M&A

中小企業のM&Aの実態と事例から見る成功のためのポイント

日本の企業のうち、9割以上は中小企業が占めており、そのうち約7割は後継者不足に悩んでいるとされています。黒字企業であるにも関わらず、後継者がいないことからやむを得ず廃業とする中小企業も少なくありません。

そこで、そんな中小企業も事業承継等を目的としてM&Aが盛んにおこなわれるようになりました。

事業承継とは?経営者が知っておきたい事業承継について解説

大企業のM&Aにくらべ明るみになってニュースあげられることも少ない中小企業のM&Aですが、中小企業のM&Aはどのくらい行われており、どのような実例があるのか、本記事で解説してまいります。

中小企業のM&Aは増加傾向

以前よりもM&Aという言葉は広く認知されるようになってきており、実は大企業のみならず中小企業にとってもM&Aは身近なものになってきています。

中小企業庁の発表によりますと日本企業による2017年んおM&Aの成立件数は3050件と過去最多を記録しました。

2017年以降の公式データは、グラフ化されておらず、中小企業庁が公式では発表済みのデータが2017年までになりますが、いずれにしても2012年から6年連続で増加していることがわかります。

また、グラフにはありませんが2019年の日本企業におけるM&A実施件数はなんと過去最高の4008件を記録しています。2017年から見ても約1000件増加していることから、今後も中小企業でもM&Aが盛んに行われていくことが予想されるでしょう。

中小企業のM&A成功事例

ここからは、実際に中小企業で行われたM&Aのうち成功事例をご紹介してまいります。

・身内に承継者がおらずM&Aを実施した事例

地域のコンクリート建材を中心とし建設建材の商社としてビジネスを行っていたA社は、身内に後継者がいないことから、M&Aを検討し始めました。

そもそもA社はコンクリートのみならず鋳物やコンクリートの型枠の修理も手掛け、業務内容および社員教育等から同業社内で良い口コミが広がり順調に事業を拡大していました。

そのような背景や、当時800社以上もあった取引先や300社ある仕入先、社員の雇用を考えた際に廃業という選択肢はないと感じてM&Aを検討し始めたと言います。

その結果、北海道から関東で建設資材の販売、工事の請負施工、資材運送等を手掛けていたB社とM&Aを行ったことで、無事事業拡大を行うことができました。地域に根差した企業が他県進出に成功した例です。

・事業拡大のためM&Aを実施

C社は事業承継に悩んでいたわけではなく、目まぐるしい早さで変化していくビジネス環境のなか、勝ち残っていくために面白い会社と組んで面白い仕事をし、尖りながら事業拡大をしていきたいと思うようになったといいます。

C社は家庭用エアコンのメンテナンス事業を行っていた企業でしたが、同業社ではなく、事業シナジーを生み出せるパートナー企業を見つけたいと考え、M&Aを行いました。

中小企業では同業社とタッグを組むことで競合を減らしたり、事業の強化をする傾向にありますが、C社はパートナーとなることでシナジー効果を発揮し、結果的に事業拡大に結びつけることができました。

・社長高齢のためM&Aによる事業承継を実施

長年男性用カジュアルシャツの企画、製造を行ってきたD社は、中部地区を地場に堅調に事業を拡大してきました。ところが、創業社長が高齢となり、事業承継の問題が現実となってきましたが、社内に適当な人材もおらず、他社へのスカウトも上手くいかず、失敗していました。

そうした中、E社から『アパレル関連の会社を傘下に収めたいので紹介してほしい』という要望を受け、D社社長はリタイア、更に現状の取引関係の維持、スムーズな従業員の引継ぎのため、株式100%譲渡でM&Aを成立させました。

これによりD社は無事事業を引き継ぐことができ、同事業はアパレル関連の会社の傘下に入って事業を続けていくことができています。

・株式譲渡によるオーナーリタイアの例

ソフトウェア開発会社に勤めていた社長が独立創業した企業であるF社は、最初こそ関東で営業を行っていたものの、技術者の募集や雇用の容易な吸収に拠点を映したことで、あまり会社の規模を大きくすることができず、単価の下落や受注案件の増減に経営状況を流されやすい体質が悩みとなっていました。

そうした中、G社から大手企業との資本提携を含めたM&Aを検討している旨の連絡が入り、出資希望会社の選定をスタートさせました。

デューデリジェンスを実施し、事前条件交渉を概ね合意をしていたこともあり大きな問題もなくスムーズに最終締結までおこなえ、G社に全株式を譲渡することでG社子会社として再スタートをすることに成功しています。

