基礎知識

事業承継と併せて知っておきたい、事業承継補助金の基礎知識

事業譲渡を行うにあたり、中小企業を中心に、後継者に資産、会社を引き継ぐ必要があります。その際、税金が発生する可能性や、諸経費が発生すること可能性も考えられます。今回は、急な資金繰りが必要になった際に活用したい、事業承継の際の事業承継補助金についてご紹介します。補助金を利用する事で、事業承継で掛かる費用を削減できる場合があるのです。

事業承継とは?

事業承継の補助金の前に、まずは、事業承継について知っておくことが大切です。まず、事業承継とは、企業を経営する中小企業などの経営者が、事業を事前に買い取り手の企業に引き継ぐことを指します。企業単位ではなく、事業単位で引き継ぐことができ、事業用資産、事業の全てを他社に買収させることで、経営の立て直しや事業のさらなる活性化を図るのです。また、近年中小企業では経営者の高齢化が進み、満足に事業を承継することが難しい傾向にあります。

そのため、別の企業や信頼できそうな企業を探し、事業を率先して買い取ってもらうのです。買収の際は、M&Aと呼ばれるものを利用し、仲介業者を介して買収することもできます。買収を仲介業者に委託することでスムーズに進めることができますが、その過程や事業承継後には、税金が課せられたり、事業承継に事前に費用が掛かる場合が多いです。

また、親族間で承継を行った場合にも、事業承継と呼ばれることがあります。親族間で事業承継した場合にも、税金が課せられる可能性があるので、資金を前もって用意することが大切です。

事業承継補助金とは?

事業承継を行う際、経営革新、事業拡大、共同経営などの新しい取り組みを行うにあたり、経費の一部を補助する制度のことを「事業承継補助金」と呼びます。補助対象者は、主に中小企業が対象とされており、要件をクリアすることによって補助金が得られます。日本国内に拠点があること、そして国内で事業を営んでいることが大前提です。地域経済に貢献しているとみなされる中小企業者、産業競争力強化に勤しんでおり、市区町村の創業支援をしているなどの、一定以上の実績を有していることも必要不可欠になります。

中小企業は、大手に比べて資金繰りが芳しくない場合も多いですが、地域に密着していることも少なくありません。また、地域にあるからこそ新事業に乗り出した際に支援してもらえるというのは、中小企業にとっても嬉しいことです。しかし、中小企業といっても、資金援助を受けられるのは限られています。上記で挙げた条件以外にも、必要な要件があります。それは会社の規模で、人数や資本金を詳細に調べられます。

製造業
資本金3億円以下、または従業員が900人以下

卸売業
資本金1億円以下、従業員100以下

小売業
資本金5,000万円以下、従業員が50人以下

補助金の対象になる企業は、人件費・店舗借り入れ費・原材料費・旅費・広報費・委託費などを詳細に提出し、審査されます。また、事業承継補助金の応募は定められており、年に1度募集がかけられます。募集期間内に申請書類を不備なく提出しましょう。申請が通り、交付申請が完了した後は、補助金事務局という場所に出向き、審査や委員会との面談があります。晴れてそれに通過した後は、交付決定通知を受け取ることが可能です。

交付決定は、4月に募集が始まり、審査を経て大体3か月後の7月です。補助事業を実施し、完成報告書を提出することで完成です。補助金の額が決定すれば、金額を請求することができるようになります。募集があった場合、申し込んでから審査完了までは数か月かかりますが、それ以外にも書類の作成後に行わなければならないことがいくつかあります。それが、認定支援機関のサポートです。書類の作成や交付申請、完了報告を提出する際は、あらかじめ認定支援機関に提出し、確認されていなければなりません。

補助が始まるのは、4月に申し込んでも最長12月31日までかかります。交付の決定前に開始される事業は補助対象にはなりません。注意しましょう。また、事業が完了した報告は、完了後すぐや30日以内であったり、翌年の1月30日までに完了報告をする必要があります。補助金を交付した後は、5年間ずっと事業化状況報告を行うことが義務です。

補助金の種類

事業承継のイメージ図
事業承継補助金には2種類存在します。ここからは、事業承継補助金の種類と概要についてご紹介していきます。

後継者承継支援型

後継者承継支援型とは、親族内での承継・外部人材の招へいによって、個人事業主が事業譲渡をし、法人の代表者名が後退する場合に対象になります。援助を受ける人は、いくつかの条件に当てはまらなければなりません。

  • 経営の経験があるかどうか
  • 対象企業や別の企業で役員として働いたことがあるかどうか
  • 期間は3年以上であるかどうか

上記が審査に大きく影響します。個人事業主の経験が3年以上ある場合は有利です。どう業種に就いていること、知識があるかどうかも要件になります。対象企業や個人事業主での経験がある場合は、有利になり、経験があるとみなしてもらえるでしょう。または、創業や承継に関する知識を保有し、なんらかの研修や受講を受けているかどうかも要件になります。その際、「産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業」や、「地域操業促進支援事業」に積極的に取り組み、場合によっては研修を受けているかどうかも重要です。

これらの要件を、応募する前年度または年内の12月31日までにクリアしていなければなりません。その際、承継者が法人の場合は、事業譲渡や株式譲渡だった場合は、補助金を受けることはできないので注意しましょう。

事業再編・事業統合支援型

事業承継補助金の2つ目は、事業再開・事業統合支援型です。名前の通り、事業再編や事業統合の際に、経営革新のための資金を支援してくれます。

個人事業主が事業譲渡をする際や、法人の合併・分割・事業譲渡・株式譲渡などが主な対象になります。いわゆるM&Aと呼ばれる事業承継を行う場合、事業再編・事業統合支援型を利用しましょう。補助を受けるにあたり必要になる条件は、後継者承継支援型と同様になります。どちらになってもいいように、しっかりと読みこんでから検討する事がおすすめです。

