事業買収と事業譲渡の違いは一体何?事業買収のメリット・デメリットを解説

近年、M&Aで事業を買収し、新たな事業への早期参入を行ったり販路の拡大を行たりする企業は増えてきています。

M&Aで事業や会社を買収する方法の中にもいくつかの種類があり、今回のテーマである事業譲渡や事業買収もM&Aの手法のうちの1つです。

本記事では、事業買収はどのような手法なのか、事業譲渡との違いは一体何なのか、そして事業譲渡を行うメリットやデメリットを買収側売却側それぞれの目線から解説してまいります。

M&Aで事業を買収しようと考えていた方、売却しようと考えていた経営者は是非参考にしてください。

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事業買収とは

そもそも、事業買収とは簡単に言うと売り手側の事業を買い取ることです。それならば事業譲渡と同じなのではと思われがちですが、そうではなく、実は事業譲渡は事業買収の中のひとつの手法になります。事業買収と事業譲渡はイコールではありませんので注意してください。

本項目では、事業譲渡との違いと、事業買収の目的について詳しく説明してまいります。

事業譲渡との違い

前述に、事業譲渡は事業買収の中の1つの手法であり、これら2つはイコールではないと解説いたしました。

実は事業買収は、事業資産の一部又はすべてを現金によって売買する

①事業譲渡 と、

会社の株式を譲渡することによって経営権を引き継ぐ

②株式譲渡 の、2つの手法を合わせて『事業買収』と呼ばれているのです。

つまり、『事業買収』と呼ぶ場合は事業譲渡か株式譲渡のどちらかが行われた場合であるということです。

また、事業譲渡と株式譲渡の違いは基本的に売買の対価が現金であるのか株式であるのかという点であるとお考えいただければと思います。

事業買収の目的

では、事業買収を行う目的とはどういった事項があげられるでしょうか。

主に下記の3点が考えられる目的です。

①事業買収によるシナジー効果への期待

②事業規模拡大をするため

③新規事業参入・事業多角化を図るため

 

①事業買収によるシナジー効果への期待

1つは事業買収によってお互いの企業が相互補完関係になり、相乗効果、いわゆるシナジー効果を期待できる可能性があります。実際にこのシナジー効果を期待してM&Aを実施するケースも多いです。

自社独自では得られなかったプラスアルファの成長性が期待できることで、うまくいけば更に事業を拡大したり、買収価格以上の効果が得られたりするケースもあります。シナジー効果の種類など、シナジー効果に関する詳しい解説は下記の記事にて行っておりますので、ご覧ください。

シナジー効果とは、M&Aで最も重要!シナジー効果が期待できるM&Aの特徴と発生させるポイント

 

②事業規模拡大をするため

また、事業の規模を拡大する目的でも事業買収は行われます。というのも、事業を株式譲渡や事業譲渡などで買収することで、買い手側の企業は規模を拡大することができ、同業他社との競争力を高めることができるからです。

シナジー効果の部分と重なる点があるかもしれませんが、買い手側企業としては売り手側の企業が持っている商品販売のノウハウや、販路などを自社の既存ノウハウ等とかけ合わせることで、さらなる販路拡大と、シェア拡大、仕入れ価格や生産性コストの削減などを見込むことができるでしょう。

 

③新規事業参入・事業多角化を図るため

ゼロから新規の事業を立ち上げる場合、人員を集めるコストや、集めた人員を教育するコスト、そしてそれらに要する多大な時間的コストなど、様々なコストがかかります。

しかしその点、事業買収によって買収側の企業は自社に必要な事業をそのまま売り手企業から買収することができるのでゼロから新規事業を立ち上げる必要がありません。また、すでに人員がそろっていたりノウハウも蓄積されている可能性があるため、新規事業に早期参入ができたり、事業を多角化させたりすることを目的として利用されることがあります。

事業買収の買収側のメリット

では事業買収で、株式譲渡や事業譲渡を行うことにより買収側が得られるメリットとはどのような事項があげられるのか、下記に解説していきます。

①新規事業を低コスト・短時間で始められる

まずは、売り手側の企業から自社にない事業を買い取ることで、買収側の企業は新規事業を低コスト、且つ短時間で参入することができるようになります。

尤も、事業譲渡や株式譲渡では売り手側の企業との交渉によっては、従業員も譲渡対象となります。優秀な従業員がそのまま買い手側に移動することで、ノウハウやスキルもそのまま移行させることが可能になるわけです。

前述にもありますが、当然新規の事業をゼロから始めようとすれば、人材の採用から教育、ノウハウの蓄積まで多くの時間やコストをかけなければなりません。

その点、事業買収を行うことで、それらのコストを最小限に抑えることが可能になります。

②事業買収による技術力やマニュアルを手にできる

また、買収側の企業は事業買収を行うことで、それに付随して該当する事業の技術やマニュアルを手にすることができます。自社では思いつかなかった案、ノウハウを手にすることができれば、新規事業への参入、事業規模の拡大などもスムーズに、そして早期に行うことができるようになるでしょう。

一部、技術やノウハウを持った人材だけを他社から引き抜くといった事例もあるようですが、技術の盗用で相手企業から訴えられてしまうこともありますので、事業買収で必要な技術やノウハウを手に入れたほうがリスクを抑えられるといったメリットもあります。

事業売却の売却側のメリット

一方、事業を売却する側、いわゆる事業売却のメリットはどのような事項があげられるのか、売却側の目線で解説していきます。

①後継者不足問題を解決できる

日本の中小企業の後継者不足問題は、年々深刻化していっています。将来性や成長性のある企業も、後継者がいなければ事業を続けることができません。

このように、事業を引き継ぐ後継者がいない場合、事業売却を用いることで事業を承継し、従業員の雇用を維持したり、企業の廃業を防いだりすることができるようになります。

現在は、国全体でも後継者不足問題の対策に力を入れており、各都道府県に事業承継支援センターが設置されたり、事業承継を行うときに利用できる補助金を出したりなど、様々な施策を進めています。

