【家族と事業承継の壁】事業承継の「求める形」とは《第1回》

経営者にとって、自身の子供は「後継者」として経営を引き継ぐ役目を持っている人材でもあります。

しかし、近年では働く環境の多様化やグローバル化などの影響により、家族の事業を引き継ぐよりも他の仕事に就く若者も少なくないものです。地方の事業者ですと、更にこの問題は顕著で、都会に就職してしまうケースも多いでしょう。

このように、自身の子供や親族だけに、事業承継を望んでいてはスムーズに事業承継が進まず、家族に確執が残ってしまったり、廃業してしまうことにもなりかねません。

そこで、「家族」と「事業承継」の関係と、経営者が考えておくべき「事業承継への考え方」を全3回の連載記事で解説していきます。

事業承継とは

そもそも事業承継とは、現在経営している事業を他人に譲渡したり、売り渡したりすることを指します。

家族や親族に譲渡する場合は、「相続」や「生前贈与」という形で金銭的な売買を伴わず事業承継が行われるのが一般的です。一方、第三者に事業承継をする場合は、経営上の収益性や成長性など、様々な方向から企業価値を割り出し、それに見合った値段を付けたうえで売買を行います。

事業承継とは?経営者が知っておきたい事業承継について解説

事業承継の7パターン

大きな枠で見れば、家族への承継と家族以外の承継ですが、更に細かく分けると事業承継は下記の7つのパターンに分類されます。

【家族への承継】

①親から子供へ
②親から親戚へ
③親から養子へ

【家族以外への承継】

①従業員へ
②外部から後継者を迎える
③売却
④事業譲渡

事業承継を行うには様々な理由がありますが、比較的高齢な経営者が持つ理由ですと、

①自身が経営をリタイアしたい
②従業員の雇用を守りたい
③子供に自立してほしい

などがあげられます。それぞれの事業承継を行う上で、税制問題やプロセス上の注意点はありますが、詳細については各記事をご覧ください。

>>事業承継に関する税制問題はこちらからチェック
>>親族内承継のポイントをチェック
>>営業権譲渡についてをチェック
>>会社売却について詳細をチェック

基本的には、家族なり第三者なりに経営を譲り渡すことによって、企業の存続を図ることが目的です。

親族内承継について

なかでも、子供や親戚、養子など、現経営者の親族にあたる人物に事業承継をすることを「親族内承継」といいます。

親族内承継で子供に事業を引き継ぐときのポイント

親族内承継は、古い時代から行われてきたことで、男の子が生まれれば「時期経営者」「跡継ぎ」などと喜ばれたエピソードは多いものです。それゆえ、地方の企業や歴史ある企業、家族経営の事業では、今でも根強く「親族内承継」の文化が残っています。

親族内承継を拒む子供が増えつつある

これまで親族内承継がメジャーであり、中小企業では最も採用されている承継手法ですが、親族内承継の採用割合は年々減少傾向にあります。20年前までは、当然のように経営者の子供が修行を積み、後とりとして事業承継を積ませていました。

これによって、かつての親族内承継の割合は9割を超えていたのです。中でも「親から子へ」承継する事業承継方法では、約8割をしめていました。

ところが現在では、職業選択肢の多様化や、少子高齢化の影響などで親族内承継を実施する企業は6割程度まで低下しています。

理由としては、以下の理由が考えられます。

①子供の都会企業への就職
②子供のやりたい仕事ではなかった
③子の意向を汲み、経営者自身が事業承継を行わなかった

これは今後更に減少し続けていくと予想されるでしょう。

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親族に承継者が不在の場合廃業する企業も

いうなれば、現在の経営者は事業を存続させたいと思う一方で、子供に承継の意思がないのであれば廃業をするしかないというジレンマを抱えているのです。実際に、黒字の企業でも後継者不足の影響で廃業をしているケースは中小企業の約42%を占めています。

(出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap2_web.pdf)

後継者不足の解決策と対策について徹底解説

親族内承継の意識は根強い

子供に承継できなければ廃業する企業が半数を占める理由として考えられるのは、地方の拠点を置く中小企業ほど、かつての文化が根強く残っており「親族内承継」の意識が強いという点です。

要は、「子供に事業承継ができないのであれば、廃業するしかない」という決断に至っているということです。

親族外承継への意識がないのか

とはいえ、地方の企業では親族以外に事業承継を行う「親族外承継」への意識がないのかといえば、そうではありません。

おそらく、親族外承継よりも、親族内承継のほうが

①周囲から受け入れられやすい
②教育期間を設けやすい
③資産の承継がスムーズ

など、外部からの印象や、教育・資産に対する固定された考え方が、「親族内承継ができない=廃業」という選択を後押ししているのでしょう。

経営者が事業承継に求める形

このように、企業経営者や企業を取り巻く人々の「事業承継」に対する固定概念が、「事業承継のあるべき姿」や「求める形」を作り出しているといっても過言ではないでしょう。

当然ながら、事業承継には、”必ず子供に引き継がなければならない”という決まりはありません。本来、事業承継の目的は、「事業を継続させること」なのです。

多種多様な職があふれている現代、若者にとっては他の事業に目がむいてしまうことも多くあるものです。家族が事業承継に応じてくれないことが、廃業を余儀なくしている 理由と考えられがちですが、実はそうではありません。

よって、家族への承継が当たり前だと考えていることこそが、企業にとって事業承継の「壁」となっているといえるでしょう。

まとめ

地方の企業は特に事業承継は「家族」への承継が基本であるというイメージが強いものです。しかし、昨今では大企業を中心に親族以外の後継者に事業を承継し、企業を存続させるケースも増えています。

そうした意味では、経営者は「後継者」に対し、更に柔軟な考え方を持っておく必要があるといえるでしょう。

次回の連載コラムでは経営者が考えておくべき「後継者」への考え方に焦点を当て、後継者に求めるべきことや、より良い後継者選びをするためのポイントについて解説していきます。

 

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