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IT企業買収によるDX戦略とは?IT導入とDX化のポイント

日本のM&A実施件数は昨年2019年の1年間で過去最高件数の4088件を記録し、今年2020年も新型コロナウイルスの感染拡大の影響で不景気ながらも2年連続で最高件数を記録する見込みであるとされています。

特に、昨年に実施されたM&Aの3分の1はIT企業を対象にした買収案件が目立ち、デジタル化やDX化への取り組みが目立ってきました。

本記事では、IT企業買収によるデジタル化やDX戦略について解説してまいります。

DXとは?これからの企業に求められるデジタル化について

IT企業とは

そもそもIT企業とは、経済産業省が報告した『平成29年特定サービス産業実態調査』によると

”ソフトウェアを開発し販売するITベンダー企業と、ソフトウェアを通じてサービスを提供するユーザー企業の2つがあるとされています。

要は、ソフトウェアを開発する企業も下請けとして販売する企業も、どちらもそれらを扱っているのであればIT企業であるということです。

近年情報通信技術の向上やITシステムの向上、そして新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークなどが広く普及したことで、これらに関連するサービスの需要拡大や、それを取り扱う企業なども増えてきました。

IT企業のM&A動向

IT企業の2019年のM&A件数は143件で、前年の127件より16件増え、3年連続の増加となっています。

特に、2008年以降の12年間で見ても、2008年の111件を上回り、過去最多件数となりました。

では、まずはIT企業のM&A事例と、M&AでIT企業を買収する理由から解説していきましょう。

 

・IT企業のM&A事例2選

IT企業の関連するM&Aは2019年は143件も行われたわけですが、もちろん今年2020年も好調です。IT企業のM&A事例としては今年2020年に行われた最新の事例を2例ご紹介してまいります。

①株式会社メルペイによる株式会社Origamiの買収

1つは、主にフリマアプリを運営する株式会社メルカリの子会社である株式会社メルペイによる株式会社Origamiの買収です。

株式会社Origamiも、メルペイ同様にQR決済サービスの展開を行っている企業でしたが、メルペイが株式会社Origamiの株式を取得し、子会社化したことで、メルペイに吸収された形となります。

Origamiは、2012年に『お金、決済、商いの未来を想像する』というミッションのもと設立し、2016年にQR決済サービスを提供しておりましたが、QR決済事業を展開する企業が多く出てきたことで、ますます競争率が高くなりました。

そこで、メルペイがOrigamiを子会社化することで、今後は両社の強みを活かしながら、QR決済事業の最先端でキャッシュレス化を推進していく方針であるといいます。

②NTTによるNTTドコモの完全子会社化

二つ目はタイムリーな話題、NTTによるNTTドコモの完全子会社化です。これまでにドコモ株の66%を保有していたNTTが残りの株式をすべて株式公開買い付けを行うことで、ドコモを完全子会社化することが2020年9月25日の取締役会で決定しました。

NTTはNTTドコモを完全子会社化することで、双方の企業間における様々な取り決めに関する話し合いの効率化、5G通信を利用したさらなるサービス展開、そして携帯電話料金の値下げも、今後の経営方針として視野に居れており、実現する予定だと明言しています。

デジタル化が進む現在、ソフトウェアの開発、提供をする企業と、移動通信回線を提供する企業がM&Aを行い、子会社関係になるということは、今後双方の企業から更に高度なデジタルサービスが展開されることが期待できるでしょう。

・IT企業をM&Aで買収する理由

近年IT企業はグローバル化による影響やAi、IoTといった最新技術の台頭により、国内市場が急激に伸びてきています。また、政府も国を挙げてAiやIoTの活用をIT企業でなくすべての企業で行っていこうと推進しているため、今後もますますIT技術の需要は伸びていくことが予想されます。

一方、最先端技術に対応できる人材が不足しているという現状もあり、育成にかかるシステムエンジニアや、Webデザイナーといった人材の確保や、IT技術に詳しい人材を確保するために、IT企業を相手にM&Aを行う企業が増えているのです。また、どこの企業でもコンピューター無しでは仕事が成り立たなくなっている今、政府が推進している『DX化』もじわじわと現実化に近づいています。

このように、時代やニーズに対応するため、IT企業を買収してこれまでIT技術を活用してこなかった企業もIT技術を最短で取り入れようという意向が広まってきているということです。

DX戦略におけるIT企業の買収

先述に、DXという言葉を何度か申し上げました。DXとは簡単に言うとデジタル技術を活用して、企業の業務効率化や顧客ニーズに素早く応えていこうという取り組みで、近年国を挙げて推進されている重要事項の1つでもあります。

しかし、DXとはただデジタルを導入するだけでは、単なるデジタル導入にすぎず、デジタルを導入することで何か企業や店舗内に良い影響を与えるなど変革を起さなければDX化とはなりません。それゆえ、DXを行うにはIT技術の活用に対するノウハウなどを持っていなければ難しい場合もあります。

