M&Aで陥りやすい落とし穴とは?失敗しないための対策を解説

M&Aをお考え中の方は、経営再建や後継者問題の解決、新規事業の立ち上げや事業拡大など、様々な目的をお持ちでしょう。

M&Aは初めての経験となることが多く、自社の事業承継を考えるにあたり不安を抱えている経営者も多いのではないでしょうか。

本記事では、M&Aを成功させるために気を付けるべき、M&Aで陥りやすい落とし穴から、失敗しないための対策を詳しく解説いたします。

日本企業によるM&A

出典:2020年のM&A回顧(2020年1-12月の日本企業のM&A動向

 

日本企業における国内M&Aの需要は、最近新型コロナの影響で一時落ち込みはあるものの、全体的には年々増加傾向にあります。

とくに中小企業では、後継者不足問題で、会社を第三者などに譲る事業承継のニーズも増えていることからM&Aは注目を集めています。

コロナの影響は今後のM&A取引にも大きく響くと予想されており、M&Aの成功や失敗の評価軸や要因にもつながっていくと推察される状況です。

日本におけるM&Aの成功率

【参考:デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 M&A経験企業にみるM&A実態調査

 

日本におけるM&Aの成功率は2〜3割と言われていましたが、近年では4割〜5割まで上昇している状況です。

成功率上昇の背景には、M&Aのノウハウが共有や浸透されていることや、M&A仲介会社やマッチングサイトが増加していることが挙げられます。

また、M&Aの専門家やアドバイザリーの活用によって、成約に至るまでのサポート体制の充実化も要因しているでしょう。

M&A成功率上昇の背景

M&A目的の変化

バブル崩壊の時代は日本経済の悪化により、事業再生や会社の再編などでM&Aが行われていました。

当時は、経営や財政状況が厳しい企業によるM&Aが多かったため、成功率は低いという状況でした。

しかし現代では、事業拡大や事業承継、海外進出など、前向きな目的で行われるM&Aが増加していることで、以前より成功率が高くなっています。

 

M&A支援機関や制度の充実化

バブル崩壊時期には、M&Aの支援を行う機関や制度が整っていなかったため、成功につながるケースは少なかったと推察されます。

現在は、M&Aの仲介会社やマッチングサイトの普及により、サポート体制も整っていることが、全体的な成功率の底上げに起因してるでしょう。

事業承継の失敗例

親族間のトラブル

経営者が自分の子どもを後継者にするケースが多いものの、親族内に後継者候補になる人間が複数人いる場合は注意が必要です。

派閥争いや後継者よりも他の親族が保有する株式が多い場合はトラブルの要因にもなるため、揉め事に発展しないよう慎重な判断が求められます。

 

準備不足

準備不足となるケースが、経営者の急逝など突然、事業承継を急がなければならないケースです。

経営ノウハウなどの引継ぎが不十分で事業を引継ぐことは、後継者のスキルや経験不足による経営や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

議決権が確保できない

株式を複数人が保有している場合、議決権を行使することで人事の選任に関して意思表示をすることができます。

後継者を快く思わない人が決議権を使うことで、経営に対して影響を与えることができますので、先を見通した決議権の確保は重要です。

 

後継者が見つからない

事業承継を希望していても後継者が見つからない場合には、会社は廃業に追い込まれることもあります。

親族承継にこだわらず、M&AやMBOを視野に、早めに後継者探しの方策を立てて準備していかなけれないけません。

 

引退した経営者が経営に携わる

これまで経営してきた会社を事業承継で後継者に委ねるのは勇気が必要ですが、引退後も積極的に関わろうとする姿勢は望ましくありません。

またその間、後継者は従業員と取引先との信頼関係が築けないため、将来的に業績の結果が傾いてしまうことになり兼ねません。

失敗してしまう経営者の特徴

M&Aに関する勉強不足

経営者は会社に関係する情報を常に取り入れ、学ぶ姿勢が求められます。これだけやれば十分という境界線は無いと言えるでしょう。

失敗する経営者は、自身の勉強不足を棚に上げて経営や業績不振を、環境や従業員のせいにすることがあります。

 

