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三井物産が東京ドームに対しTOBを実施!そのねらい目は?

今年2020年は、コロナ禍における不況でありながら多くの大型TOBが行われた年でもありました。そうした中、先日11月27日に三井物産が東京ドームに対し有効的なTOBを実施する旨を発表したことで、更に『TOB』に対する注目を集めているところです。

三井物産といえば、広島のマツダスタジアムを拠点にボールパークタウンを構築し、成功を収めた実績があります。今回も東京ドームの買収に成功すれば東京ドームを拠点としたボールパーク構想を実現させる可能性もありますが、その狙いはどのようなモノなのでしょうか。

本記事では、三井物産による東京ドーム買収の背景と、TOB成立までの道のりについて解説してまいります。

よく聞く『TOB』って?M&Aにおける『MBO』と『TOB』の違い

三井物産によるTOBの概要

まずは、三井物産によるTOBの概要から解説していきましょう。

買収価額は1000億円超に

三井物産が2020年11月27日に発表した内容によりますと、東京ドームにTOBを実施し、完全子会社化する狙いです。東京ドームの経営陣は同TOBに賛同しており、有効的買収となります。1株当たり1300円での買い付けで、最終的な買収価額は約1,200億円となると予想されており、買い付け期間は2020年11月30日から2021年1月18日までです。

読売新聞に20%譲渡

三井物産による東京ドームの完全子会社化が成立した後は、読売新聞に東京ドームの下部のうち20%を譲渡し、3社間で資本業務提携が締結される予定です。つまり、三井物産と読売新聞の2社が共同で東京ドームを買収するとお考えいただいても問題ないでしょう。

3社間で資本業務提携を結ぶことで、三井物産は東京ドームを中核とする、ボールパーク構想の実現の狙いがあるとみられ、広島『マツダスタジアム』につづく一帯を巻き込んだ街づくりが行われることが予想されます。

東京ドームは香港ファンドと対立中

しかし、東京ドームは現在、東京ドーム株の約10%を保有する香港ファンド『オアシス・マネジメント』から、デジタル化や経営改善が遅いとして取締役3人の解任を求められているところです。香港ファンドと東京ドームは同問題をめぐって激しく対立をしており、三井物産と読売新聞が『ホワイトナイト』として名乗りをあげた形となっています。

三井物産が東京ドームを買収する理由は

では、三井物産が東京ドームの買収に踏み込んだ理由や狙いはどのようなことが考えられるでしょうか。下記に解説してまいります。

ボールパーク構想の実現

1つはボールパーク構想の実現です。ボールパーク構想とは、簡単に言えば野球を中心に街一帯を盛り上げようというもので、既出の例に広島のボールパークタウンがあげられます。広島のボールパークタウンは2008年に、球場での商品販売や特別関連席の開発などを広島カープから受託し、老若男女が楽しめる球場を作り上げました。

更には、周辺一帯をレジャー施設やホテル等で充実させ、相乗効果で観客動員数は2013年以降右肩上がりを記録しています。

三井物産は東京ドームを買収することで、コロナ禍で落ち込んだ東京ドーム一におけるイベントの需要を再度、野球を中心に盛り上げようという狙いがあるのではないでしょうか。

スポーツ・レジャー事業での収益源確保

そもそも三井物産はビル賃貸や国内の住宅の分譲などが主軸で、コロナ禍においても殆どすべてのセグメントで利益を伸ばしてきました。そこで、東京ドームを買収することで、手薄だったレジャー分野に収益源を広げる狙いもあります。

先ほどに解説したボールパーク構想とも繋がる部分ですが、三井物産は広島のマツダスタジアム周辺エリアの再開発にも携わった企業です。今回はその第2弾と位置づけ、東京ドーム周辺エリアにレジャー施設やホテルなどを充実させ、テナント誘致やホテル運営効率化による再開発も視野にいれられているでしょう。

読売巨人軍との連携強化

そういった意味では、読売新聞との業務提携は、三井物産による『ボールパーク構想』の実現において大きなカギを握っていると言っても過言ではありません。そもそも、東京ドームはスポーツ施設でありながら読売巨人軍との関係が希薄であったという側面がありました。

その点、今回のTOB成立後、3社間で資本業務提携が結ばれることで、読売巨人軍との連携も強化できるようになるでしょう。

 

読売巨人軍との連携が強化できれば、ボールパーク構想も容易に実現することができる可能性が高くなるということです。

スタジアム内の広告強化

また、3社間で業務提携を締結することで、スポーツの広告スペースの拡充や選手のグッズ販売の強化を行う方針です。コロナ禍で外出による消費が低迷している中、広告やグッズ販売を強化することで、消費を促したい狙いもあるのではないでしょうか。

TOB成立のカギは香港ファンドが握っている!?

広島などの例を見ても分かるように、レジャー施設やホテル、商業施設から公園まで、老若男女が楽しめる施設が一帯となったミクストユース型の開発に強みを持つ企業です。そんな三井物産とのTOBは、大きな期待が寄せられているのではないでしょうか。

とはいえ、成功するのが当たり前かのように見える同TOBですが、成功するか否かは香港ファンドがカギを握っているといっても過言ではありません。

そもそも、今回三井不動産が提示したTOB価格は新型コロナウイルスの影響で東京ドームの株価がへこんでいたこともあり、1株1,300となっています。これは、コロナ前のベースから考えても割安なのではという指摘もあり、香港ファンドがあっさりと手を引くとは考えにくいからです。

ただ、他株主のみずほ銀行に関しては、すでにTOBに応募すると発表しています。TOB成立に関しては、香港ファンドやその他株主の動きに注目する必要があると言えるでしょう。

まとめ

本記事では三井物産による東京ドームへのTOBの概要解説、およびその背景と狙いについて解説いたしました。

三井物産は広島のマツダスタジアム周辺の再開発を行った企業として有名であり、今回の東京ドームへのTOBを実施する上でも、『ボールパークタウンが実現するのでは』と話題になっています。東京ドームのある文京区は、日本の中心の中心といっても過言ではありません。そんな街が野球をはじめ、大型イベントを通して多くの人が集まる街となれば、日本の元気の源となる可能性もあるでしょう。

とはいえ、同TOB成立の可否に関しては、香港ファンドの動きにゆだねられています。今後の動向に関しては香港ファンドの動き次第というところになるはずです。買い付けは本11月30日にすでに始まっていますが、来年1月18日までの買い付け期間の間に香港ファンド側、もしくは他株主に動きがあるかもしれませんので目が離せません。

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