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【DX事例】伊勢丹新宿が2021年度には完全ネット接客へ!?

新型コロナウイルスの感染拡大の『第3波』が鮮明になりつつある昨今、各種GoToキャンペーンの一時停止と合わせて緊急事態宣言の再発令もささやかれているようです。一部地域では店舗に向けた時短営業要請も発令されました。

実店舗をもって営業している店舗は、今後のニューノーマル社会にむけて根本的な事業モデルの見直しをしていかなければならない状況に差し迫っています。そうした中、三越伊勢丹新宿店が2021年度には完全ネット接客に踏み込むと発表しました。現状でもすでに注目されておりますが、この施策が成功すれば、三越伊勢丹新宿店は多大なるDX化に成功した企業として大きく取り上げられることとなるでしょう。

そこで今回は、同事例をもとに、ニューノーマル社会に向けたDX化のポイントについて解説していきます。

三越伊勢丹新宿店は全品ネット接客へ

三越伊勢丹HDは、伊勢丹新宿店の全商品をネット上で接客・販売する方向を示し、11月25日からネット販売専用アプリの立ち上げに着手すると発表しました。同施策は、2021年にも約100万品目を扱い、コロナ禍で低迷する店舗販売の下支えと合わせて、Amazonなどの大手通信販売との差別化を図る方針です。

ネット接客のフロー

ネット接客のフローは以下の通りです。

①利用者が商品購入時にクレジットカード情報を登録

②利用者がショップリストから連絡したいショップをえらぶ

③利用者がチャット上で好みや予算・相談事を打ち込む

④店員からおすすめの商品などが返信される。

⑤チャットからそのまま購入画面にすすむことが可能

利用するデバイスについては、詳しい情報がありませんでしたが、おそらく利用者自身のスマホやタブレットにアプリをダウンロードし、利用する形になると考えられます。

中には、お店側にデジタルサイネージを設置して、利用者がアプリをダウンロードせずともネット接客を受けられるという方法もありますが、クレジットカードを登録しなければならないというところで考えにくいと言えるでしょう。

対象店舗は200ブランドから

まず伊勢丹新宿店の婦人服や紳士服、時計、宝飾品など14分野の約200ブランドを対象とする方向で、来年度にかけて家具や家具など、分野を広げていく方針です。これでは一般的な通販と変わらないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ネット通販と同施策の根本的な違いは、お客は実店舗で実際の商品を見ることができているという点です。実店舗の店員が商品をネット上から紹介し、販売します。

食品コーナーにまで対象が広がれば、今後はスーパーへの導入も広がってくるかもしれません。

ビデオ接客も可能

また、接客ではチャットを利用した接客だけでなくビデオ接客も可能です。ビデオ接客の場合は利用者がアプリでビデオ接客の予約を取ることで受けることができます。

この部分も、一般的なネット通販と差別化されているところであると言えるでしょう。利用者はチャットのテキストだけではなかなか伝えられない商品に関する詳しい質問も、ビデオ接客で従来の接客のように相談ができることで、リモートでも不便なく買い物をすることができます。

Aiを使ったチャットボットも導入

そのほか、Aiを使ったチャットボットも導入しているため、よくある質問等はチャットボットで解決することも可能です。また、従業員側のチャット対応が遅れそうな場合も自動応答で対応しておくことができるので、利用者を待たせることがありません。

店頭業務の削減にも効果的

同施策では、オンライン接客を担当する販売員は50人からはじめ、徐々に増やしていく方針です。これまで、店頭に立って目視で確認していた顧客のデータ等もアプリを利用することで簡単に顧客データを集計することができる上に、必要な時に必要な接客をすることができるようになるので、店頭業務の削減にもつなげることができるでしょう。

三越伊勢丹がネット接客に踏み込んだ理由

ネット通販の利用者は2020年、前年比5割増という結果になりました。とはいえ、中にはコロナ禍で外出自粛を余儀なくされた時、再度、実物を見て商品を購入できるありがたみに気づかされた方も多いのではないでしょうか。

そうした中三越伊勢丹がネット接客に踏み込んだ理由として、以下の理由が考えられます。

コロナ禍で再度時短要請を受ける可能性も

1つは、コロナ禍で当面は時短要請や休業要請が再度発令される可能性があるということです。そもそも、時短や休業を余儀なくされるのは、対面で接客をすることによって人と接触し、そこから感染することがあるかもしれないからです。

その場合、店舗での売上は全くのゼロとなってしまいます。そこで、ネット通販の利用者が増えている事と、実物をみて購入したいというニーズを融合させて、非対面での接客を可能にしたということが考えられるでしょう。

