ぐ」のか、「財産など具体的な”モノ”を受け継ぐ」のかというところになります。

極論、事業継承の場合は、後継者が経営を引継ぐことよって会社の方向性が変わる可能性もあるということです。

一方事業承継の場合は、現経営者の会社への思いなど精神的な部分も受け継ぐことになるので、後継者の意思によって会社の方向性が大きく変化することは多くありません。

事業承継の承継対象

  • 株式
  • 事業用資産
  • 知的資産

株式

事業承継では「経営権」を譲渡さなければなりませんので、「株式」も承継対象の1つとなります。

基本的には、後継者が対象企業の株式を買い取る方法で経営権を移行させますが、承継対象が親族の場合はその限りではありません。

事業用資産

事業用資産とは会社の財産のことで、今後後継者が経営を続けていくことができるよう、株式と同様に必ず譲渡します

ただし、会社の規模によっては、贈与税や相続税が膨大となるケースもあるかもしれません。。

資産の規模によっては膨大な税負担がかかる可能性がありますが、「事業承継税制」として税負担を軽減する国の施策も充実しているため活用するとよいでしょう。

知っておきたい事業承継税制〜事業承継税制のメリットとデメリット〜

知的資産 

現経営者が持っている経営に関するノウハウや知識など、知的資産も譲渡の対象です。

事業承継を行う時点で、会社に多くの資産があったとしても、後継者に経営を続けていくノウハウや知識がなければ、その後すぐに倒産してしまう可能性もゼロではありません。

そのため、現経営者が後継者に経営を譲り経営をリタイアした後でも安心して会社や事業を任せていくことができるよう、「知的資産」はより時間をかけて承継していく必要があると言えるでしょう。

事業承継と中小企業の現状

経営者の高齢化

中小企業庁のデータによれば、仮に現状を放置した場合は2025年には約245万人の経営者が70歳以上になると懸念されています。

そのため、経営者は50歳から定年を迎えるまでには後継者のめぼしを付けて、徐々に経営ノウハウを承継する準備をしておかなければなりません。

医療の発達で、100年生きられる時代になっているとはいえ、実際に働くことができる年齢といえば、限界値として60~70歳程度のため、早めの準備が必要です。

後継者不足問題

また、親族や従業員に経営を継いでくれる後継者がいない、「後継者不足問題」をかかえている企業も多くあります。

実際、帝国データバンクが2020年11月に発表した資料によれば、国内企業のうち65.1%の企業が後継者不在ということが明らかになりました。(出典:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p201107.html)

このまま後継者が見つからなければ、中小企業を中心に廃業が急増し、10年間に約650万人もの雇用が失われるとも危惧されています。

事業承継で利用できる税制度

経営者の高齢化や後継者不足問題をかかえる日本は、政府や各自治体も事態を重く受け止め積極的に事業承継をサポートする体制を整え始めています。

例えば、

  • 事業承継税制
  • 事業承継補助金

など、時期によっては様々な支援制度があります。

中には、国とは別軸で行っている自治体独自の支援制度もありますので、各種支援制度に関する情報はなるべく多く集め、活用できる制度は大いに活用していくと良いでしょう。

事業承継の3つの方法

親族内承継

親族内承継とは、現経営者の息子や娘、甥、姪など、いわゆる”親族”にあたる人物に事業を承継することです。

家族経営の小規模事業者によく見られる事業承継の方法で、従業員からの理解も得やすく、時間をかけて知的資産等の承継ができるのがメリットと言えるでしょう。

ただし、「息子だから」というような理由だけで後継者に指名してしまうと、経営者としての素質が著しく足りないなどの理由で、その後の経営が傾いてしまう可能性もあるので注意が必要です。

親族外承継

族外承継とは「親族以外の人物」に事業承継をすることです。”親族以外”という表現からすれば、多くの人物が該当するように感じますが、役員や従業員などへの承継をさすことがほとんどです。

