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ソフトバンクがM&Aを繰り返す理由って一体何?歴代M&A事情を大解剖

3大モバイルキャリアの1つでもある『ソフトバンク』は、繰り返しM&Aを行うことで事業の多角化に成功した企業です。Yahoo!やボーダフォン、野球チームのソフトバンクホークスなど、大規模のM&Aを多く実行してきています。有名企業であるだけに、ニュースで取り上げられたことが記憶に残っているという方も多いでしょう。

そんなソフトバンクですが、2020年7月、U‐NEXTにアニメ放題を事業譲渡することを発表しました。M&Aで事業の売買を繰り返すソフトバンクの企業としての成長戦略とは一体どのようなモノなのでしょうか。

本記事ではソフトバンクのM&Aの歴史や変遷を解説するとともに、ソフトバンクがM&Aを繰り返す理由を大解剖してまいります!

ソフトバンクがアニメ放題を事業譲渡

 

歴代M&Aを解説する前に、ホットなニュースの解説からいたしましょう。

2020年7月20日、ソフトバンクは、アニメ専門コンテンツ配信サービスの『アニメ放題』を、USEN‐NEXT HOLDINGS傘下で個人向け映像配信サービスを手掛けるU‐NEXTへ2億5000万円で譲渡することを決定し、発表しました。

アニメ放題とは、月額400円でアニメ作品が見放題になるサブスクリプションサービスで、ソフトバンクがU‐NEXTと2015年から共同してきたサービスですが、10月1日からはU-NEXTがサービスを受け継ぐことになります。

M&Aの手法としては会社分割で、ソフトバンクからアニメ放題事業をU-NEXTが吸収する形になり、ソフトバンクはアニメ作品の調達や企画や配信に関して協業企業であったU‐NEXTに事業をゆだねることで経営効率化を図る方針です。

ちなみに、同事業の直近の売り上げは9億2000万円でしたが、ソフトバンクの今後の業績に与える影響は軽微であるとされています。

ソフトバンクのM&Aの歴史

続いて、ソフトバンクがこれまでに行ってきたM&Aについて解説していきたいと思います。ソフトバンクの大まかなM&Aの変遷については以下の通りです。詳しい解説については後述いたします。

1996年:米国Yahoo Inc.との共同出資によって日本法人ヤフーを設立

2004年:日本テレコムを子会社化

2005年:福岡ダイエーホークスを子会社化

2006年:ボーダフォンを子会社化

2008年:アリババを合弁会社化

2013年1月:イー・アクセスを子会社化

2013年4月:ガンホー・オンライン・エンターテイメントを子会社化

2013年7月:米国Nrightstar Corpを子会社化

2015年4月:ソフトバンクモバイルがソフトバンクBB,ソフトバンクテレコム,ワイモバイルを吸収合併

2016年:英国ARM Holdings plcを買収

2018年:中国Arm Tenhonology(china)を合弁会社化

2019年11月:ZOZOを買収

2019年11月:LINEと経営統合

2020年10月:U‐NEXTにアニメ放題を事業譲渡

 

日本法人ヤフーを設立

Googleと並んでよく利用される検索エンジンといえば、『Yahoo!』というイメージがある方も多いでしょう。ソフトバンクが日本法人ヤフーを設立した1996年当時は知名度はまだ低いものでしたが、スタートアップの段階でのヤフーを見込みソフトバンクは1億ドル以上の巨額の資金を投資しました。

結果としてヤフーへの出資はソフトバンクに莫大な含み益をもたらすこととなり、M&Aや投資によって巨額の赤字を抱えてもヤフーからの含み益により支えられてきたのです。

ソフトバンクのヤフー設立という最初のM&AはのちのM&Aによる成長戦略や新規事業参入戦略に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

日本テレコム買収で固定通信事業に参入

ソフトバンクは1981年に発足してから日本テレコムを買収するまで、同社の子会社で通信事業者のソフトバンクBBを通じて個人向けにADSL(非対称デジタル加入者線)やIP電話サービスを提供していました。

しかし、2004年に日本テレコムを買収したことで、ソフトバンクは固定通信事業を手掛けるとともに、個人だけでなく法人向けビジネスにも本格的に参入することになったわけです。

ソフトバンクではそれまで、法人向けのサービスを行うためのテクノロジーはそろっていたものの、主に個人への販売を行っていたたため、法人顧客への販売実績はもちろん、顧客もおりませんでした。しかし日本テレコムの法人顧客への販売実績と活かすべくM&Aでの買収を実施したことでソフトバンクは法人顧客へのサービス展開に成功しました。

ボーダフォン買収で移動通信事業に参入

ソフトバンクといえば、docomoやKDDIなどと並んで携帯キャリアの1つであるというイメージをおもちの方も多いと思いますが、実はソフトバンクはもともとはソフトウェア流通事業を行っている会社でした。