対面での接客をしないぶん、利用客の来店を予約制にすれば緊急事態宣言下でも営業も可能になるかもしれません。

根本的な事業モデルの見直しが必要

また、コロナ禍で在宅ワークやリモート授業を行うケースが増えてきた現在、実店舗をもつ業界も、根本的に事業モデルを見直し、時代の流れに沿って変化していく必要があったということも考えられます。

そもそも、店頭に立つ従業員からの接客があってこそのアパレルショップと言っても過言ではない、アパレル業界は、コロナ禍で多くの業界がリモートでの仕事に切り替える中、なかなかそれを実現できなかった部分がありました。

そこで、三越伊勢丹は難しいとされてきたアパレル業界のオンライン化において、先陣を切って、ネット接客という新しい接客スタイルの確立に着手したのでしょう。

加速する企業のDX化

新型コロナウイルスの影響もあって、最近ではデジタルを活用した企業の変革を表す『DX』という言葉をよく耳にするようになりました。日常生活でもデジタル技術を活用する機会が増えたり、ましてや早急にリモートワークの導入を強いられたことでデジタルを活用せざるを得ない状況に立たされた企業もあります。そのようなことから国内企業のDX化は徐々に加速してきたと言えるのではないでしょうか。

実際、政府も国をあげてDX化を推進しており、今後ますますDXを実施する企業が増えてくるはずです。現状の環境の影響もあり、三越伊勢丹が『DX』として同施策に取り組んだ可能性もあるでしょう。

DXとは?これからの企業に求められるデジタル化について

ニューノーマル社会に向けたDX

今後は、デジタルの活用やDX化は企業として必須になっていくとされています。むしろ、一部の専門家からはDXを行わない企業については今後淘汰されていく時代になるとも言われているほどです。

三越伊勢丹が取り組む今回の『ネット接客』もDX化の一貫として行うと考えても問題ないでしょう。ここからは、三越伊勢丹の例をもとに、ニューノーマル社会に向けたDXのポイント等について解説していきます。

実店舗とネットの融合がカギ

まずは、実店舗とネットの融合がカギであるという点です。今回新型コロナウイルスの影響で人々の生活における、仕事や買い物、教育など、あらゆるものがオンラインに移行しました。

そんな中でも、やはり、実店舗で実物を見て買い物をしたい、同僚や友達と会って直接コミュニケーションが取りたいと、『実際の物をみること』『実際に会うこと』について再度ありがたみを感じた瞬間もあったのではないでしょうか。

今後デジタル化していく中で、アパレルショップをはじめ、小売店、食品売り場などは実店舗とネットの融合がカギとなってくるでしょう。三越伊勢丹の例にならって、同類の接客スタイルを打ち出してくる企業も増えてくるかもしれません。

課題を明確化し、お客のニーズに寄り添う

今回、三越伊勢丹はネット接客導入にあたって

①店舗の売上が落ちている

②ネット通販の利用者が増えている

③新型コロナウイルスの感染拡大の収束の兆しが見えない

④企業のDX化が加速している

という課題と背景がありました。課題点から考えてみても、ネット接客はお客のニーズと企業の課題解決に上手くはまった良い施策であると言えるでしょう。今後、DXを行う企業や店舗は、課題を明確化しお客のニーズに寄り添った変革をしていくことが重要になります。

DX企業を対象にした税制優遇制度が充実する可能性も

DXが加速していると申し上げましたが、国をあげてDX化を支援する制度も打ち出されています。内容は、簡単に申し上げれば、クラウドサービスの利用やデータでのやり取りを行う企業に対し法人税を負担するというものです。

デジタルの導入やDX化は長期的なコストがかかる可能性もあります。その分、制度を利用して節税をすることができれば、DXに取り組みやすくなるケースもあるのではないでしょうか。DX企業への税制優遇に関しては今後最終的な決定がされる予定です。

詳しくは以下の記事にて解説しておりますのでご覧ください。

DX企業に税優遇!政府の支援でDX化は加速するか?

まとめ

本記事では、三越伊勢丹がおこなう完全ネット接客への取り組みの解説と合わせ、ニューノーマル社会に向けたDX化について考察してまいりました。

在宅ワークやリモートワークなど、デジタル、オンラインを活用した新しい働き方が取り入れられている中、実店舗においてもこのような取り組みが広がっていくことが予想されるでしょう。三越伊勢丹の取り組みが成功すれば、それに習ってネット接客を導入する店舗も増え、一気に業界のDX化が行われる可能性もあります。

中には、企業同士で事業提携という形で協力関係となり、オンライン化やDX化をすすめていく例も出てくるかもしれません。そうした意味では三越伊勢丹の例は、実店舗とネットの融合として先陣を切った注目すべき『DX』とも言えるのではないでしょうか。

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