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事業の「選択と集中」とは?意味や失敗例を徹底解説

会社が大きくなってくると、事業が多角化し採算が取れている事業と取れていない事業が明確化されてくるでしょう。

そうしたときに自社の得意とする分野に経営資源を集中させ、注力すべく不得意な分野を切り捨てるのも経営戦略の一つです。

しかし、事業を絞ることによって逆に悪影響を与えてしまうことも少なくありません。

そこで本記事では事業の「選択と集中」の意味やメリットデメリットはもちろん、失敗例を元に選択と集中を実施するうえで失敗しないためのポイントについて解説していきましょう。

今後事業の売却や子会社化を検討されている方は是非参考にしてください。

選択と集中とは

そもそも、選択と集中とは複数の事業分野に進出している企業や多種多様な製品を取り扱っている企業のコア事業の見極めと選択を行い、コア事業にたいして経営資源を集中させることによって経営の効率化や業績アップを目指す戦略のことです。

このとき、ノンコア事業として振り分けられた事業については、規模の縮小や売却などの対応が取られることになります。

中小企業の事業譲渡などM&Aにおいても「選択と集中」はよくあげられる譲渡事由の1つです。

選択と集中のメリット

では、選択と集中を行うことは企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

コア事業に専念することができる

1つ目は、企業の売上の大半を占めているコア事業に専念することができるという点です。企業が経営年数を重ねてくると事業が増えてきたり、取り扱う製品が増えてくることがあるでしょう。

そうすると本来売上を多くあげている事業に経営リソースを集中させたいところ、当然ながら事業を続けていくためにノンコア事業にもいくらかのリソースを割かなければならないわけです。

その点、集中と選択でノンコア事業を縮小したりM&Aで事業を手放したりすることでコア事業に経営リソースを十分にあてる事ができるようになります。

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大幅なコスト削減につながる

また、事業譲渡等でノンコア事業を手放すと、そこにかけていた経費を丸ごと削減することができ、大幅なコスト削減に繋がる可能性があります。

ただ、M&Aの手法によっては、ノンコア事業に配当されていた人材を自社に残すという場合もありますので、自社の方針を明確にしてM&Aスキームも検討すると良いでしょう。

事業処理がスムーズ化する

自社のコア事業に関しては、突出した知識と優れたノウハウを保有しているものです。しかし、事業規模拡大に伴う増員や新規製品開発に伴う業務増加に際し、人材が増えてくることによって組織内に蓄積されたノウハウが最大限に活かされていないといった事態になることも少なくありません。人材が多い事や、業務が多い事によって、情報共有や事務処理が遅れてしまうことも懸念されます。

その点、選択と集中を実施し、事業範囲を得意な分野に絞ることで、ノウハウを最大限に活かした事業活動を行うことができるのです。人員配置や業務プロセスの最適化もスムーズに行うことができるでしょう。

コア事業を最大限に伸ばすことができる

コア事業を最大限に伸ばす環境を構築することで、これまで以上に売上を伸ばしたり、業績を向上させたりする事が予想できます。

事業の多角化を行うと、その分企業の規模としては大きく見られますが、実際経営リソースの配分が上手くいっていないために、事業1つ1つで見ればどれも業績が曖昧だということも少なくありません。

その点、自社の得意とするコア事業に専念することで、売上や業績を最大限に伸ばすことが期待でき、結果的に多くの事業を持っている時よりも企業としての業績を伸ばすことができるかもしれないのです。

イノベーションを生み出しやすくなる

イノベーションとは、ビジネスではしばしば、これまで持っていた発想とは違った切り口から革新的なサービスや製品を生み出すことという意味で利用されます。

このイノベーションを生み出すためには、明確な経営戦略や多様性はもちろん、マーケティング力や経営資源、時間など様々な要素が必要です。そのため、言葉を選ばず言うのであれば、企業に採算の悪い事業があったり、経営リソースが最適化されていない、ノウハウが埋もれているといった場合は、イノベーション創造を起こすことが難しくなってくるのです。

その点、企業が集中すべき事業に専念することで、イノベーションの創造に必要な要素を揃えることができ、新たな発見や発想を生み出しやすくなるでしょう。

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経営の安定性向上

企業においてノンコア事業などあまり収入が安定しない事業や赤字の事業をそのままかかえていると安定性がなくなるのは当然のことです。

 

そうすると、経営上の安定性も損なってしまうことに繋がるでしょう。しかし、選択と集中は組織の抱えるリスクを最小化し、リターンを最大化させるという基本的に忠実な方法で組織の経営安定性を高めることができます。

選択と集中のデメリット

一方、選択と集中には以下のデメリットもありますので認識が必要です。

人材の減少

選択と集中を行うことによって企業や組織の人材が減少してしまう可能性があります。というのも、事業を縮小するにしても、事業を売却するにしてもノンコア事業に配属されていた人材全員が会社の方針に従って動いてくれるとは限らないからです。