つまり、2006年にボーダフォンを買収するまで携帯電話による移動通信事業への参入はしていなかったのです。

上記に解説した2004年の日本テレコムの買収による固定通信事業、そして2006年のボーダフォン買収による移動通信事業への参入が、ソフトバンクがソフトフェア流通企業から通信企業へと変化したきっかけと言えるでしょう。

福岡ダイエーホークスの買収

今や『ソフトバンクホークス』というチーム名が知名度を上げ、『ダイエーホークス』の名を知らない世代が増えてきたのではないでしょうか。

ソフトバンクが福岡ダイエーホークスを200億円で買収した2005年を皮切りに、福岡ソフトバンクホークスはプロ野球球団のん下でも高い人気と強さを誇るチームになり巻いた。

そもそも、このM&Aの事例は他のソフトバンクのM&Aの事例と比べて広告的な意味合いが強く、M&Aを行った後も福岡ドームの命名権をグループ企業のヤフーやペイペイに取得させることでグループ企業の知名度向上にも貢献しています。

ちなみに、ヤフオクドームという名前で長年親しまれていたドームは、2020年に『ペイペイドーム』という名前に変更されました。

ソフトバンクがM&Aを繰り返す理由

ソフトバンクはまるで『M&A企業』とも言えるほどに設立当初から何度もM&Aを繰り返して来ています。このようにソフトバンクがM&Aを繰り返し行うのには一体どのような理由があるのでしょうか。

成長戦略として

ソフトバンクの社長、孫正義氏の生い立ちについてはドキュメンタリーや漫画、ニュース記事などで見たことがあるという方も多いでしょう。

ソフトバンク設立前に大学進学のために渡米する前も、『これからの時代はコンピューターだ』ということを聞き入れ、コンピューターの勉強をするために渡米するほど、常に時代を先取りし確実に成長させてきました。日本テレコムやボーダフォンもまさに時代先取りの成長戦略の代表的な例とも言えます。

下記の表はソフトバンクの売上高の推移を表したものです。

引用元https://newswitch.jp/p/5429

実際に、今から20年前の株式公開時には売り上げが1000億円に届いていなかったソフトバンクも、M&Aで買収を行うたびに右肩上がりで成長し、20年間で約90倍の成長をしたことが分かります。

事業の多角化

二つ目は事業の多角化です。ソフトバンクは2010年に『戦略的シナジーグループ5000社』の実現を掲げ、30年間でグループ会社5000社を目指すことを明らかにしています。

グループ会社が増えるということは、いわゆる事業展開を多角化させるということに他なりません。IT企業は特に、テクノロジーの発展により新たな事業が頻繁に生み出され続けているなど、会社を取り巻く環境は目まぐるしく移り変わっています。

といっても、新しい事業に早期参入をするには自社でノウハウを蓄えるよりもM&Aでノウハウを持った事業や会社を買収するほうが早いのです。

このように、新しい事業分野を認識し、多角化に乗り出すためにソフトバンクはM&Aを繰り返していると言えます。

未来投資

3つ目は未来投資です。当然M&Aを行うには巨額の資金が必要になります。特に、これまでソフトバンクが行ってきたM&Aは、2006年のボーダフォンの買収時の買収価額が約1兆7500億円、2013年の米・スプリントの買収時の買収価額が1兆8000億円と、日本企業におけるM&A買収価額ランキングの中でもトップクラスです。また、前述にもありますが、設立して間もないころ、ヤフーへ約100億円の出資を行った直後は巨額の赤字を抱えておりました。

それでも、ソフトバンクは2019年には売上高3兆6180億円に達する日本を代表する巨大企業へと成長しているのです。

ソフトバンク公式発表資料より引用

尤も、ソフトバンクは『同志的結合』という哲学に基づいてM&Aを繰り返し行ってきています。『同志的結合』とは、資本的な結合ではなく同じ志を持つものがそれぞれの役割を全うし、協力することで戦略的なシナジーを目指すことを重要視しているということです。

ソフトバンクのM&Aによる巨額な未来投資は、『同志的結合』というコンセプトのもと売り手側の企業との綿密な話合いと協力関係によりプロセスが明確化されてきたために、『このくらいの投資をしても大丈夫だ』という自信のようなものがあったとも言えるかもしれません。

まとめ

ソフトバンクは日本の企業の中でもM&Aを多く実行する中で事業展開の多角化を図り、大きな成長を遂げた企業の1つです。

ただ、今や『ソフトバンク』=スマートフォンや携帯キャリアというイメージを持つ方が多いものの、それはM&Aによって事業展開されたうちの1事業に過ぎず、もともとソフトバンクは通信事業者ではなかったということを忘れてはなりません。要は、コンピューターや通信事業などの枠にとらわれず、戦略的かつプロセスが明確化されたM&Aを何度も繰り返し行ったことで、多くの場面で、多くの人々に認知されるようになったということです。

とはいえ、これほどまでに数多くの M&Aを行ってきたソフトバンクでさえもすべてのM&Aが大成功だったというわけではありません。しかし、『同志的結合』という哲学のもと、積極的にM&Aを行った結果が今のソフトバンクの姿そのままであるといっても過言ではないでしょう。

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