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M&Aで交わす契約書は5種類!スムーズに進める方法と注意点を解説!

1回のM&Aにつき、交わす契約書の数は5つです。M&Aで交わされる契約書には、M&Aの契約に関するすべての事項が記載されているため、必ず細部まで何度も確認をしてから作成、締結をしなければなりません。これは、M&A規模の大小、交わす契約書の数に関わらず同様の事が言えます。

そこで本記事では、M&Aにおける5種類の契約書の解説と合わせて、契約締結をスムーズに進める方法と、契約締結時に注意しておきたい点について解説していきます。

M&Aにおける契約書の種類

M&Aを行う上で、交わす契約書は次の5種類です。

・機密保持契約書

・アドバイザリー契約書

・意向表明書

・基本合意書

・株式譲渡契約書

それぞれ解説していきましょう。

機密保持契約書

対象者:譲渡企業 譲受企業
契約締結の相手:M&Aアドバイザー

機密保持契約書とは、具体的なM&Aの方向性が決まる前の一番最初の段階で、譲渡企業、譲受企業それぞれがM&Aアドバイザーと交わす契約書です。

この契約書を簡単に説明するならば、「M&Aアドバイザーが今回のM&Aに関するやり取りのすべてを口外しませんよ」というものです。

株式公開をしている企業であれば特に、M&Aを検討していることが市場に流出してしまうだけでも、会社の株価に大きな影響を与えてしまう可能性があります。それだけでなく、経営者が変わったり、会社の方針が変わることを恐れた従業員が、複数人辞めてしまう事も考えられるかもしれません。

これらのリスクを防ぐために、一番初めに「機密保持契約書」が結ばれるのです。有効期限は一般的に1年から3年とされていますが、絶対的な制限はありませんので、M&Aが長引く可能性がある場合は、契約締結の前に確認する必要があると言えるでしょう。

アドバイザリー契約書

対象者:譲渡企業 譲受企業
契約締結の相手:M&Aアドバイザー、仲介業者

アドバイザリー契約書とは、M&Aを行うにあたって専門的な知識が必要な部分を手助けする「M&Aアドバイザー」や「仲介業者」と交わされる契約書のことです。

M&Aでは、複雑な取引スキームや複数の書類を作成しなければならない事から、煩雑な業務が多くあります。その点、M&Aアドバイザーに仲介を依頼することで、取引の進行管理や、手続きのアドバイス、契約書の作成支援、条件交渉なども行ってくれます。

本業の経営やその他業務にも専念できるうえに、双方の交渉を上手く取り持ってくれるので、トラブルの発生も防ぐことができるでしょう。

M&Aの専門家に依頼するメリットや、任せる役割とは

そのため、M&Aを行うほとんどの企業が、M&Aアドバイザーと「アドバイザリー契約書」を締結します。

意向表明書

対象者:譲受企業
契約締結の相手:譲渡企業の株主

意向表明書とは、譲受企業が譲渡企業の株主に対してM&Aの内容や条件を提出する資料のことです。

意向表明書は、具体的なM&Aスキームや希望買収価額などの条件が記載されており、譲渡企業は譲受先を選定する判断材料として利用することができます。

仮に、複数企業が譲受企業として名乗り出ている場合は、意向表明書を元にそれぞれの条件を照らし合わせることも可能です。

ただ、意向表明書は必ず提出が必要なものではないので、提出を省略するケースも少なくありません。

基本合意書

対象者:譲渡企業 譲受企業

基本合意書とは、それぞれの企業の株主がM&Aに関する条件を、おおむね合意した際に締結する契約書を指します。簡単に基本合意書を締結する目的は

①交渉内容の整理
②合意形成

です。

ただ、この時点では”おおむね合意”であるため、最終的には内容が少々変更になる可能性がありますが、双方の企業と株主との間で取引成立に向けた心理的・道義的拘束力を期待できます。

譲渡契約書

対象者:譲受企業
契約締結の相手:譲渡企業

譲渡契約書は、最終的なM&Aの成立にむけて締結する契約書です。具体的には、「譲受企業が譲渡企業に対して、譲渡対価を支払いますよ」ということを合意するものになります。

