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【”家族”と”事業承継”の壁】「後継者」について知っておきたいこと《第2回》

経営者がリタイアをしても経営を存続させるためには、「後継者」を探さなければなりません。

それは親族であったり第三者であったり対象となる人物は様々ですが、適切な後継者を指名しなければ、のちのち廃業せざるを得ない状況になることも考えられるでしょう。

そこで今回の第2回目連載記事では経営者が「後継者」について考えておくべきことを解説していきます。

>>第1回【家族と事業承継の壁】事業承継の「求める形」とは

後継者とは

そもそも、後継者とは事業を引き継ぐ「跡継ぎ役」の人物のことを指します。事業を引き継いだ後継者は、以前の経営者がこれまで築いてきた「経営理念」や「経営に対する意思」なども引き継ぐことになります。

要は、経営における精神を引き継ぐ者ということです。

後継者と承継者の違いは

後継者との類義語に「承継者」があります。”事業承継”自体に”承継”という言葉が入っているため、混同しやすい方も多いのではないでしょうか。

承継者とは、経営の権利や義務、財産などを引き継ぐ「企業」のことを言います。そのため”承継者”のイメージとしては、M&Aによって事業を売却した際の買い手側の企業のことであるとお考えいただければ問題ありません。

というのも、M&Aによって買収される場合は、契約によって現経営者の理念や伝統の引き継ぎというよりは、実質新しい企業に生まれ変わる可能性があるからです。

つまり、後継者と承継者の違いは、”経営における精神的な部分を引き継ぐのかそうでないのか”というところにあるといえるでしょう。

そのため、企業を引き継ぐ者に今後の企業をどのように託したいのかという点が、現経営者が考えるべきところとなります。

経営者が後継者に求めるべき人物像

では、経営者が”後継者”に経営を引き継ぐ場合、どのような素質を持った人物に引き継ぐことで、安心して事業を任せられるでしょうか。

ここからは、”経営の精神を引き継ぐ”という点をポイントにして、経営者が後継者に求めるべきことについて解説していきます。

経営を担う覚悟がある人物

1つは、経営を担う覚悟がある人物です。当然ながら企業のノウハウだけが目的であったり、資産が目的である人物は”後継者”として最適な人物ではありません。

今後後継者として、どのような点を引き継ぎ、どのような点を活かしながら成長させていくのか、プロセスを聞いてみるのも良いでしょう。

事業に対する専門知識がある人物

また、事業に対する専門知識を持っているというところも重要です。後継者とはいえ、これまでとは違う人物が経営のトップとなるわけですから、専門知識がなければ従業員が惑わされてしまう可能性があります。

将来に対する洞察力がある人物

経営の精神的な面を引き継ぎつつ、成長していかなければ企業として存続していくことはできません。

そのため、後継者に将来に対する洞察力や、成長性があるのかという点も後継者選びの重要なポイントになります。

現経営者が経営してきた企業を尊敬している人物

あくまでも、後継者となる人物は”経営を引き継ぐ”ということが目的で、承継者のように新しい企業を作り出していくわけではありません。

如何に現経営者が経営してきた企業に対して尊敬の念を持っているのかという点も重要になるのではないでしょうか。

誇りや尊敬の念があればあるほど、「経営者の思いを引き継いでいきたい」という考えも強くなるはずです。

より良い後継者選びのポイント

上記のような素質をすべてもった人物には、ぜひ経営を任せたいと思うものでしょう。

より良い後継者を選定するポイントとしては、大きく分けて①経営者としての必要な資質があるかどうかという能力面と、②本気で会社を継ぐ覚悟があるかどうかといった精神面の2点があります。

能力面について

①経営に必要な知識があるか
《財務、税務、法務、労務など》
②従業員や組織をうごかす力があるか
《コミュニケーション力、リーダーシップ、マネージメント力、信頼性》
③適切な判断と実行ができるか

精神面について

①会社の経営と従業員の生活を担う覚悟があるか
②古くからの文化を継承する意志があるか
③従業員の関係性を構築していく覚悟があるか
④現経営者から借入金の連帯保証や担保を引き継ぐ覚悟があるか

後継者選びに失敗しないために必要なこと

後継者を選ぶ方法としては、親族へ引き継ぐ方法や第三者に引き継ぐ方法などがありますが、後継者選びに失敗しないためには、次期後継者となりうる者と大いにコミュニケーションをとることが大切です。

子供だから良く知っている、親族だから是非任せたいという”人情”では長い経営はできません。それどころか従業員を守ることすらもできず会社としての信頼を失ってしまうことにもなりかねないのです。

会社に対する思いや、経営の現状を伝えたうえで、本当に引き継ぐ意思があるかどうか、そして経営に対する本音や不安要素を聞き出すことも重要でしょう。

このようにコミュニケーションをとっていく上で、現経営者は任せられる人物なのかお見極める必要があるということです。

後継者=リタイア後に会社を成長させてくれる人

要は、後継者は、経営の意思を引き継ぎつつリタイア後に会社を成長させてくれる人を選ぶべきであるといえるでしょう。

現在中小企業における経営者の平均年齢は68.4歳とされています。年々リタイアする年齢も高齢化してきているのが現状です。
(出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/)

おそらく、これは”後継者”にふさわしい人物が見つけられないという点も、高齢化するまで経営者として働き続けている理由として考えられるでしょう。また、第一回で解説をしたように、「親族」への承継にこだわっているケースも、事業承継が進まない要因の一つかもしれません。

つまり、経営者がリタイアしても企業を存続させていくためには、親族だけでなく第三者でも”後継者としてふさわしい人物”をみつけ、任せることが重要であるということです。

まとめ

本記事では、「後継者」というワードに注目し、より良い事業承継を進めていくためのポイントをご紹介しました。

家族への事業承継を考える経営者は多いものです。第一回で解説したように、地方の企業であればあるほど、その文化が強い企業も少なくありません。しかしながら、”後継者”というのは、現経営者の”経営の意思”を引き継ぐことができる人物で、それはいつでも家族であるわけではないのです。

では、第3回の連載記事では「親族内承継」と「親族外承継」のそれぞれのメリット、デメリットを解説しながら、今後経営者が考えていくべき事業承継のあり方について解説していきます。

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