例えば、建設業や飲食業、美容業などこれまでITの活用を行って来なかった企業は尚のことと難しくなるでしょう。

しかし、M&AでIT企業と提携をしたり、子会社化してノウハウを習得したりすることで、DX化をスムーズに行うことができるようになるわけです。

・IT企業を買収してDXを実現するメリット

IT企業を買収して、DXを行うと、買収した企業にとっては

①素早くDX化を進めることができる

②安定したITに関するノウハウを獲得することができる

③ITに詳しい人材も同時に確保できる

④DX化が進んでいない業界であれば業績アップを見込める

 

などが挙げられます。

先ほども申し上げたように、DX化を行うにはITに関するノウハウが必要です。しかし、これまでITを活用してこなかった企業が突然DX化を行うとなると、ITに詳しい人材を採用したり、教育したり、勉強会を開いたりすることから始めなければなりません。

そうなると、DX化が実現できるまでに膨大なコストと時間を費やしてしまうことになります。しかし、IT企業を買収することで、IT技術の導入と同時にそれに関するノウハウがある人材も同時に確保できるため、教育や採用にかける時間をカットすることができます。

DX化は主にAiやIoTなどのデジタル技術を活用した業務効率化などが主なメリットであるとされています。飲食業界など、IT技術の導入がメジャーではない業界では、DX化を行うことで、業務効率化が実現し人材不足などの諸問題を解決できることで一気に業績アップなども見込めるかもしれません。

DX戦略としてIT企業を買収する際に問題となる論点

このように、DXを通じた魅力ある新規市場へM&Aを行うことで参入することは、企業の成長戦略としても有力な選択肢の1つでもあります。

しかし、もともとITになじみのなかった企業はもちろん、DX化を目的としてIT企業を買収することは、M&Aを多く経験してきた企業であっても一筋縄で行くものではありません。

DX戦略としてIT企業を買収する際に問題となる論点や、課題は下記のような事項が挙げられます。

デジタルに対するビジョンと戦略不足

1つは経営者がデジタルやIT技術に対する知識やビジョンがないのにも関わらず、部下に『Aiを導入して活用して』等、丸投げして考えさせている場合や、経営者が買収の話を進めているものの、目的や意図が定まっていないという理由で、上手くいかなくなってしまう可能性があります。

IT企業を買収すれば、DX化が必ずできるというわけではありません。どこにどのようにデジタルを活用したいから、こんな技術を持ったIT企業を導入したいなど、明確なビジョンがなければ成功しません。

サイバーセキュリティ―問題

Aiやブロックチェーン、ビッグデータなど、ビジネスにおいてはこうしたデータの活用の重要性が増してきています。特に、個人情報を保管しているシステムについては、大規模な個人情報漏洩事件、ITシステムへのサイバー攻撃や個人情報の目的外利用など、データを活用するビジネスにおける不祥事は後を絶ちません。

日本でも有名なIT企業が個人情報漏洩で大きく信頼を失ったケースはよくニュースで耳にしますが、個人データを多く保有するIT企業の買収では、特に保有するデータの内容やデータ管理体制、過去の情報漏洩利益や対応状況などを調査しておく必要があるといえるでしょう。

デューデリジェンスの調査方法や意味とは?

政府からの助成金による事業制約

IT企業はデジタルを活用した新たなビジネスを企画している企業が多いこともあり、政府や地方自治体などから助成金を受けている可能性があります。

助成金を交付する組織や、助成金を交付するための条件によって異なりますが、該当する助成金に資金使途に制限が付されていないか、助成金を活用して開発されたソフトウェアの権利帰属に一定の条件が付されていないかを確認しなければなりません。

買収後にこれを知った場合は、助成金の返還を求められる場合が合ったり、譲渡に制限があったりする可能性もありますので、M&Aの専門家を通してしっかりと確認しておくようにしましょう。

 

まとめ

本記事では、IT企業を買収することによるDX化について解説いたしました。DXという言葉は、今後いやでも多くの場で耳にする機会が増えてくると思います。

というのもNEC社長の新野隆氏は『今後DXを行わない企業は淘汰される時代だ』と言及しており、Aiや通信技術などのテクノロジーの急ピッチな進化に合わせ、多くの企業がデジタル化へとシフトしていくことが予想されるわけです。そもそもデジタル化を行わない企業は今後同業界の競争にも参戦できない可能性も出てくるでしょう。

しかし、かといって、デジタルを安易に導入すれば、もしくはIT企業を買収すればDX化が実現できるというわけではありません。しっかりとビジョンを持った戦略と、プロセスで丁寧に事業計画を練っていかなければ、意味がないのです。

DX承継くんではM&Aのご相談と合わせて企業のDX化についてもご質問等を承っております。ご不明点、ご不安点のある方はぜひ下記のお問合せ窓口からお気軽にご相談ください。

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