M&A

売り手買い手それぞれの目線から見るM&Aを行う目的について

M&Aは近年多くの企業が実施し、その例などもテレビのニュースで取り上げられることも増えてきたことから、『M&A』について考えたりメリットを感じ始めている企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。

とはいえそれと同時に、ニュースに取り上げられるM&A事例の殆どは大企業同士であることが多いために、中小企業ではあまりメリットはないのでは?と感じたり、乗っ取りや強引な買収といったイメージをもっていたりと、なかなかM&Aに踏み込めない企業様も少なくないはずです。

確かにこのまま知識不足でM&Aを強行してしまえば良い結果は生みません。しかしM&Aは中小企業でもサラリーマンでも、しっかりとしたM&Aの知識を持っていれば自社や自身の成長につながるきっかけともなります。

本記事では、『そもそも何故M&Aをするのか?』といった疑問について、売り手買い手それぞれの目的を挙げながら解説してまいりますので、M&Aについて少しでも興味のあった方、逆に良くないイメージを抱いていた方も、M&Aの基本事項について詳しく知ることで知識を深めるきっかけにしてみてください。

そもそもM&Aは何故行われる?

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そもそも、何故M&Aが行われるのかというところで、全体的な理由から解説していきましょう。

 

主にあげられるのは下記の3つの理由です。

①事業承継

②イグジット

③経営戦略

 

M&Aを行う目的①『事業承継』

大中小企業すべてを含む日本の企業において、約6割りの企業が後継者不足問題を抱えているという社会的な問題があります。黒字でありながらも、後継者がいない、見つからないという理由から、廃業を余儀なくされる企業も少なくありません。

M&Aによって第三者に事業を承継することで、後継者が不在であっても事業を存続させることができます。

また、起業をしたいサラリーマンや、従業員がM&Aで企業や事業を買い取り経営を早期に始めるという目的でM&Aによる事業承継を行うこともあります。

M&Aを行う目的②『イグジット』

また、投資回収(資金回収)を行うための『イグジット(EXIT)』を目的とするケースもあります。

『イグジット』を直訳すると『出口』という意味です。投資業界では、『投資の出口』つまり株式等を買収した投資家が株式等を売却し現金化することを目的としています。

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M&Aを行う目的③『経営戦略』

他社のノウハウを買い取ることができるという面では、新規事業に参入したり事業の立て直しを行う『経営戦略』としてのM&Aも考えられます。

そのほか、起業としての『戦略』にとどまらずM&Aは個人およびサラリーマンの人生戦略を目的として行われることもあるものです。

というのも、昨今では医療の発達等から人生100年時代などと言われるようになり、老後は2000万円の貯金が必要ともいわれています。そうした中で、個人の資産運用として会社や事業を譲り受け、安定した老後の生活を求めてM&Aが行われています。

売り手「譲渡企業」のM&Aの目的

前項までは、売り手も買い手も総合して言えるM&Aの大きな目的について解説してまいりました。

ここからは本項次項と続けて売り手、買い手それぞれのM&Aを行う目的について解説してまいります。まずは売り手『譲渡企業』がM&Aを行う目的から解説していきましょう。

①後継者不足の解決

②事業整理のため

③従業員の雇用確保のため

④ノウハウを承継するため

①後継者不足の解決

先述でも触れましたが、後継者問題の解決は中小企業におけるM&Aの重要なメリットの1つです。後継者がいないことによって、黒字の企業でも廃業させる企業もある中、廃業ではなくM&Aによって事業を第三者に承継することで、事業を引き継げることはもちろん、売却益を得てリタイアできるなど、オーナーにとっても今後の生活を担保する手段ともなります。

②事業整理のため

事業を幅広く展開していると、不採算の事業が出てきたり、経営資源を上手く配分できていなかったりすることがあります。

M&Aは会社全体の譲渡に限らず、会社の中の一部の事業のみを譲渡することも可能です。そのため、不採算の事業を切り離すことで会社の中で必要な事業に注力できるなど、効果的な事業整理を行うことができます。

③従業員の雇用確保のため

仮に廃業をすると従業員の雇用もきれてしまいますので、従業員は職を失ってしまうことになります。しかし、その点M&Aは方法によっては従業員の雇用も買い手企業に引き継ぐことができるため、従業員の雇用を確保することができるのです。

ただ、オーナー自身が現在の事業を譲渡し、別の事業をする際に優秀な従業員を引き抜きたい場合は契約の1つ1つを見直す事業譲渡という方法を取ることで自動的に従業員の雇用が引き継がれるのを防ぐこともできます。

④ノウハウを承継するため

事業や会社を承継すると、これまで会社が培ってきたノウハウや技術を後世に残すことができるのもメリットの1つです。

また、魅力的なノウハウが蓄積されていると買い手側に認識された場合は買い手がつきやすくなる可能性もあるのでM&Aの開始から成約までの期間が短縮できるという面もあります。

買い手「譲受企業」のM&Aの目的

一方、買い手『譲受企業』のM&Aの目的は次のような目的があります。

①新規事業への参入

②既存事業の強化

③スケールメリットの獲得

①新規事業への参入

通常、企業内で新規事業を立ち上げるには人材確保からノウハウ蓄積までに、多大な時間的、費用的コストがかかる可能性があります。その上、新たな事業に挑戦するということですので、当然リスクも伴うでしょう。