状況対応力が低い

会社や社会の状況変化に、臨機応変な対応力が低い経営者は、日々変化する顧客ニーズや社会情勢、業界動向についていけません。

状況対応力は性格や向き不向きの部分もあるので、どうしても苦手という経営者は管理職研修などのセミナーを受けるのも良いでしょう。

 

人材配置のバランスが悪い

人材のバランスや配置は、経営に直結します。人材配置のミスは意外と多く、その事実に気づかない経営者もいます。

人材配置を重視しない経営者は経営を失敗させる要因になりますので、部署内の情報もできるだけ把握しておくことが大切です。

 

ワンマン経営者

ワンマン経営はメリットもあるので絶対に良くないわけではありません。しかし、経営者自らが活躍しすぎるのは注意が必要です。

社員の自主性が育たずイエスマンばかりになったり、経営者の判断をそのまま受け入れる企業風土が育つ要因になってしまいます。

 

成功体験のみを判断材料にする

年配の経営者に多いタイプが、過去の成功体験にいつまでも囚われてしまい、考え方の柔軟性を失ってしまうケースです。

これからの時代、デジタル化などの時代の変化を受け入れ、成功体験に固執しすぎずに視野を広げていくことが重要です。

M&Aでよくある失敗パターン

①M&Aの経験や実績よりもコストを重視しアドバイザー選びをしてしまった

②M&Aを検討している情報が外部に漏れてしまった

③正確な会社の情報開示をしなかったため適正な評価を得られなかった

④M&Aの選択肢があることを視野に入れずに廃業してしまった

⑤M&Aに労力と時間を割いたために大幅な業績悪化を招いてしまった

⑥M&Aの交渉段階になってから債務が発覚してしまった

⑦M&Aの実施中の交渉や対応姿勢、情報のやり取りが不誠実だった

⑧一度提示した条件を変えてほしいと希望したため不信感につながった

⑨株式譲渡をしたいにも関わらず、株式の整備不足が発覚し会社の信用を下げてしまった

⑩目先の利益に気を取られM&Aの候補先企業の選択を誤った

⑪M&Aの話を持ち込まれ、はっきりした意思や根拠がないままM&Aを進めてしまった

⑫コンプライアンス違反をして破談になってしまった

⑬専門分野外のM&Aを行い投資費用がかかるなど失敗してしまった

⑭売り手の企業調査(デューデリジェンス)不足で、M&A成立後に問題点が発覚した

⑮売却(買収)価格の妥当性に欠けており破談になった

⑯専門家のリーガルチェックを受けずに曖昧な契約書を作成し契約書自体が無効になった

⑰株主の同意を得られなかったため円満なM&Aを実行できなかった

⑱買収後に売り手企業との統合プロセスがうまくいかなかった

⑲買収先の従業員や取引先から反発を受けた

⑳買収後も旧経営陣が運営し続けて経営が思うようにできなくなった

M&Aで陥りやすい落とし穴

売り時の判断を誤ってしまう

会社の売り時は、買い手が買いたいと思うときであり、経営者が自分の都合で売りたいときではありません。

タイミングを見誤ると、買い手が見つからず、ようやく見つかったときは売却価格が大幅に下がってしまっていることもあるのです。

 

経営者が踏み切れない

従業員のことを考えすぎてしまったり、経営者自身がなかなか決断に踏み切れないケースも多いのが現状です。

そうこうしているうちにベストな売り時を逃してしまいます。家族や役員に相談しても、最後に決断するのは経営者自身なのです。

 

企業価値を意識していない

会社の業績が良い時は、売るのが惜しくなってしまうものの、景気が悪くなり、会社の業績が悪くなると、すぐに売却したくなってきます。

そのような状態では買い手は見つかるはずもありません。手放すのが惜しいくらい企業価値のあるときが売り時ということを意識しましょう。

 

売却条件が多すぎる

とくに創業社長の場合は会社への想いは人一倍強い傾向があり、売却時には様々な条件を付けがちです。

M&Aは相手がある話ですので、条件を提示する場合は優先順位を付けて、相手に歩み寄ることが大切です。

 

