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医療業界のM&Aの目的やメリットデメリットついて徹底解説

新型コロナウイルスによって多大なる影響を受けている医療業界(病院・医療法人等)も、後継者不足問題や深刻な人手不足問題に悩まされ続けています。なにより、新型コロナウイルスの影響で、看護師や医師がそのストレスに耐えられずやめてしまった病院もあるのではないでしょうか。

そうした中、医療業界でもアフターコロナやニューノーマルを見据えた対策としてM&Aが増加することが予想されます。というのも、赤字や医療ひっ迫が進む一方で、業界の再編や他医療センターとの協力体制を目的としてM&Aは有効的であると言えるからです。

そこで本記事では、医療業界のM&Aに焦点を当て、動向やメリットデメリットについて解説してまいります。

医療業界のM&A動向について

ここでいう、医療業界とは、病院・医療法人をさします。これらは非営利法人といって、患者のために経営されている施設であるため、経営者の高齢化等で経営が困難な状態になっても簡単に廃業にすることができません。

そこで利用できるのが、M&Aです。近年では、M&Aを実施してセミリタイア(定年前の退職)や、事業拡大を行う事例も出てきています。

医療業界のM&Aの現状

現状、過疎化が進んでいる地方を中心に、売上が低迷し経営難に陥っている病院が増えてきています。また、医者を目指す人自体も減っていることや、若者の都市部への流出により、後継者不足問題を抱えている病院も増加傾向にあるのが現実です。

しかし、そうはいっても地方の病院こそ少子高齢化が進んでおり、医療体制が整っていなければなりません。それらの問題を解決するために病院を売却し、他者に経営を譲ることで、事業を継続するという選択をする経営者が増えています。

中には、ストレスでリタイアを目的に、売却を選択する経営者もいらっしゃるでしょう。

そうしたことで、近年では病院の売却数が増加しています。

医療業界のM&Aの特徴

医療業界のM&Aの特徴としては、現時点で医療業界のM&Aに正式な規定がない為、行政機関と話し合いを重ねながら手続を行うため、事前準備から契約締結までに1年以上かかってしまうという点です。

また、社団法人の病院や医療法人では、社員(医師や看護師等)が出資者となっています。そのため、売却の際に社員に出資分を返還しなければなりません。一般企業のM&Aでは行われない部分ですので、医療業界のM&Aを行う際は、事前に出資分の還付についても試算しておく必要があるといえるでしょう

医療業界のM&Aの目的

医療業界のM&Aの目的としては、主に以下のような目的が考えられます。

①事業拡大をするため

②地方創生のため

③経営者のリタイアのため

事業拡大をするため

1つは、事業拡大をするためです。買収側はすでに体制の整っている病院を買い取ることで、医師や看護師をそのまま引き継ぐことができたり、その人材が持っているノウハウなどを共有したりすることができるようになります。

また、設備において無駄な部分を精査することができコスト削減につなげられ、事業収益をあげられることで、結果的に事業拡大も期待できます。

②地方創生のため

先述にも申し上げた通り、地方の病院は医師の高齢化等の要因で、売却案件が増加傾向にあります。売却されるということは、その病院が地方で住民に多く利用されていた、存在感のある病院であることが多いです。

そのため、病院存続はもちろん、地方創生を目的としてM&Aが行われることもあります。

③経営者のリタイアのため

近年では医療業界だけでなく、様々な業界でリタイア、セミリタイアという言葉が飛び交っています。これは、M&Aが盛んに行われるようになってきたため、経営者が第二の人生を検討しやすくなったということも考えられるでしょう。