社内に精通している人物を後継者として指名することで、これまでの企業のイメージや方向性を崩さずに経営を続けられることや、他の従業員からの了承を得やすいというメリットがあります。

一方その人物に事業や企業を買い取るだけの資金があるのかという点は、承継後の経営にかかわる部分でもありますので、あらかじめ確認をしておくようにしましょう。

M&A

親族にも社内の役員や経営者にも後継者の対象となる人物が居なかった場合、全くの第三者に経営を引き継ぐことを「M&A」といいます。

親族以外に引き継ぐという点では、M&Aと親族外承継は混同しがちですが、自社以外の他社に経営を引き継いでもらう方法だとお考えいただければ分かりやすいでしょう。

M&Aは親族内承継や親族外承継とくらべて、後継者候補の幅が広くなるため後継者不足問題解決に向けて注目をしている企業が増えているようです。ただし、他社との契約によって成り立つ部分や、なかなか理想の後継者が現れないといった面で、スムーズに進まない企業もあります。

M&Aで事業承継を行う場合は、専門家を通して取引を行うことも検討しておくとよいでしょう。

事業承継の主な流れ

事業承継の主な流れは以下の通りです。

  1. 会社の現状の把握(企業価値の算出など)
  2. 後継者候補のリストアップ
  3. 事業承継スキームを決める
  4. 事業承継計画の策定
  5. 株主や従業員に事業承継を行う旨を報告
  6. 経営改善や後継者育成
  7. 事業承継

会社の現状把握

事業承継では、まず初めに自社の現状を把握しておく必要があります。

  • 企業資産や債務
  • ノウハウ

などが、市場と比べてどのくらいあるのか事前に把握しておく必要がある項目です。

これらは売却価額は会社の資産や負債、ノウハウを元に算出されます。

後継者候補のリストアップ

企業としてどのくらいの価値があり、どのくらいの価額で譲り渡すことができるという目星がついたら、後継者候補のリストアップを行います。

親族内承継の場合は、後継者候補が幼いころから目星がつけられている可能性もありますが、親族外承継等の場合は、企業価値が算出されてから候補を決めることがほとんどです。

企業の方向性や、従業員からの信頼度などから選出されます。

事業承継スキームを決める

親族内承継の場合は、相続もしくは贈与という形で承継されますが、親族外承継やM&Aの場合は、事業承継の方法が複数あります。

例えば、下記のような方法です。

  1. 株式譲渡
  2. 会社分割
  3. 事業譲渡
  4. TOB

企業それぞれの方向性や後継者の意向などを加味しながら話し合いをして決定する必要があるでしょう。

事業承継計画の策定

どのようなスケジュール感で事業承継を行うのか、どのように後継者を教育していくのか、事業承継に関する計画を練っていきます。

後継者の素質ももちろん重要ですが、そもそも教育やその他事業承継に関わる施策が策定できていなければ、承継後の経営が傾いてしまう可能性もあります。

特に経営ノウハウの承継等、教育部分については特に念入りに計画を立てて行くようにしましょう。

株主や従業員に事業承継の実施報告

事業承継を行うことや各種スケジュール等が確実になってはじめて、株主や従業員に事業承継の実施を報告します。

事業承継を検討している時点で報告をしてしまうと、今後の企業の方向性に不安を感じて退職をする人が相次いだり、株価が下がってしまったりする可能性があるかもしれません。