事業を承継するときに利用できる事業承継補助金については下記の記事にて詳しく解説しておりますのでご覧ください。

M&Aを行うときに利用できる事業承継補助金とは【2020年度版】

都道府県別!M&Aを行うときに利用できる支援金制度まとめ【2020年度版】

②売却益を得ることができる

事業を売却することによって、売却側は当然売却益を手にすることができます。その対価が株式であったり現金であったり、手法によって変わってきますが、特に事業譲渡では売買の対価が現金ですので、経営者がリタイアした後の老後の資金調達が目的であったり、新規事業を立ち上げるための資金が必要であったりする場合にも、現金を得ることができるのは大きなポイントであるといえるでしょう。

③廃業コストが必要ない

後継者がいないなどの理由で廃業をする場合、従業員や取引先、債権者の整理や事業資産の清算、そしてその他事務所の撤廃など廃業には手間やコストがかかります。

その点、事業売却で事業を承継することで、廃業コストがかからない上に、そのまま契約関係も譲渡対象にすることで、従業員や資産も引き継ぐことができるので、廃業よりも小さな負担で手続を終えることができます。

④従業員の雇用を守ることができる

もし仮に廃業を選択してしまった場合、勤めていた従業員は職を失ってしまうことになります。しかし、事業売却で他社に事業を承継することで、従業員の雇用も継続させることができれば、雇用もしっかりと維持することが可能です。

事業買収の買収側のデメリット

ただし、もちろん事業買収は買収側にとっても売却側にとってもメリットばかりの手法ではありません。

まずは買収側のデメリットから解説していきます。

①売り手企業から異動した従業員が退社してしまう可能性がある

企業によって、社風や社内独自のルールは存在するものです。しかし、売り手企業から異動してきた従業員が、社風や雇用条件などが合わずに退社してしまう可能性があります。

特に、M&Aの交渉の時点で優秀な従業員や中心となる従業員が退社してしまった場合、M&A自体を撤回することになるケースもあるでしょう。

企業にとって従業員は大切な資産の1つです。従業員に関する契約は売り手企業、買い手企業でそれぞれでしっかり話し合うようにしなければなりません。

②簿外債務などが発覚する可能性がある

事業買収の中でも事業譲渡は引き継ぐ契約、引き継がない契約を選択することができるので、見えなかった債務や債権を引き継ぐ可能性はほぼありません。

しかし、株式譲渡では契約関係はすべて買い手の企業に自動的に引き継がれるため、交渉時点では見えなかった簿外債務などが発覚する可能性もあります。

買い取った後にトラブルにならないよう、しっかりと専門家と話し合ったりデューデリジェンスを行うことが重要です。

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デューデリジェンスの調査方法や意味とは?

③手続が煩雑になる場合もある

先ほども申し上げたように、事業買収のなかでも、事業譲渡は引き継ぐ契約、引き継がない契約をそれぞれ選択して手続を行う必要があります。

ですので、事業譲渡に限っては資産や従業員などもそのまま引き継がれるわけではなく、契約のまき直しを行わなければならないのです。その場合、待遇などが良くないと判断されれば従業員は契約を移さないといった判断を下すことにもなりかねません。

簡単な手続が済む方法を選択するのか、それとも契約関係を一つ一つ確認しながらすすめていくことができる方法を選択するのか、よく検討してからM&Aを実施するようにしましょう。

事業譲渡では労働契約は原則継承されない!売り手が覚えておくべき事業譲渡における従業員雇用の知識

事業売却の売却側のデメリット

一方、事業を売却する側のデメリットについても解説していきます。

①想定していた価格で売却できない可能性がある

事業買収の買収価格は、企業価値の算定評価などをもとに、将来性や成長性なども加味しながら最終的に買い手企業との交渉によって決定されます。

一般的に、買い手企業は少しでも安くで買い取りたいとと思いますし、逆に売り手の企業は少しでも高く売りたいと考えるでしょう。そのため、交渉によっては希望の額よりも下回った額で売却することにもなり得ます。

買い手の企業に、多額の資金を積んででも事業を買収したいと思ってもらえるよう、日ごろから従業員や企業の磨き上げ、そして企業の評価をあげておくことは大切です。

②取引先、顧客、従業員などが離れていく可能性がある

特に中小企業の場合は、経営者との付き合いで顧客や取引先がついていた場合などもありますので、『経営者が○○さんではなくなるのなら…』と契約を切られてしまうリスクがあるのも念頭に入れておかなければなりません。

それだけでなく、買い手企業の雇用条件やその他待遇によっては従業員が退社してしまう可能性もあり、M&Aが失敗に終わってしまったり、M&A自体が実施されない可能性もあるので注意が必要です。

事業を売却する前に、しっかりと説明してリスクヘッジをすることも重要事項になります。

まとめ

本記事では、事業買収について主に解説いたしました。

事業買収と事業譲渡は、非常に似通った言葉ですので言い回しの同じ手法であると考えられがちですが、実は事業買収の中の1つの方法として事業譲渡があげられるのであって、決してイコールではありません。

事業買収は、お互いの企業がシナジー効果を得ることができる可能性があることなどからM&Aの中でもよく用いられる方法です。とはいえ、メリットだけではなくデメリットがあることも覚えておかなければなりませんし、デメリットを回避するためにも専門家への相談も必須になります。

事業買収、又は事業譲渡や株式譲渡で事業を売却したいと考えている経営者様は是非下記のDX承継くんお問合せ窓口までご相談ください。

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