M&Aの目的がブレる

M&Aがゴールになってしまったり、目先の利益に目がくらんで本来の目的を忘れてしまうとM&Aを失敗させる要因になります。

キリンのM&Aの失敗例では、将来を見据えてブラジルのビール業界2位の企業を買収しました。海外進出を急ぐあまり、M&Aは失敗しました。

 

第二の人生が明確になっていない

経営者の第二の人生設計が明確になっていない場合も、M&Aで失敗しがちなケースのひとつとして認識しておきましょう。

明確でない場合は、M&Aに踏み切ることに時間がかかり、決断事項や話もなかなか進まないのです。

M&Aの成功させるための対策

M&Aについて情報収集する

売り手企業より提出される資料の精査や実地調査などの情報収集を徹底し、M&Aで発生するリスクや課題の洗い出しをしていきます。

事前にリスクや課題を把握できれば、十分な対策を行うことができますし、適正価格で交渉することも可能となります。

 

専門分野で行う

現在のM&Aは、専門分野外の進出も増えていますが、失敗しないためには専門分野での実施をおすすめします。

もし専門分野外で行う場合は、専門家に相談をし、事前にマーケティング調査を行い、事業を伸ばすための戦略を綿密に立てる必要があります。

 

目的を持って戦略的に行う

M&Aを検討する時点で、何を目標とし何のために行うのか、どのような戦略のもとで達成していくのかという目的を定めることが大切です。

目的が明確になれば、相手企業選びや条件の優先順位を間違えることもありません。社内でM&Aに関わるチームを発足することをおすすめします。

 

買収金額に注意する

M&Aにおいて、買収価格はとても重要です。投資に見合った結果とならなかったり、交渉中に破談になる要因にもなります。

妥当性があると考えられる価格は、複数のM&A仲介会社やサイトを利用して価値査定を比較するのも良いでしょう。

 

情報は包み隠さず開示する

売り手企業は、自社を高く売りたい想いが強いので良い所をアピールしがちですが、正しい情報開示を行わないとトラブルに発展しかねません。

都合の悪い情報を隠したり、虚偽の情報を伝えるなどの行為は、裁判に発展する可能性もありますので、誠実な情報開示が大切です。

 

交渉も丁寧に

誠実な経営者でなければ、手を組みたくないと受け取られてしまいます。M&Aの交渉は丁寧に誠実な態度や姿勢で臨みましょう。

M&Aが成立した後も、相手企業の従業員や取引先の協力が必要ですので、信頼を得るためにも丁寧に接していくことを意識することが大切です。

 

M&A成功後のビジョンを描く

交渉途中で方向性がぶれたり判断を見誤らないためにも、買収後のあるべき姿を想定し、M&A成功後のビジョンを描くことが重要です。

すべての資料や内容をデータ化し形にして残しておくことと、関わる人たちとの認識の共有にも役立つでしょう。

 

慎重な統合

M&Aが失敗する要因の中でも大部分を占めるのが、統合過程の失敗です。統合過程を重要視すると、M&Aの成功率を上げることができます。

両社の戦略や販売体制、情報システムから人事や評価制度等の統合に至るまで、統合過程を重視することがM&Aの成功率を上げるポイントです。

 

専門家へ相談する

法務、税務、会計、労務など幅広い専門知識だけでなく、対象企業の所属する業界やM&Aに関する知識も必要となってきます。

M&Aで事業承継を行う際は、M&Aアドバイザーや専門家へ相談しながら進めることをおすすめします。

事業承継のご相談ならDX承継くんへ

M&Aで成功率をあげるためには、専門的な知識が必要になりますので、無用のトラブルを起こして成功率が下げないためにも早い段階でM&Aアドバイザーに相談することをおすすめします。

DX承継くんでは、売却主様からのご相談はもちろん、事業や会社を買いたいという方からのご相談の両方を承っています。是非事業承継や事業をお考えの方はお気軽にご相談ください。

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