M&A

LINEのM&A実績から見る企業の成長のための鍵とは

LINEはスマホアプリの中でも若い世代を中心に多く方がダウンロードし、利用しているアプリなのではないでしょうか。

そんなLINEは先日ご紹介したソフトバンク同様にこれまでに多くのM&A実績を持った企業でもあります。

ソフトバンクがM&Aを繰り返す理由って一体何?歴代M&A事情を大解剖

LINEがこれまでに行ってきたM&Aで得たものは何だったのか、M&Aを行うにあたりどのような成長戦略があったのか、本記事ではLINEのM&Aについて掘り下げて解説していきます。

企業の成長戦略としてM&Aを検討している方は是非参考にしてください。

LINEとは

そもそもLINEとは、スマホやタブレットなどで利用できるソーシャル・ネットワーキング・システム(SNS)の1つです。LINEアプリのユーザー同士であれば、無料のメッセージのやり取りや、音声通話、ビデオ通話ができるとして、若年層を中心に人気のあるアプリになります。

これらのやり取りは、国内外、通信キャリア問わず利用できるため、国内のアクティブユーザー数は2020年3月時点で8400万人と多くの人々が利用しているゆえんです。これは日本の人口の約67%ともなり、スマホを利用している人の殆どがラインをインストールして利用しているといっても過言ではないでしょう。

実際に、オフィス内でのやり取りもメールではなく、LINEのグループチャットでやり取りをする企業も増えてきています。

また、個人同士のやり取りに限らず、最近では、企業や個人事業主、自治体などが『公式LINEアカウント』を作成し、顧客などとつながるサービスも登場しました。友達登録をしているユーザーに対して新サービスなどの情報を配信することができますので、サイト訪問や、クーポン利用、店舗集客などにつながりやすくなるのが特徴です。

LINEのM&A実績

先日のコラムで、『ソフトバンクは発足当初からM&Aを多く実施してきたことで成長してきた企業だ』と解説しました。

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今回ご紹介するLINEもまた、近年スタートアップ企業とのM&Aが増えてきており、新規事業参入、拡大等を積極的に行っている企業です。

本章ではこれまでに行われたM&Aの動向について解説してまいります。

①ライブドアへのM&A

2010年、LINEはポータルサイト運営の株式会社ライブドアの全株式を63億460万円で買収し、完全子会社化しました。

この買収によって、ライブドアは関連子会社などのグループ解体と再編をし、2012年にはデータセンタ―と、有料のインターネット接続サービスを残して、『ポータルサイト ライブドア』事業をLINEに吸収合併される形となっています。

LINEで見ることができるLINEニュースは、この買収がきっかけです。

②ウェブペイ・ホールディングスへのM&A

2015年にLINEは子会社であるLINEPayを通して、ウェブペイ・ホールディングスを買収しました。

近年ますます電子決済、キャッシュレス決済等が広がってきておりますが、同M&Aはウェブペイの決済システム技術およびノウハウを活かして、2014年にLINEで提供開始した『LINE Pay』のさらなる機能拡充・利便性向上・事業拡大を加速させる目的としています。

③ファイブへのM&A

2017年LINEは、広告配信事業の強化を目的として、スマートフォン向け動画広告プラットフォームの開発、販売、運用を行うファイブと資本業務提携をしました。その後、ファイブの全株式を取得し完全子会社化しています。

買収金額は、51億1000万円で、国内スタートアップ企業の過去5年間のM&A売却・譲渡価額の大きい順からまとめてもこのLINEのM&Aはトップ10内に入ります。

LINEでは2016年6月から運用型広告配信プラットフォーム『LINE Ads Platform』の本格運用を始めており、ファイブとのM&Aによってファイブの動画広告専門技術やリリソースを活用して『LINE Ads Platfrom』をはじめとした、LINE関連サービスにおける動画広告の強化を目指しました。

④ウィンクルへのM&A

また、2017にLINEはIoT製品の企画、開発をしているウィンクルとも業務資本提携をおこない、同社を連結子会社化しています。

同M&Aにより、LINEとウィンクルの両社は最新のプロジェクション技術と、センシング技術を搭載する『Gatebox』およびウィンクルの優れた技術開発力とノウハウを活かしながらクラウドAiプラットフォーム『Clova』を活用したバーチャルホームロボットの共同開発を行っていくとしました。

 

⑤GrayHashへのM&A

2018年、LINEは100%子会社であるLINEPlusを通して、LINEのさらなるセキュリティ向上を目的として、韓国情報セキュリティ会社であるGrayHash Offensive Research Centerと資本業務提携を結び、完全子会社化しました。

GrayHash Offensive Research Centerは韓国を拠点に、『攻撃型リサーチ』とハッキング対策技術を専門に扱う会社でしたが、M&A後にG名称をGrayLabに変更し、メッセンジャーやフィンテック、Ai,ブロックチェーン、仮想通貨交換所といった各種LINEサービス向けのセキュリティソリューションの開発、最適化を行っています。

 

⑥夢の街創造委員会へのM&A

夢の街創造委員会は、『出前館』等のウェブサイトを通してデリバリーサービスをおこなう企業です。2016年にLINEは夢の街創造委員会の普通株式取得に関する譲渡契約を締結し、40億円で取得しました。

このM&AによりLINEからでも出前館の注文ができるようになるなどサービス展開の幅を広げることに成功しています。

⑦M.T.BrunへのM&A

M.T.Brunはターゲティング広告技術の専門家であるフリークアウトとスマートフォンメディア開発、運営の専門家であるイグニスのジョイントベンチャー企業です。

M.T.Brunが持つ1つの広告原稿を、各提携メディアのデザインに自動的になじませる技術や、メディアコンテンツの分析技術、ユーザーの興味に合わせたターゲティング技術などの技術は市場から高く評価されており、LINEは同社とのM&Aを行うことで、共同でLINEの広告プラットフォーム事業を拡大することを目指しました。