事業を売却したり縮小したりするうえで、企業として優秀な人材は自社に残しておきたいと思うこともあるでしょう。しかし、選択と集中を実施することによりそれを機会に退職する人材や他事業部への配属を求める人材も出てくる可能性があります。

倒産リスク

選択と集中は企業にとって大きな変化です。特に、コア事業の分野で市場ニーズに大きな変化が起こったり、新規参入騎乗のイノベーションで競争のルール自体が変わってしまう可能性もあるでしょう。

そうすると、企業として自社で選択した集中事業への対応が難しくなることもあるわけです。場合によっては倒産するリスクもあります。

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従業員や株主からの反感

選択と集中だけでなく事業を売却したり事業を縮小したり、企業にとって何かしらの大きな変化を起こすことは、必ずしも皆が皆賛成ということはありません。

特に、事業売却等においては従業員や株主から反感を買う可能性も大きくなるでしょう。そうすると、株価に影響を与えたりする可能性もあります。

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従業員の再配置による不満や、株主からの反感を受け止めつつ対話をし、徐々に理解を求めていく必要があると言えるでしょう。

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選択と集中の失敗例

成功をすれば大きなリターンが得られる可能性もある「選択と集中」ですが、場合によってはリスクも伴うため、これまでに選択と集中を実施した企業でもいくつかの失敗例があります。

ここからは選択と集中の失敗例をご紹介し、のちに失敗しないための実施ポイントを解説していきましょう。

失敗例①SHARP

まず、選択と集中の失敗例は、多くの家電製品を提供してしているSHARPです。SHARPは2000年代の初めころから液晶テレビの開発に取りK見、液晶部門に巨額の投資を行うことで液晶のSHARPと呼ばれるほどの地位を確率しました。

いわゆる「液晶部門」というのが、SHARPにとってのコア事業であったわけですね。しかし、2008年のリーマンショックの影響により、中国や韓国から低価格の液晶製品が入ってきたことで、激しい価格競争に巻き込まれ収益は悪化してしまいました。

更に、地デジ対応の特需もなくなったことでSHARPの液晶分野は投資をした際の巨額の赤字だけが残ってしまい、選択と集中は失敗に終わってしまうことになったわけです。

失敗例②東芝

SHARPと同様に電化製品を開発、提供する東芝は半導体と原子力を経営の二本柱に掲げ、音楽事業やビルを売却し、DVD事業からは撤退しました。

その結果、半導体は世界3位、原発は世界首位に躍り出たことでメディアから高く評価されましたが、いずれもSHARP同様リーマンショック後の需要激減によって価格が70%も下落したのです。これにより、半導体事業は巨額の赤字経営に転落しました。

また、もう一つの柱である原子力発電事業では、2011年の東日本大震災の際の原発事故によって暗礁に乗り上げ、結局原子力発電事業も売却をせざるを得なくなりました。

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失敗しない選択と集中の実施ポイント

と、このようにハイリスクハイリターンであるケースが多い、選択と集中はある程度のリスクも想定したうえで行わなければ、上記2例のように赤字転落してしまう可能性も少なくありません。

ここからは選択と集中に失敗しないためのポイントについて解説していきます。

事業の撤退、再編成の見極め

1つは事業の撤退、再編成の見極めをすることです。SHARPと東芝両社は事業を絞り、多額の投資をしたことで、赤字転落もその事業を続けようとしました。そのため、赤字がますます膨らんでいくばかりだったのです。

選択と集中をしたのち、リスクがおよびそうであれば、早めの事業の撤退や再編成の見極めが必要になると言えるでしょう。

優秀な人材を確保しておくこと

また、コア事業専門の人材だけでなくマルチに対応できる優秀な人材を確保しておくことも重要です。もしコア事業に失敗したとしても、優秀な人材を軸に他事業の立ち上げを行うことができるようになります。

M&Aの実施も選択肢の1つ

選択と集中は大企業であればあるほど、投資額が大きければ大きいほど、大きなリスクを伴いますが、企業にとってコア事業の拡大はコスト削減や収益の最大化などが見込めます。

とはいえ、事業の縮小を行うよりは、M&Aを実施したほうが売却益を得ることができるので、万が一選択と集中に失敗したとしてもある程度の資金を調達しておくことができるのではないでしょうか。

どの事業に注力するのか、そのためにどのようなM&A手法で事業を手放すのか検討する必要がありそうです。

まとめ

本記事では「選択と集中」について事例をあげつつ解説しました。

事業が多角化すればするほど、経営リソースの配分が乱れ、収益の安定性が崩れてしまう可能性があります。そのような企業ではある程度のリスクヘッジをしたうえで、M&Aなどを実施し選択と集中を行ってみてはいかがでしょうか。

しかし、選択と集中を行うには専門家の助言が必須です。戦略的にM&Aを行うためにもM&Aアドバイザーに相談しながら進めていくようにしましょう。

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