M&A

飲食事業を売るときに利用したいM&Aの手法とは

飲食店は非常に競争の激しい業種で、飲食店開業から1年後の生存率は70%、2年後で50%、3年後で30%、5年後で20%、10年後では5%~10%であると言われています。

このように、競争率が高く入れ替わりの激しい飲食店はM&Aが活発な業種の1つでもあるのです。ということは、飲食事業のM&A売却案件は多く出ている可能性もあるため、地域によっては選び放題となっているケースもあるでしょう。

そのため、飲食事業を行っている方で、M&Aをして事業を売却しようと考えている方はしっかりと戦略を持って行わなければ、他店舗に買収先を奪われてしまう可能性もあります。

そこで本記事では、飲食事業を売るときに利用したいM&Aの手法や、飲食事業をM&Aで売却するときの注意点、流れなどをまとめて解説いたしますので是非参考にしてください。

飲食店のM&Aの現状

前述に飲食店のM&Aは活発的に行われていると申し上げましたが、それゆえ競争率が高くなることが考えられることから、飲食事業の売却を検討している方は、実際の飲食店M&Aの動向が気になるところでしょう。

現状、人材確保の難しさ、仕入れや物流の高騰などの諸問題を解決するための策として飲食業界ではM&Aが多く活用されています。

これまでにも、外食大手のゼンショーが2000年にココスジャパンを、2005年にはなか卯を傘下に、2008年に井筒まい泉がサントリー傘下に、2014年には老舗料亭のなだ万がアサヒビールの傘下になるなど、飲食業界のM&Aはニュースでも多く取り上げられてきました。

特に記憶に新しいのは『いきなり!ステーキ』などのステーキ店を運営するペッパーフードサービスが主力業態の1つである『ペッパーランチ』を投資ファンドのJ-STARに85億円での売却を発表した話題でしょう。

このように、大規模、小規模関わらず飲食業界のM&Aは至るところで行われているわけです。

飲食店でM&Aが行われる理由

飲食店がM&Aで事業を売却する理由としては、大手飲食店やチェーン店などであれば、他事業に力を入れるためであったり、不採算店の借入金の返済に充てるなどの理由が大半であるといえます。要は経営再建に向けた原資の調達です。

一方、個人飲食店では、廃業を防ぐために行うということが多いようです。飲食店の廃業の理由としては、それこそ経営悪化などはもちろんのこと、後継者がおらずやむなく閉業してしまうパターンや、同規模飲食店との競争だけではなく、大手チェーン店との競争に遭遇し、価格などで太刀打ちできなかったなどの理由があげられます。

また、飲食店は個人経営の店舗も多く、開店作業から仕入れ、メニュー考察、接客、料理、閉店作業、精算などを行わなければならないため、日々戦略を考える暇もなく集客力を失ってしまうケースもあるでしょう。

いずれにせよ、経営の立て直しや、事業拡大などが飲食店がM&Aを行う主な目的であると思っていただいて問題ありません。加えて、会社同士で飲食事業の売買を行う場合はシナジー効果を期待して行われる場合もあります。

シナジー効果とは、M&Aで最も重要!シナジー効果が期待できるM&Aの特徴と発生させるポイント

飲食店売却におけるM&Aと『居抜き』の違い

M&Aで飲食事業の売却を検討している方であれば、『居抜き』という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。実はM&Aと居抜きは似ておりますが別物ですので飲食店におすすめの売却方法をお伝えする前に、まず双方の違いについて解説いたします。

飲食店の『居抜き』とは

居抜きとは、設備や内装をそのままにして店舗ごと売却する方法です。買収側としては設備費や改装費を節約でき、売却側としては原状回復工事が必要ないことなどがメリットとしてあげられます。

ただ、この場合、極端に言えば言えば運営ができる店舗を買うだけなので、売り手がこれまでに中華屋さんを営んでいたとしても、買い手は今後カフェをする可能性もあるということです。

M&Aと居抜きの違い

一方M&Aは、従業員やお店のコンセプトなどを売却するというイメージです。サービスやノウハウ、顧客、従業員をそのまま確保でき、そのままの形で経営者が変わるだけですので買収側としては、売り上げはある程度約束されるでしょう。

また、売却側としては、廃業をしたくなく、今後も自身が立ち上げてきた飲食店を誰かに引き継でほしいなどといった場合にM&Aを利用することでお店を今後もそのまま残すことができます。

ですので、先ほど解説したように、居抜きの場合は場所を売却するというイメージですが、M&Aはお店のコンセプトごと売却するというところに違いがあると思っていただいて問題ありません。