医療業界でも同様に、これまで長らく医療に携わってきた人が、経営を第三者に譲って、自身は飲食店や農業など別の事業をしようと試みる方もいます。

そうしたことを目的にM&Aが行われる事例もあるようです。

医療業界のM&Aの売却価額相場

医療業界のM&Aの売却価額は純資産や利益等を算定したうえで、決定されます。算定方法としては

①資産基準+営業権方式

②買収事例比較方式

③DCF方式

の3つの方法のうちの1つが採用され、算定されるのが一般的です。

医療業界だけでなく、多くの業界で利用されているのが③のDCF方式で、計算方法は複雑であるものの、より納得性の高い算定結果が得られるのが特徴です。

DCF方式については下記の記事で詳しく解説しておりますのでご覧ください。

DCF法とは?企業価値算出までの手順や特徴を徹底解説

ただ、いずれの方式で企業価値を算出しても、病院の規模や立地、売上等によって売却価額が変動するため、一概にどのくらいが相場と言い切ることができません。ある程度大きな病院であれば10億円を越えるケースもあるようですが、個人の病院ですと1000万円程に収まるのが一般的なようです。

売却価額相場については、専門家に相談して算定方式から正式に計算をしてもらうほうがよいといえるでしょう。

医療業界でM&Aを行うメリット

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、予断を許さない現状が続く医療業界において、M&Aを行うメリットとはどのような点が考えられるでしょうか。

売却側は売却益を得ることができる

M&Aの醍醐味ですが、売却側は売却益を得ることができます。医療法人等は出資者に対する還付金を支払わなければならないものの、条件によっては多額の資金を得ることができるため、老後の生活資金や第二の人生を歩むための資金にする方もいらっしゃいます。

事業存続ができる

また、病院は地方の地域こそ重要な役割を担っており、簡単に廃業することはできません。その点、M&Aで第三者に経営を引き継ぐことで、リタイアをしつつ事業存続ができるという点でもメリットであるといえるでしょう。

事業拡大ができる

更に、地方の病院同士、大型病院とのM&Aにより事業拡大ができる可能性もあります。業界問わずM&Aを行う目的としては、双方の良いところを取り込めることによる『シナジー効果』が得られるということです。シナジー効果とは、相乗効果のことで、それぞれの病院が持っているメリットがかけ合わさることで、良い効果を生むことだとお考えいただければ分かりやすいでしょう。

人材育成コストを削減できる

他の病院とM&Aを行うことで、M&Aの手法によっては売却側の病院に勤めていた社員をそのまま獲得することができ、その社員それぞれが持っているノウハウなども獲得することができるので、人材育成コストを削減することができます。

また、医療業界は看護師不足、医師不足などが叫ばれておりますが、人材育成コストだけでなく採用コストも大幅に削減できる点もメリットであるといえるでしょう。

医療業界でM&Aを行うデメリット

一方、医療業界のM&Aのデメリットは以下の通りです。

手続きが複雑になる

1つは医療業界のM&Aは行政機関を通してやり取りをするため、手続きが煩雑になるというデメリットがあります。また、賃貸契約は一旦譲渡側が解約して譲受側が新たに契約するのですが、その際に大家から償却を請求されたりする可能性がある点も難点です。

ベットの数に関しても、基準病床数を超えた場合は、都道府県側に相談する必要もあります。

資金効率が悪化する可能性がある

また、医療業界でM&Aを行うと、譲渡側で法人税や消費税が発生します。事業譲渡の場合は税金が高く、資金効率が悪くなるというデメリットも考えられます。

更には、譲渡側の院長が土地を引き継いでいる場合は含み益が大きくなっている可能性もあるので、譲渡前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

本記事では、医療業界のM&Aについて、概要からメリットデメリットまでをご解説いたしました。新型コロナウイルスの影響で経営を譲渡したいと考える経営者も多くなってくることが予想されます。

また、赤字が膨らむ前に、売却しておきたいとかんがえる方もいらっしゃるかもしれません。医療業界のM&Aは実例が増加傾向にありますが、手続きが煩雑な点、その後の資金効率が悪くなる可能性がある点では懸念材料となるでしょう。医療業界の方でM&Aを検討されている場合は、そのような面も含めてプロセスを念入りに構築しておくことが大切です。

DX承継くんでは医療業界のM&Aだけでなく、様々な業界のM&Aについてアドバイスやマッチングを行っております。ご不明点、ご相談のある方は是非下記のお問い合わせ窓口からお気軽にご相談ください。

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