そのため、基本的にはすべてが決定するまで関係者への報告は行いません。

経営改善や後継者教育

関係者への報告も終わり、本格的に事業承継を進めていく段階に入れば、事業承継計画に基づいて、承継を進めるための経営改善や後継者教育に取り組んでいきます。

事業承継のリスクと要因

後継者のスキル不足によって経営が傾く

後継者のスキルが不足していたために、事業承継後に経営が傾いてしまうリスクがあります

仮に、現経営者の父親が優秀な経営者として従業員からも取引先からも信頼されていたとしても、必ずしも後継者となる息子や娘が、同じような人物であるとは限りません。

誰を選ぶかという点は、事業承継において重要なポイントとなってくるでしょう。

税負担がある

事業承継では、どのスキームを利用しても結局は資産を譲渡することと同様ですので納税の義務が発生します。

後継者に税金を納められるだけの財力があるのかという点も検討しなければならない点となるでしょう。

逆に税負担が原因で承継後の経営がままならないという可能性もあるので注意が必要です。

従業員のモチベーション低下

経営者が変わることによって、今後の企業の方向性が変わってしまうのではないかという点をおそれた従業員のモチベーションが低下してしまう可能性があります。

更に、退職をしてしまったりすることもあるかもしれません。

従業員への報告はタイミングや伝え方を検討して、受け入れられやすい環境を作っていくことが重要です。

事業承継を成功させるためのポイント

早めに準備に取り組む

後継者不足問題が深刻になっていることはもちろん、事業承継自体に1年から数年の時間がかかるかのうせいがあるため、早めに準備に取り組まなければなりません。

親族内承継や親族外承継においても後継者を教育していく時間も必要になるうえ、M&Aでは企業間での複数の契約書取り交わしが必要です。

数か月で事業承継が完了するということはほぼありませんので、成功するためには必ず早めに着手するようにしましょう。

従業員へ周知するタイミングは適切なタイミングで

従業員に事業承継に関する事項を早めに共有してしまうと、不安になった従業員が会社から離れたり、株価が下がったりすることで事業承継の計画自体が白紙になる可能性があります。

特に、第三者企業が関わるM&Aでは、従業員が持つノウハウ等も譲受資産として検討している買い手企業も少なくありません

そのため、従業員や関係者へ周知を行うタイミングや伝え方は、念入りに検討したうえで行うようにしましょう。

適切な事業承継先を選ぶ

親族内承継でも親族外承継でも、M&Aでも、どの事業承継方法でも同様ですが、適切な後継者、事業承継先を選ぶことが何よりの事業承継成功への近道です。

どんなに早い段階から計画を練っても、後継者に経営者としての素質がなかったり、譲渡先の企業との折り合いが上手くいかなかったりすれば、その後の経営は傾いてしまうことになりかねません。

息子だから、娘だから、信頼している従業員だから、他に買い手がいないからといった安易な理由で後継者を選ぶのはご法度です。

専門家に相談する

事業承継に関する税優遇制度や利用できる補助金などは、自身で情報を集めることが難しかったり、どのようにすればその制度が適用されるのかわからなかったりする可能性もあるかもしれません。

また、M&Aに関しては1度の取引で何度も契約書を交わす機会があるため、素人目ではどのような内容であれば問題がなく、逆にどのような内容の記載があれば不利なのかというところが分からないこともあるでしょう。

いずれにしても、事業承継を行う際は専門家へ相談しながら進めることをお勧めします。

事業承継のご相談ならDX承継くんへ

本記事では「事業承継」の基礎知識として、

  1. 事業承継の基本概要
  2. 事業承継を取り巻く現状
  3. 事業承継の流れ
  4. 事業承継のリスクと成功のためのポイント

をご紹介しました。

国内企業のうち6割以上の企業が後継者不足問題をかかえていることもあり、今後は国の支援制度も手厚くなっていくのではないでしょうか。

また、親族、従業員等、現経営者に関わりのある人物への承継が難しい場合は、M&Aを実施する企業も増えていくでしょう。

「今はまだ事業承継について考えるのは早い」と考えている経営者様も、早めに行動をして満足な形で経営を譲渡できるよう計画を立てておくことをおすすめします。

DX承継くんでは、売却主様からのご相談はもちろん、事業や会社を買いたいという方からのご相談の両方を承っています。是非事業承継や事業を購入したいとお考えの方は下記のお問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。

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