⑧マイナビバイトへのM&A

2019年にLINEは、アルバイト求人情報サービスのLINEバイトで、マイナビが運営するアルバイト情報サイトのマイナビバイトと、求人広告情報の提供に関する業務提携を開始しました。これにより、マイナビバイトで掲載されている約19万件以上の求人広告がLINEバイトにも掲載されるようになります。

比較的若年層の利用が多いLINEが入り口であれば、若年層の求職者にアプローチできる上に、LINE上でオファーを送れたり、LINE上で面接等のやり取りが可能になったりしますので、求人を出す側としても、求職者側としても利便性の高いサービスを提供することに成功しました。

LINEのM&Aでの成長戦略とは

このように、LINEでは国内外、相手企業の規模の大中小関わらず、多くのM&Aを行うことで、『SNSアプリ』の幅を越えて色々な事業への幅広い展開に成功しています。

特に、LINEは金融事業と人工知能(Ai)を軸に新たな成長戦略を描いており、2018年度には300億円を投資し、送金・決済サービスや独自のAiエンジンの開発を行っているところです。今後、キャッシュレスやITインフラとつながるコネクティッドカー等が多く活用されるようになる次世代に向け、新サービスを展開していく予定であるといいます。

単なるスマートフォン向けアプリケーション『LINE』から脱却し、生活インフラとしての役割を果たすべく、M&Aを行う、その成長戦略を紐解いていきましょう。

金融事業への参入

ネットショッピングや実店舗において、スマホを持っていれば簡単に決済ができるキャッシュレスサービスは近年多くの事業者が事業展開をしており、2020年3月時点のQRコード決済アプリの利用率は43%、2019年3月の12%から利用者が4倍近く増えるなど、市場は爆発的な拡大傾向にあります。LINEが提供するキャッシュレス決済サービス『LINEPay』もコンビニからスーパー家電量販店、飲食店など多くの施設で利用できるよう、店舗数の拡大していく方針です。

更にLINEは飲食店などを含む中小規模事業者を狙い、LINEPayの導入ハードルを下げる施策も始めています。店舗側のスマホに専用アプリをダウンロードするだけでLINEPayの決済に対応する『店舗用アプリ』を提供したほか、2018年8月から3年間はアプリを使って決済する場合の決済手数料を無料にするとしました。

競争が激化する国内の決済事業で、ユーザーの不安を取り除きながらスピーディにスマホ決済のインフラを構築していくことで、LINEPayの市場拡大を狙っていっています。

Ai事業への参入

上記のM&A事例の部分でも解説したように、2017年にLINEはウィンクル社と共同で『Clova』とよばれるバーチャルホームロボットの開発に着手しています。

同事業では、独自の音声認識Ai『Clova Auto』を開発しており、無料で最新の地図が利用できるカーナビアプリ『LINEカーナビ』と連携して操作ができるシステムの提供を開始しました。

『LINEカーナビ』や『Clova Auto』はトヨタ自動車が2018年冬に発売した車種と連携させることで、スマホとカーナビがつながって目的地までの操作ができるようになっています。従来までのカーナビですと、新しい道や建物ができても最新情報が更新されなかったために、ドライブ中でもスマホの地図アプリを利用して移動をしていたという方も少なくなかったでしょう。しかしLINEカーナビなどのように、スマホと車がつながることで、常にスマホのアプリ上の最新の地図をカーナビに表示することができるようになります。

 

また、『Clova Auto』の音声認識機能を利用することでドライブ中に音声で命令するだけで自宅の照明を消灯したり、カーナビ上でのLINEメッセージの送受信が可能になったり様々な機能を便利に利用することが可能になりました。

 

今後は、通信技術のさらなる向上やAi技術の急速な進歩もあり、ますますIoT製品やテクノロジーを利用した製品、サービス等の需要が増えていくことが予想されています。今後確実に市場拡大するであろうAi事業に今から手をつけていくというのも、LINEの1つの成長戦略であると言えるでしょう。

クロスボーダーM&Aによる海外戦略

LINEが行うM&Aは、国内の企業だけでなく、海外の企業とのM&Aの場合もあります。このようなM&Aは『クロスボーダーM&A』といわれ、M&A当事者のうち、譲渡企業または譲受企業のいずれか一方が海外企業である場合を指します。

LINEの利用者の過半数はアジアを中心とした海外ユーザーです。日本や韓国などにとどまらず、タイやインドネシアなどでも拡大しており、メールに変わる生活インフラとして浸透しつつあります。こうした海外市場への進出において、海外企業とタッグを組むことで、更に海外利用者の増加や市場拡大を見込むことができるでしょう。

特に、クロスボーダーM&Aが増えている理由としては、市場の成長が見込まれる海外での売上の獲得、新規事業参入、海外顧客の獲得などが主であるとされています。今後LINEはアジア圏のみならず、欧州など世界に通用するサービスを展開するべく、海外企業とのM&Aを続けていくのではないでしょうか。

まとめ

本記事では、LINEのM&A実績と、LINEのM&Aによる成長戦略について解説してまいりました。LINEは『メッセージアプリ』としか認識していなかったものの、生活の中で自然と他のサービスも利用していたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このように、LINEはM&Aによって次世代のトレンドとなる多くの事業を持つ企業とタッグを組み、SNSの垣根を越えた多くの便利サービスを提供することに成功したのです。

企業の成長戦略として、新規事業参入のため等、M&Aによる買収や売却等をお考えの方は是非DX承継くんまでご相談ください。

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