事業承継補助金の上限と補助率

グラフのイメージ図
補助率対象経費の3分の2以内、または2分の1という決まりに則り、事業承継補助金の場合、補助金のタイプと規模によって補助金の上限は異なります。例えば、後継者承継支援型の場合、小規模の事業者・従業員の場合、補助金は200万円が限度です。しかし、事業所や既存の事業が廃止され、新しい事業を行ったり企業の中で事業整理が行われる場合は、補助金の上限がプラス300万円になります。小規模事業者以外であれば、補助金の上限は150万円になり、事業整理や新事業によって得られる上乗せは225万円です。

一方の事業再建・事業統合支援型の場合は、審査結果が上位だった場合と、そうでなかった場合とでは補助上限額が全く異なります。審査結果が上位になった場合は、補助上限額は600万円です。その場合の事業整理に関する補助上限額の上乗せは、プラス600万円にもなります。しかし、審査結果が下位だった場合は、補助上限額は450万円、事業整理による補助上限額の上乗せは450万円と、上位と下位とでは多少金額に差が生じます。

事業承継と事業の目的の関係性

事業承継に関し、要件さえ満たせば補助金を受け取ることが可能です。では、中小企業にこのように補助を行ってくれる目的とは一体何なのでしょうか。ここで、事業承継補助金を行う目的などについてご紹介します。

事業の目的と経費の内容

中小企業は、後継者問題に悩まされています。年々後継者不足によって悩まされる中小企業は増え、最悪の場合廃業を余儀なくされていることも多いです。しかし、中小企業の中には、地域に密着し、結果も取引先も十分にあるにもかかわらず、後継者問題が悪化したことで事業を立ち回らせることが不可能になることもあります。事業承継補助金を募ることによって、経営者が高齢化していても新しい経営者を探し、引継ぎを促進させる効果が期待できます。

また、後継者が見つかった後も新しい取り組みや新商品の開発ができるよう支援することが目的です。新しい取り組みを始める際、補助金がなければ企業が回らないことはよくあります。その不安を解消し、しっかりと支援することによって、日本の経済を陰から支えている中小企業の廃業を防ぐことができます。

事業承継補助金の対象経費とは

事業承継補助金では、補助対象経費も細かく指定されています。人件費やエアコンなどの設備も、場合によっては補助金の対象経費と認めることができるのです。承継者にとっては、様々な経費として利用することができる、とても便利な補助金といえます。しかし、交付が決定される前に発注したものは経費として認められません。注意しましょう。

困ったときは専門家に相談しよう

専門家のイメージ図
事業承継補助金をはじめ、事業承継に関する相談は、プロに相談するのが1番です。特に、事業承継補助金に関しては、お金が絡んでくることや専門機関への書類の提出などで不備があると審査に通る確率はとても低いです。その点、アドバイザーや専門家に相談することによって、書類の作成や進め方を提案してもらうことができます。専門家からの率直な意見や導きをもらえるので、事業承継をはじめ、事業承継補助金の申請をスムーズに行うことが可能です。

場合によっては、申請要件をしっかりと満たしているか詳しく見てくれる、認定経営革新等支援機関と連携することをおすすめします。採択され、少しでも確立を上げるためにも、まずは専門機関に行って相談しましょう。さらに、採択に向けた事業計画書を添削してくれるというのが魅力です。初めて申請する人にも親切な対応をしてくれるので、分からない部分や相談はしっかりと行い、書類作成の段階からサポートしてもらいましょう。

ウェブからも申請可能に!

事業承継やそれにかかわる書類・手続きでは、通常紙面でのやりとりがほとんどです。そのため、手続きに手間や時間が掛かることが多いのですが、事業承継補助金では、ウェブ上からでも申し込むことができるようになりました。必要書類の添付や図表の貼り付けなどもスムーズに行うことができるので、PCのスキルさえ持っていれば問題なく申請を行うことができます。IT関係やPCのスキルに不安を感じている方は、事前準備をあらかじめ行ったり、代行してくれる専門家を探すなどして対処しましょう。

申請書が採択されるためには

平成29年度以降、申請が採択される確率はかなり高いです。後継者承継支援型では約8割、事業再編・事業統合支援型では約5割となっています。前者の後継者承継支援型は、近年とても注目されている事業承継の手法のため、採用率がとても高いです。一方の事業再編・事業統合支援型も多くはないにせよ、地域活性化に貢献している場合は採択される傾向にあります。事業承継補助金の認知度は年々上昇傾向にあるため、採択率は年々変化していきます。効率よく、そしてしっかりとした事業計画をもって応募すれば、問題なく採択されるでしょう。

まとめ

事業承継をするにあたり、後継者から引き継いだ事業をさらに発展させていくためや、新しい事業を立ち上げるにあたり、資金が必要になります。事業承継補助金とは、申請をすることで審査が発生しますが、採択されると事業承継した事業に補助金が出るシステムです。事業の種類や内容によって金額の上限は上下しますが、要件を満たした中小企業を対象に、毎年募集を行っています。

4月から5月に募集を行い、早ければ7月、遅くても年内の12月31日までに採択されるので、それまでにしっかりと事業計画や報告書を作成しておくようにしましょう。補助金を得られることで、後継者問題で廃業しがちな中小企業でも、事業の再建や新しい事業の拡大など、幅広く行うことができるようになります。事業承継を検討しながら、事業承継補助金に関してもチェックしておきましょう。