DX

NTTがドコモを完全子会社化!TOB総額は約4兆円の大規模M&A

5Gサービスが2020年3月に開始され、ドコモをはじめモバイルキャリア3社が新たな競争のステージにたっているそのさなか、9月29日に取締役会を開きNTTがドコモをTOBで完全子会社化すると発表しました。

ドコモはNTTの屋台骨を支える収入の柱ともなっており、4月から6月にはNTTの営業利益の56%の利益を出しています。完全子会社化することで、貢献の割合を更に引き上げることができると見られますが、今回のTOBの背景として、NTTとドコモ双方にどのような経営戦略があったのでしょうか。

また、ドコモを完全子会社化することで、グループ内の意思決定のスピードが速くなり、携帯料金の値下げ等につながる可能性もありますが、菅総理大臣が目玉政策としている『携帯電話の通信料値下げ』と同TOBとの関連性はあるのでしょうか。

本記事では、NTTによるドコモの完全子会社化の詳細と、狙い、そして通信料値下げとの関連性などについて解説していきたいと思います。

NTTが4兆円規模のTOBでドコモを完全子会社化へ

NTTとNTTドコモは、9月29日に取締役会を開き、NTTがNTTドコモの株式をすべて取得し、完全子会社化することを決定しました。

まずはTOBの詳細について解説していきましょう。

・TOBの詳細

ドコモ株をおよそ66%保有するNTTは、TOB(株式公開買い付け)を実施し、ドコモ株式の残りをすべて取得することになります。これによりドコモの吉澤和弘代表取締役社長は、社長職を退き、現副社長の井伊基之氏が代表取締役社長に就く方針です。

MBOとTOBの相違点とそれぞれのメリット・デメリットについて解説

なお、NTTはドコモを完全子会社化することでドコモの利益のすべてをNTTグループに取り込むことができ、さらに投資を加速させることができるようになります。

・買い付け資金4兆3000億円を借り入れ

ドコモ株は29日、前日比16%高の3213円で取引を終え、NTTのTOBへの投資額は約4兆円上るとされています。4兆円規模のTOBは国内企業のTOBとしては過去最大級となり、歴史に残るTOBの1つとなるでしょう。

ただし、NTTは時価発行増資により4兆円の資金を調達することは難しいことから、買い付け資金として6社から4兆3000億円借り入れてTOBを行う見込みです。

・ドコモはTOB後上場廃止

ドコモは9月28日時点では上場企業でありましたが、ドコモがNTTの完全子会社になるということは、ドコモはTOB後に上場廃止となります。

ちなみに、冒頭でも少し触れましたが、現在菅内閣の目玉政策として『携帯電話の通信料の値下げ』が挙げられています。携帯料金値下げはいわゆる収益悪化を意味するため、ドコモ一般株主にとってはマイナスとなりますが、上場廃止をすることで携帯料金値下げを実行しやすくなるでしょう。

気になる完全子会社化による狙いや携帯料金値下げとの関連性については次項以降で触れていきます。

完全子会社化によるNTTとドコモの狙い

そもそもNTTドコモは、母体であるNTTから1992年7月に分離独立をしました。それから20年以上たった今、再び完全子会社化することとなったわけですが、それには双方の企業にどのような狙いがあるのでしょうか。

・リソースの集中化

先述にも申し上げた通り、ドコモは現在NTTの総営業利益のうち約過半数をになっています。NTTとしては、ドコモを完全子会社化することですべての利益を取り込むことができるという利点が生まれるわけです。

更には今後はNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアなどのグループ企業もドコモへ移管することを検討しているとして、リソースを集中させることを目的としています。

・グローバルで活躍する企業としての成長戦略

また、ドコモは、KDDIとソフトバンクを含めた大手携帯キャリア3社の中で、シェア率はナンバーワンであるものの、現状収入利益は三番手です。更に、今年3月に5Gサービスが日本でも開始されましたが、米中が先陣を切って開始したことで日本は少々遅れをとっているとされてきました。

5G通信や5Gに付随する各種サービス、通信以外のプラットフォーマーなどの強化を行う上で、完全子会社化は、ソフトウェアや固定回線などに強みを持つNTTとドコモの強みを大いにかけ合わせグローバルで活躍する企業に成長するための戦略でもあります。