飲食店でM&Aをするには事業譲渡が得

基本的に個人の飲食店は法人格を持っていないことが殆どですので、事業譲渡を行うことが殆どです。また、法人格を持った飲食店については、一部の事業を切り離して他の事業に力を入れたり、引き継ぐ契約、引き継がない契約などを選択することができることから、事業譲渡を行うのが得であるといえるでしょう。

というのも、一定の従業員を残して売却し、その従業員を残した事業に振り分けることができたり、店舗だけは残すことができたりするからです。

今後の経営のことも考えながら、契約を一つ一つ見直して売却を行うことができます。

ただし、『ここは残したい』『ここはリニューアルしてもよい』といった譲渡条件についてはしっかりと先に開示して置くことが大切です。それらの条件を開示しなければ、お店のコンセプトや名前、雰囲気、メニューなど、新しいオーナーの意向で変えられてしまう可能性もあります。

また、事業譲渡は一つ一つの契約を見直しながら、売却の対象にするもの、しないものを選択できますが、それゆえ非常に手続きが複雑です。飲食店のM&Aにおいて、売却側にとってはメリットの多い手法であるものの、専門家の助言を受けなければ相手の手玉に取られる可能性もあるので注意しましょう。

飲食店のM&Aのながれについて

それでは最後に飲食店のM&Aでの売却の流れについて解説していきます。

①飲食店売却の事前準備

②M&Aの専門家に相談

③買い手とのマッチング

④売買成立

①飲食店売却の事前準備

飲食店をM&Aで売却する際は、事前の準備が必須です。仮に赤字なのであれば売却までに少しでも経営状態をよくしておくことで買い手が付きやすくなりますし、本当に売却してしまってよいのか、冷静に考えることもできるでしょう。

それだけでなく、金額や相場のリサーチ、飲食店を売却するメリットを明確することも重要ですし、売却した後のプロセスを構築していくことも更に重要です。特に個人の飲食店であれば、現オーナーは飲食店を売却した後、職がない状態ともなりかねません。しばらくは売却の際に得た売却益で生活することもできるかもしれませんが、その後の職などもしっかりと検討しておく必要があります。

それらも含めて飲食店売却の事前準備であることを忘れてはなりません。

②M&Aの専門家に相談

M&Aを行う際は基本的にM&Aの専門家等と相談しながら適切な買い手を探していきます。

というのも、先ほども申し上げたように飲食事業でよく行われる事業譲渡をはじめ、その他M&Aの手法も、書類作成などにおいて専門知識が必要である場合が多くあります。それに、買い手側もM&Aを行う際はM&Aの専門家を付けてくるはずです。

また、M&Aの交渉途中でもお店は休まず続けている場合が殆どだと思いますので、煩雑な手続に関してはサポートを受けるようにしましょう。

③買い手とのマッチング

M&Aの専門家と相談しながら、どのような手法を用いて、希望売却額はこのくらいでなどといった条件をきめ、買い手とのマッチングを行っていきます。

買い手が名乗りをあげたら、対象の買い手を実際に店に読んだり、面談をしたりします。その後、買い手側と売却価格や従業員の待遇、他の条件などを交渉し、条件交渉がまとまれば基本合意の締結となります。

この時の条件交渉については、後々のトラブルにつながらないよう、しっかりと詳細に決めておくようにしましょう。

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④売買成立

条件交渉や買い手側のデューデリジェンスの結果、問題なく飲食店の売却ができそうであれば、売買を成立させていくためのプロセスに入ります。

備品の確認や造作一式の物品など、確認リストを作成し、店舗内の譲渡する資産について細かく条件を決めた、『店舗資産譲渡契約書』や、賃借契約の締結等、M&A専門家の助言を受けながら事務手続きを完了させ、問題なければ引き渡しです。

その後、売却金額が指定の口座に振り込まれたら飲食事業のM&Aは完了します。

まとめ

本記事では売り手側から見た飲食事業のM&Aについて解説いたしました。冒頭でもお話しましたが、飲食事業は非常に入れ替わりや競争の激しい事業です。

生き残っていくためには今後、M&Aをしながらマンネリ化した経営体制に変化を与えたり、他企業と融合することで事業を拡大させていくことが重要になってくるのかもしれません。

とはいえ、飲食店に限ったことではありませんが大規模、小規模問わずM&Aを行う際は、しっかりとプロセスを構築し、ビジョンを明確にする必要があります。それぞれの企業にあったM&A、それぞれの店舗にあったM&Aを行い、成功させるためにも、M&Aの専門家に相談して丁寧に進めていくようにしましょう。

 

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