・経営状態の不安からM&Aを実施

東京都内で和食、居酒屋など数店舗を展開していた飲食経営会社H社は、回転資金や運転資金などの借入負担も増加するなど、経営面で問題を抱えていました。

H社としては一刻も早く資金繰を安定させたいという意向があり、関東地方をベースに営業展開を行っている通信機器、電子機器の販売会社で携帯電話の普及とPCなど電子機器の販売拡大により事業を拡大していたI社へ事業譲渡を実施しました。

今後の事業展開や財務戦略を考え、立地的、業態的にシナジーの少ない店舗を譲渡をすることで、I社100%子会社として設立し、事業を続けられた上に、財務面も安定させることに成功しています。

中小企業がM&Aに成功するためのポイント

帝国データバンクによりますと、中小企業では、先述に申し上げた通りに後継者不足にお悩みの企業が多いことから、後継者難を背景とした『事業承継型M&A』はもちろんのこと、事業の再生を行うための『再生型M&A』も増加傾向にあるとされています。

業種別では不動産や建築工事関係のほかにも青アレルヤ美容系サービス、飲食店等小規模事業者のM&Aも多く見られます。このような中小企業とされる業態において、M&Aを実施するときに『小規模だからこそ気を付けるべきところ』はどんなところなのか、解説していきましょう。

・身内に承継者がいない場合は早めにM&Aに着手を

先ほど実施例にも事業承継の例をあげ、解説しましたが、身内に承継者がいないとなりましたら、リタイアを望む時期の1年ほど前からM&Aに着手しておく必要があります。

1年ほど前からM&Aに着手するということは、それよりもっと前から、M&Aで会社を売ったあと自身の老後やその後の生活はどうするのか、M&Aで事業をどのようにしていくのが目的であるのか、明確にしておく必要があるでしょう。

リタイアしたいと思ってから突然、スムーズに進められるといったことはありませんので、計画的に進めていくことが大切です。

・同業者を買い手とするのはリスクがある場合も

中小企業、および小規模事業者の場合は、原油高騰や消費低迷等構造的な問題を主因としたケースでM&Aを行う場合、業界全体が落ち込む場合が多い為、同業者を買い手としたM&Aはリスクがある可能性もあります。

多角化を目的とした異業種進出や、業界の勝ち組によるシェア拡大等の需要に関しては、事業譲渡などのM&Aスキームを選択するのが良いでしょう。

・デューデリジェンスを怠らない

デューデリジェンスとはいわゆる『事前調査』といい、売り手の企業に簿外債務などがなく、買い取っても借金を背負う等のリスクがないか調査をすることです。

デューデリジェンスの調査方法や意味とは?

デューデリジェンスを曖昧に行ってしまったり、デューデリジェンスが苦手な業者等に仲介を依頼してしまったりすると、後々多額の借金が見つかるといったケースも起こりかねません。

デューデリジェンスはしっかりおこなうこと、仲介業者がデューデリジェンスをしっかり行っているかどうかの確認は入念に行うようにしてください。

・M&Aスキームやプロセスの検討

中小企業の場合、大企業の場合のM&Aと違いM&Aにおけるスキームが限られてくる可能性があります。

買い手売り手双方の経営状態や、プロセスを明確化したうえで、選ぶことができるM&Aスキームはどのようなものがあるのか、そしてどのM&Aスキームを選択するのが良いか等、交渉の時点で話し合っておくことも重要です。

特に、M&Aスキームによっては契約関係がすべて引継ぎになるもの、ならないものありますので、注意しましょう。

まとめ

本記事では、『中小企業』に視点を置き、M&Aの実態と事例、そして成功のためのポイントについて解説してまいりました。

大企業同士のM&Aはニュースになりやすく、誰もが知っている企業同士のM&Aですと特に耳に入りやすいですが、日本の企業の9割が中小企業ということは日本で実施されているM&Aの少なくとも半分以上は中小企業の可能性もあります。また、明るみになっていない中小企業のM&Aは皆どのような目的でどのように進めているのか、気になるものですよね。

DX承継くんでは、コラムにて随時業種ごとのM&A事例や成功のためのヒケツ等をご解説してまいります。中小企業のM&A、また、M&Aに関する疑問等がありましたら下記のお問合せ窓口からお気軽にご相談ください。

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