・競争力の強化

今後は、ドコモがNTTの完全子会社になることで、携帯料金の値下げはもちろんのこと、5Gやその先の6G、IWONなどのサービス展開を行っていくことができれば、当然KDDIやソフトバンクとの競争率も激化することが予想されます。

補足すると、IWONとはNTTが2030年頃の実用化に向けて推進している次世代コミュニケーション基盤の構想を指します。ネットワークからそれを受けるモバイルなどの端末までをエンドツーエンドで光化する『オールフォトニクス・ネットワーク』を目指すものです。

ドコモが今後上記のようなサービス開発や展開もNTTと連携し率先して行うことで、モバイルキャリア同士の競争力の強化につなげることができます。

・顧客ニーズの分析とサービス強化

また、NTT社長澤田 純氏は取締役会で、良質なサービスの創出力はもちろんのこと、ドコモは今後国内から海外や総合的なプレイヤーになる必要があるとし、中期的な事業計画とそれを更に超えられるような事業計画を組んでいくことが重要だとしました。

続けて、ドコモの吉澤氏も顧客のニーズを分析し、携帯キャリアとして選ばれ続けるためにも、サービスやソリューション提案をしていくことが狙いであると明言しており、今後はさらなるサービス強化が期待されます。

・新しい生活様式への迅速な対応とDXの推進

また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、中小企業のうち約7割はテレワークを導入したとされており、日常生活においてもインターネット通販などの利用が増えたという方も多いのではないでしょうか。

今後はますますスマホ利用者が増えていく上に、その他キャッシュレス事業や5Gに付随したサービスの需要拡大等、モバイルが支える領域も広がっていくことが予想されます。更にAiやIoT、5Gを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を行う企業も増えていくでしょう。

DXとは?これからの企業に求められるデジタル化について

 

このように、リモート型およびデジタル型の社会に変わっていく中で、モバイルキャリアとして迅速に対応するために完全子会社化したという狙いもあります。

つまり、まとめるとNTTが完全子会社化することで、ドコモが良質なサービス展開を行ったり、グローバルで活躍する企業へと成長し、デジタル化やモバイル化の世の中に対応しつつ、モバイルキャリアとの競争も強化することが目的であるということです。

モバイルキャリアの競争という点では、特に携帯料金の値下げの件を取り上げて次項から詳細に解説していきます。

政府による携帯料金値下げ施策との関連性は

会見では、NTTの筆頭株主が日本政府であることから、携帯料金の値下げに向けて政府から圧力があったのかという質問がありました。

特に、この携帯料金の値下げについてはNTTによるドコモのTOBがニュースで取り沙汰されてから関連する憶測が多く飛び交っており、その点について期待や疑問を持っていた方も多いでしょう。

これに対し澤田氏は、NTTがドコモの完全子会社化を検討し始めたのは4月ごろで、政府の出資比率がドコモの完全子会社化や携帯電話料金の値下げには影響していないと明言しました。

しかし、携帯電話料金の値下げに関しては、ドコモの完全子会社化によりドコモの財務基盤が安定すれば、結果的に料金値下げにつながるとコメントしています。また、澤田氏はモバイルの基本回線として、そして携帯キャリアの中核としてドコモが良いサービスを提供し、顧客ニーズに応えていくことで、料金値下げをおこなう余力が出てくるとも付け加えており、今後はドコモを筆頭にKDDIやソフトバンクも順に料金値下げに対応していくのではないでしょうか。

まとめ

携帯料金の値下げ政策、5Gサービスの開始、そして新型コロナウイルスの感染拡大によリモート化など、ドコモをはじめ、モバイルキャリアは激動の1年となりました。

今後はますますネットワークの需要は拡大していくことは間違いありませんし、移動通信事業としてだけではなく、モバイルネットワークを利用した、付随する事業展開を行っていく必要があります。

それを見据えたうえでの今回のNTTによるTOBであったのでしょう。今後のドコモのサービス展開と事業展開、そしてドコモを筆頭にした携帯料金値下げに期待が高まります。

お問い合わせはこちらまで

 

おすすめの記事