 

しかし、その点M&Aで新規参入をしたい事業を譲受することで、人材やノウハウ、販路がそろっており、リスクやコストの削減が見込めます。新規事業における競争にも早期参入をすることが可能です。

②既存事業の強化

譲受企業と譲渡企業の強み、弱みがそれぞれ相互補完されることで、シナジー効果が期待できる可能性があります。譲受企業は既存事業の強化においてシナジー効果が期待できる会社を譲り受けることで、自社の弱みを補完することができるということです。

その際、M&Aで生産性の向上や、必要とする優秀な人材、新たな取引先を得ることができれば、事業強化に役立てることができるでしょう。

 

M&Aを行う前に、既存事業および自社の弱みや強みはどのような部分なのか、譲渡企業にどのようなノウハウを求めるのか等を明確にしておくことがより高い効果を得るために重要です。

③スケールメリットの獲得

売り手企業の資産や従業員などを自社に譲り受けることで会社の規模の拡大を図ることも、買い手におけるM&Aの目的の1つです。会社規模が拡大すると、交渉力やブランド力が強化されるため、スケールメリットが見込めるというブランディングにおけるメリットがあるからです。

例えば、大量仕入れによる仕入れコストの引き下げや、知名度向上による広告費の削減、営業のしやすさ、採用力の強化などがあります。

M&Aの始め方と着手前に気を付けるべきポイント

M&Aの実施件数は年々増加傾向にあります。特に、2019年には前年比1.06倍増の4088件となり、過去最高件数を記録しました。

2019年は日本企業同士のM&Aと日本企業から海外企業のM&Aで、共に過去最高を記録するなど、日本企業同士のM&Aにとどまらず海外においても積極的にM&Aが行われるようになったことも件数増加の要因の1つと言えるでしょう。

 

中小企業においても事業承継のためにM&Aを行った件数が616件と過去最高を記録していることからも、今後企業規模に関係なく様々な企業がM&Aを行っていき、実施件数もますます増加していくことが予想されます。

 

では、ここからは、M&Aの始め方と着手前に気を付けるべきポイントについて解説してまいります。

M&Aを行う目的やメリットを明確にする

まずは、M&Aを行う目的やメリットを明確にするということです。何故今M&Aが必要で、相手企業にどのような魅力があり、自社もしくは自身にどのようなメリットをもたらす可能性があるのかというところを可視化しておく必要があります。

 

目的やメリットを明確化することは、M&Aプロセスや、M&Aを行った後の経営方針のスムーズな確立に役立てることができます。M&Aに失敗する殆どの理由はプロセスが曖昧だったことによるM&A実施後の事業悪化ですので、計画は入念に立てておくようにしましょう。

M&A前に企業価値を確認する

概算を事前に把握しておくことで、自社の企業価値をあらかじめ知っておくことができ、譲渡先との交渉の目安になります。

買い手企業は少しでも安くで買いたい、売り手企業は少しでも高く売りたいと思うのが普通です。金額交渉で妥当な金額を出すことができなければ、せっかく買い手が現れても契約まで進まない可能性もあるので、企業としての価値はどのくらいあって、譲渡金額はどのくらいが妥当なのか、調べておくことが大切です。

従業員への周知は直前に

会社や事業を売ること、買うことは当然従業員にも関係のない話ではないですので、従業員には早めに周知しておかなければならないと考えるかもしれません。また、最後まで周知しなかったことによって不信感を抱かせてしまうことを危惧する経営者もいらっしゃるでしょう。

 

しかし、従業員の周知はM&Aの契約関係がすべて終了し、譲渡や譲受を実行する直前に行うことが重要です。

というのも、まだ検討や契約交渉中の段階で、M&Aを検討していることや交渉を進めていることが従業員に知られてしまうと、従業員が不安に感じてM&A成立前に会社をやめてしまうような事例もあります。従業員の持っているノウハウの獲得が目的でM&Aを行っていたような場合は、従業員が辞めたことにより、契約自体を白紙にしようと申し出る買い手もいるでしょう。

 

このように、従業員への情報漏洩を防ぐためにも、M&Aでは秘密保持契約を結び、最後に周知を行うよう注意しなければなりません。

まとめ

近年日本でも実施件数が増えてきており、盛り上がってきているM&A市場。買い手売り手それぞれ、M&Aを行うのには

『売り手(譲渡企業)』

①後継者不足の解決

②事業整理のため

③従業員の雇用確保のため

④ノウハウを承継するため

『買い手(譲受企業)』

①新規事業への参入

②既存事業の強化

③スケールメリットの獲得

というような目的があり、着手前にはM&Aによるメリットや企業価値を明確にしたり、従業員への周知のタイミングを気を付けたりと、注意しなければならないということについて、詳しく解説いたしました。

M&Aは実施件数こそ伸びてきているものの、当然注意事項を留意していなかった場合などは失敗している事例もあります。M&Aを実施すれば必ず成功し、企業として拡大していくことができるというわけではありませんので、しっかりとした事前調査、専門家への相談などを怠らず、進めていくようにしてください。

DX承継くんでも企業規模問わずM&Aに関するご相談を無料で承っておりますのでご興味のある方、検討中の方は是非お気軽に下記のお問合せ窓口からご連絡ください。

 

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