M&A

M&Aにおける投資ファンドの役割について徹底解説!

事業規模の拡大や、後継者不足にともなう事業承継に大きな効果が期待されるM&Aによる企業買収ですが、近ごろでは、中小企業やベンチャー企業などが積極的に行うケースが増えてきました。
今回は、このM&Aによる企業買収の中でも「投資ファンド」というものにスポットを当てて、その特徴や役割について、わかりやすく解説していきます。

M&Aにおける投資について

M&Aの活用によって事業規模を拡大してきた企業は数多く存在します。

最近までは、ソフトバンクや楽天などの大企業同士のM&Aが市場全体に大きな影響を与えてきましたが、近年においては、中小企業やスタートアップ、ベンチャー企業などによるM&Aの実施ケースが増加しており、後継者不足や国内市場の衰退による経営の継続困難を乗り越えるためにも、M&Aの活用が重要視されるようになっています。

そもそも投資とは

そもそも投資とは、元手となる現金を「動かしながら増やす」行為全般のことを言い、資産の運用などにおいては非常に重要な考え方です。

有名なところで言えば、株式の売買による「株式投資」という手法や、複数の投資家たちの資産をプロや専門家がまとめて運用する「投資信託(ファンド)」という手法など、投資のやり方にもさまざまなものがありますが、大きく分けると以下の2種類が存在します。

<証券投資>

まず、1つ目の証券投資ですが、これは配当や利子などの利益獲得を目的として行われる、株式や債券を購入する投資方法のことで、一般的な株式投資などはこの証券投資にあたります。

<直接投資>

そして、2つ目の直接投資は、経営戦略の遂行を目的として行われる投資方法のことで、正確には海外進出における投資の類型となりますが、国内でも同じ類型であるという認識で相違ありません。

M&Aと投資の関係

M&Aによる企業買収などは、上記でお伝えした直接投資に含まれます。

M&Aには、会社そのものを売買する場合の「株式譲渡」や「株式交換」や、一部の事業のみを買収する場合の「事業譲渡」や「会社分割」などがありますが、いずれも投資活動によって企業経営に介入することができるため、直接投資にあたると言えるでしょう。

M&Aでの投資ファンドの役割

投資ファンドとは、投資家たちからお金を集めて投資ファンドという「ビーグル(投資するための組織体)」を作り、そこから集めた莫大な資金を投資の専門家である「ファンドマネージャー」が、株式や債権、不動産などのさまざまな分野に投資を実施することで利益をあげる行為のことです。

利益はそれぞれが出資した金額に応じて再配分される仕組み。複数の投資家たちによる莫大な資金から、運用のプロが投資を実施することで、比較的ローリスクに資産運用ができる点が大きな特徴の一つとなります。

投資ファンドによるM&Aの流れとは

M&Aの流れと言っても、そのかたちはさまざまで一様なものではありませんが、一般的な企業における株式買収プロセスは、おおむね下記のようなフローとなります。

ターゲット企業の選定
ファイナンシャルアドバイザーの選定
ターゲット企業へのアプローチ
企業価値の算定
買収スキームの策定
交渉と基本合意書の作成
デューデリジェンスの実施
最終合意契約書の締結
クロージング

上記項目の詳しい解説については、銀行におけるM&Aの記事にて詳細な解説を行っているため、興味のある方はそちらの記事をご参照ください。

こうした一連の買収プロセスですが、ターゲット企業の選定からクロージングにいたるまで、短い場合には数ヶ月程度の案件から、長い場合には1年以上の時間を費やす案件までさまざまなものがあります。

投資ファンドによるM&Aの事例

ここからは、投資ファンドによるM&Aの買収成功事例を、あわせて3点ほどご紹介していきます。

「産業革新機構」の「ジャパンディスプレイ」の買収

「産業革新機構」とは、政府の財政投融資を民間の企業に委託する官民ファンドで、政府の基準を踏まえつつ、投資の判断自体は民間のプロフェッショナルによって行われる少し特殊な投資ファンドです。

「ジャパンディスプレイ」は、この産業革新機構の主導のもと、ソニー、東芝、日立のディスプレイ事業を統合して2012年に設立した企業で、誕生後間もない2014年には東証1部上場を果たしています。上場時点の売却益と含み益の合計では1,300億円の利益を上げるなど、わずか2年の短期間で大躍進を遂げました。

「ベインキャピタル」の「すかいらーく」の買収

ベインキャピタルは、世界的に有名な「プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)」の一つです。投資ファンドの中でも、主に非上場企業の買収を得意とする投資事業体の総称で、昨今、M&Aによる事業承継などを目的とした中小企業の買収分野において注目されている投資ファンドになります。

このベインキャピタルですが、日本でも大規模なM&Aを数多く手がけており、その代表格としては、ファミリーレストランチェーンの「すかいらーく」の買収などが挙げられます。

買収後の事業方針としては、全店舗の廃止や低価格帯ファミリーレストラン「ガスト」など展開し、2014年には東証1部に再上場させるなど、成功させています。

「企業再生機構」の「日本航空」の買収

2010年に実質的な経営破綻が公表された「日本航空」ですが、金融機関の破産を除けば過去最大の倒産劇となったため、メディアを中心に大きく取り上げられたことは、記憶にも新しい出来事ですよね。

この日本航空の立て直しに一役買ったのが「企業再生機構」という投資ファンドで、子会社やグループ会社の削減など、2012年の日本航空の再上場を大きく支えました。

まとめ

数々の成功事例からも理解できるように、投資ファンドを利用したM&Aは、一人の投資家への負担が少ないうえ、莫大な資本力を投資することができるため、ある意味では理想的な投資モデルとも言えます。

しかし、ファンドマネージャーやファイナンシャルアドバイザーの力量に大きく左右されてしまうため、投資ファンドを活用したM&Aを実施する際には、過去の実績や成約率などから、しっかりと信頼の置ける人選を行うことが大切です。