取引実行のための前提条件や譲渡企業に対する各種合意内容もここで示されるため、表明保証として非常に重要な要素となります。

仮に、前提条件が満たされない場合は、M&A自体が白紙になり、損害賠償が請求される可能性もあるため譲受企業は注意が必要です。

M&Aの契約締結をスムーズに進めるコツ

比較的大きなお金が動くケースも多いM&Aでは、交わすべき契約書も多くあります。M&Aの内容はそれぞれで違いますので、フォーマットがあるといえど、契約書の作成にかかる時間や、確認をする時間を考えれば、膨大な時間ともなりかねません。

少しでも早期にM&Aを成立させたいと考えている方、スムーズに契約を進めたいと考えている方は少なくないはずです。

ここからは、各種契約締結をスムーズに進めるコツを解説していきましょう。

M&Aのスケジュールをシミュレーションする

M&Aを行う上で、何かしらのトラブルが起こることは多々あります。そのような事態を想定しながら臨機応変に対応できるよう、シミュレーションをしておく事が重要です。

仮に、スムーズに事を進めたいからと行き当たりばったりに進めてしまっては、結局M&A統合完了までに時間がかかりM&Aの方向性がずれてしまう可能性もあります。

信頼できるM&Aアドバイザーを選ぼう

契約締結を進めていくなかで、仲介として間を取り持ってくれるのが「M&Aアドバイザー」です。レスの遅いM&Aアドバイザーや、何かと信頼ができないM&Aアドバイザーでは、契約締結のスピードを遅くしてしまうのはもちろんのこと、M&Aの契約自体が破棄になってしまうことも考えられます。

M&Aをスムーズに進めるためにも、M&Aアドバイザーの口コミを必ず確認しておくようにしましょう。

譲れない条件を明確化しておく

M&Aでは、譲受企業は少しでも安い値段で買いたいと思うのが普通ですし、譲渡企業は少しでも高い値段で売りたいと思うのが普通です。

条件交渉や契約を交わす際に、必ず売却価額の事については何度も話し合いが行われる事になるでしょう。

それぞれの意見もききつつ譲歩できる点とそうでない点を明確化しておくことが重要です。

M&Aの契約締結における注意点

また、M&Aの契約締結における注意点は以下のような事項があげられます。

デューデリジェンスを行う

一度契約書に署名をしてしまえば、それを取り消しにすることはよほどの事がない限り難しい事です。

契約書にサインをする前に、相手企業に隠れた借金がないのか、簿外債務がないのかなどを確認する「デューデリジェンス(事前調査)」を徹底することも忘れてはなりません。

デューデリジェンスの調査方法や意味とは?

仮に後々買収をしてから、債務が明らかになったとしても、契約を破棄することはできないので多額の借金を抱える事になってしまいます。

隅々まで契約書を確認する

M&A企業の中には、口頭で話をつけた内容以外に契約書のみに記載しているような条件を突きつけてくる企業もあるかもしれません。

譲渡企業、譲受企業ともに、相手企業が持ってきた契約書のなかの内容は必ずくまなく確認するようにしましょう。

契約書の作成はM&Aアドバイザーとともに

基本的に契約書の書類作成などはM&Aアドバイザーに委託して作成してもらうことが可能です。これは日々の業務が忙しい経営者にとって、非常にありがたい事ですが、任せきりにしてしまうと「この内容は知らなかった」などという認識違いが出てくる可能性もあるかもしれません。

M&Aの専門家に依頼するメリットや、任せる役割とは

必ず作成やチェックはM&Aアドバイザーと一緒に行うことを心がけることで、後々のトラブルを防ぐことができるはずです。

まとめ

今回はM&Aにおける5種類の契約書の概要と、契約書にまつわる注意点などを解説しました。

交わす契約書が多いということは、それだけ大きなお金が動くことであり、リスクを伴うものであると言っても過言ではありません。今回ご紹介した注意点は当たり前のことではありますが、それらをしっかりと念頭にいれておくことで、後々のトラブルを半減させることができるでしょう。

今後M&Aの実施を検討されている方は、契約書に関する知識を集めるところから初めても良いかもしれませんね。

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