事業譲渡のメリットデメリットと、譲渡金額の交渉の進め方

事業譲渡とは、会社の中の特定の事業を選択して譲渡することができるため、非常に融通の聞きやすいM&Aの手法です。そのためM&Aを実施する企業は事業譲渡を選択するケースが多いと言われています。

本記事では、事業譲渡における譲渡側、譲受側のそれぞれのメリットやデメリットと合わせて、譲渡金額の決め方や事業譲渡を活用したスキームについても詳しく解説してまいります。

M&Aで事業譲渡を検討されている方、事業譲渡の基礎知識を得たいという方は是非最後までお読みください。

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事業譲渡の解説と詳しい手続きについて徹底解説!

事業譲渡の譲渡側のメリット・デメリット

譲渡側の企業がM&Aで事業譲渡を選択する理由としては、

①後継者問題を解決するため
②法人格を継続できるため
③会社経営に集中することができるため

等が考えられます。上記3点の理由については下記の記事でも詳しく解説しておりますので、是非ご覧ください。

事業譲渡の解説と詳しい手続きについて徹底解説!

ここからは、譲渡側の企業が事業譲渡をおこなうメリットやデメリットはどのような事項があげられるのかという点について解説してまいります。

譲渡側が事業譲渡を行うメリット

まず、譲渡側の企業が事業譲渡を行うメリットは、事業譲渡の場合、会社の中のどの事業を譲渡するかというのを選択することができるため、自社に必要な事業は残して不採算事業は譲渡することができるなど、融通が聞く点です。

また、契約関係等もすべてまき直しになるため、引き継ぐ契約、引き継がない契約等をすべて洗い出して整理することもできます。

特に、不採算事業を売り渡し、会社の再生等を狙う場合には契約関係の整理を行うことで、事業に関する不採算につながる部分等も見えてくるようになるでしょう。

更には会社の中の一部を売り渡すことになるので、当然現状の法人格も継続して利用できるという点もメリットとしてあげられます。

譲渡側が事業譲渡を行うデメリット

一方、譲渡側の企業が事業譲渡を行うデメリットは自社の都合のみで契約関係を引き継ぐ、引き継がないを決定できないということです。

例えば、譲渡側の企業にとってはもちろん譲渡の対象の事業の債務は、該当する事業の譲渡とともに移転させたいと思うのが通常しょう。しかし、あくまでもこうした取引は譲受側の企業との協議のもとに決定されますので、仮に債務が引き継がれないとなった場合は売り渡した後も債務が残ってしまう可能性があります。

事業譲渡の譲受側のメリット・デメリット

譲受側が事業譲渡を選択する理由は

①人材や財産・取引先・営業ノウハウ等を一括して獲得できるため

②引き継ぐ契約を選択できるため

などがあげられます。

では、事業譲渡において、譲受側の企業が事業譲渡を選択するメリットやデメリットはどのような事項があげられるのか、下記に解説してまいります。

譲受側が事業譲渡を行うメリット

譲受側の企業が事業譲渡を行うメリットは、引き継ぐ事業や、引き継ぐ契約をそれぞれ選択できる点です。株式譲渡とは異なり、事業の中の引き継ぐ契約、引き継がない契約を見極めることができるので、債務や簿外債務を引き継ぐリスクがなくなります。

また、該当する事業の人材や財産、取引先顧客や営業ノウハウを包括して譲受することで、1から事業を立ち上げるよりも、時間的にも費用的にも比較的低コストで新規事業に参入できる点もメリットであるといえるでしょう。

譲受側が事業譲渡を行うデメリット

ただし、前述にもあるように、基本的に事業譲渡では事業における契約関係はすべてまき直しになります。ですので、許認可の再取得が必要であったり、従業員の再雇用などが必要であったりする点がデメリットであるといえるでしょう。

つまり、事業譲渡では、あらゆる契約が自動的に移転することはないので手続が煩雑になるということです。

従業員の契約を改めなければならない点については、下記の記事にも詳しく解説しておりますが、契約のし直しにより優秀な人材が離れていってしまえば期待したようなシナジー効果が得られない場合もありますので注意が必要です。

シナジー効果とは、M&Aで最も重要!シナジー効果が期待できるM&Aの特徴と発生させるポイント

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事業譲渡における譲渡金額の決め方

基本的に事業譲渡の譲渡金額は企業の純資産額に無形資産(のれん代)を加えた形で計算されます。のれん代とは簡単に言いますと、勘定科目の1つで、会社や店舗の信頼性や収益力の高さなど目に見えない資産を指すものです。のれん代については下記の記事でも詳しく解説しておりますのでご覧ください。

知らない売り手は損をする!?M&Aにおける『のれん代』とはいったい何?

ただ、事業譲渡の譲渡金額を決定する際に問題になりやすいのがこの『のれん代』をどのように評価するかという点です。のれん代とは前述にも申し上げた通り、目に見えない『無形資産』を指すものになります。当然ながら、目に見えないものに価値をつけようとなりますと難しいですし譲受側も慎重になるはずです。

しかし、言い換えれば、譲受側の企業が譲渡側の企業に対して『このくらいの金額を出してでも買い取りたい』といった額が上乗せされると考えることもできます。いわばのれん代が、企業の外側から見た直接的な評価であるといっても過言ではないでしょう。

とはいえ、のれんのおおよその目安としては、『過去3年程度の税引き後の平均利益(実質利益)×評価倍率』で計算され、評価倍率は2~5倍程度とされています。ただし、上記は目安であり、譲受側からの評価により大幅に変化する可能性もあるので、譲渡側の企業は会社の評価を常によくしておくことが大切です。

事業譲渡を活用した民事再生・再生スキームについて

事業譲渡は、民事再生などの再生スキームとして活用されるケースもあります

民事再生とは、経済的に困窮している債権者の事業等の経済生活の再生を目的とした手続です。

通常、民事再生手続を行うとその会社に倒産のマイナスイメージがつき、企業価値を毀損するようになるため、再生計画を立てても思うように営業が行えず、借金の返済が困難になるケースが少なくありません。しかし民事再生を行う際に事業譲渡を活用すれば、健全な企業の下で早期再建を行うことが可能になります。

特に、東京商工リサーチが行った調査によりますと、2000年4月から2016年3月までに民事再生を申請した9406件のうち進捗が確認できた企業は7341社、そのうち70.9%は民事再生後に吸収合併や破産等により消滅しているといいます。

つまりは、民事再生を行った後も生存している企業は全体のわずか29%程度であるということです。

その点、民事再生を行ってすぐに事業譲渡を行えば少なくとも企業価値を大きく損なう前に譲渡金を得て、債務の返済に当てることも可能になるでしょう。また、事業譲渡で生産性のよい事業のみを譲渡すれば、人員整理などの手間を省けたり、従業員を守ったりすることも可能です。

まとめ

事業譲渡は手続が複雑になりがちではあるものの、取引対象を一つ一つ選択することができるため、譲渡側にも譲受側にも非常にメリットの多いスキームであるといえます。

とはいえ、民事再生を行う際に事業譲渡を利用する場合はスピードを重視しなければならなかったり、そのほかの場合でも企業間の契約関係のやり取りはとても複雑であったりするなど、専門家の助言を得なければ実施するのが難しい手法です。

M&Aで事業譲渡を検討している方は是非下記のDX承継くんお問合せ窓口までご相談ください。

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