M&A

成功事例と失敗事例から学ぶ、飲食店M&Aの成功のポイント

現在日本では少子高齢化に加え、労働人口の減少などの理由から、たとえビジネスが上手くいっていたとしても廃業としかねない中小企業が増加してきています。特に国内の飲食店の8割は人材不足に悩まされており、7割は後継者不足を理由に廃業しているというほどです。

そこで、この後継者不足や人材不足による廃業等を防ぐために、現在実施が広がってきているのが、他者に経営権を売り渡す『M&A』という方法です。

飲食店の経営者の中には、M&Aをそもそも今初めて聞いた、M&Aは知っているけど失敗事例もあるようで踏み込めないという方など、M&Aに対して色々な意見をお持ちの方がいらっしゃるでしょう。

本記事では、飲食店のM&Aについて、成功事例と失敗事例をもとに飲食店がM&Aに成功しやすくなる方法を分かりやすく解説していきます。飲食店の廃業、および譲渡等を検討していた方は、是非立ち止まって本記事をお読みください。

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飲食店のM&A市場とは

飲食店などの外食産業は、人材確保の難しさ、後継者不足はもちろん、市場の縮小、仕入れや物流の高騰等様々な問題を解決するための策として、M&Aが注目されています。

2019年(2019年1月1日から12月19日)の外食、フードサービス業界のM&Aは29圏となり、2008年の26件を上回り、2008年以降12年間で最多となりました。

また、実施件数も、2015年から年々増加傾向にあり、4年連続で増加を記録しています。

特に2020年は新型コロナウイルスの影響で売り上げに伸び悩んだ店舗が、自社や店舗内の解決だけでなくM&Aにより同業と協力しあう関係を創り出す動きも増えてくるでしょう。

 

例えば、原料を調達する会社との資本提携や、テイクアウトやデリバリーに会社や店舗を運営する企業を子会社化することで、原価コストの削減や顧客ニーズに対応して売り上げを持ち直す等です。

そのようなことから、今後も飲食店のM&Aは増加していくと予想されます。

飲食店のM&A成功事例

このように、飲食店のM&Aは年々増加傾向にあるわけですが、必ずしも成功するわけではないのはどの業種を取ってみても同じです。

まずは飲食店のM&Aの成功事例ご紹介し、解説してまいります。

①【すき家】株式会社ゼンショーホールディングス

株式会社ゼンショーホールディングスは、『世界中の人々に安全でおいしい食を手ごろな価格で提供する』という理念のもと、『すき家』などでリーズナブルなファストフードを提供しています。

そんなゼンショーホールディングスでは、すき家とは異なる客層の獲得のために、ファミリーレストラン『COCO’S』を運営する株式会社ココスジャパン、ハンバーグレストランなどを運営する株式会社ビッグボーイ、うどん店等を運営する株式会社なか卯などをM&Aで買収しました。

更には、商品の調達や流通、販売機能をより強化するために、2016年10月に株式会社フジタコーポレーションも買収しています。

これらのM&Aを行ったことにより、ゼンショーホールディングスは新しい客層の獲得、調達や物流、販売の一体化に成功しています。

②【ほっともっと】株式会社プレナス

『ほっともっと』や『やよい軒』を運営している株式会社プレナスは2016年12月に宮島醤油フレーバー株式会社の発行済み株式のうち55%を取得し、子会社化しました。

プレナスは、利益拡大のため、生産や物流、マーケティング、販売のサプライチェーンの強化を目指しており、このM&Aにより生産コストの削減に成功しています。

そして、宮島醤油フレーバーの調味料は、ほっともっとややよい軒の店舗で利用されています。

③【土間土間】株式会社コロワイド

『しゃぶしゃぶ温野菜』等を運営する株式会社コロワイドは2016年12月に、フレッシュネスバーガーを運営している株式会社フレッシュネスを完全子会社化しました。もともとコロワイドは原料の調達、製造、物流、商品開発の一連のシステム機能を保有しており、店舗事業のみで行っている同業他社よりも、コストが少ないことや、商品開発から販売までのスピードが速いことが強みです。

そして、このフレッシュネスバーガーの買収により、フレッシュネスバーガーの店舗でも運営ノウハウをいかしていくことで、結果的にコロワイドも新しい客層の獲得に成功することができました。

【大戸屋VSコロワイド】敵対的買収に発展でTOBの行方はどうなる?

④【和食居酒屋えん】株式会社ビー・ワイ・オー

和食居酒屋『えん』や『おばんざい・炙り焼き・酒 菜な』、『だし茶漬けえん』『おぼんdeごはん』などを運営する株式会社ビー・ワイ・オーは、2018年に日本KFCホールディングスに株式の25%を譲渡して、資本提携を結びました。

訪日外国人の増加や和食ブームにより、今後の利益拡大が見込まれるビー・ワイ・オーと資本提携したことで、KFCは新たな顧客層の獲得、売り上げ増加に成功しています。また、両社ともに店舗をもつ飲食事業を展開していたことから、事業機会やシナジー効果の獲得もできました。 

⑤株式会社ジョースマイル

株式会社ジョースマイルはもともと熊本県のみで飲食店を複数経営していた企業ですが、『鳥良』や『磯丸水産』などで広く知られているSFPホールディングス株式会社と2019年にM&Aを実施し、連結子会社となっています。

このM&Aにより、ジョースマイル側は全国展開するチャンスを、SFPホールディングス側は地方で順調に店舗展開をしている飲食店とM&Aを行うことで業態やナレッジの共有を受けることに成功しました。

これまで地方のみで経営していた企業でも、全国展開をしている企業とM&Aを行うことで全国に展開するノウハウなどを得ることができるというメリットがあります。

⑥事業承継としての小規模M&A

東北地方で長年喫茶店をしていたA社は、洋菓子や洋菓子店とのM&Aを成約させてきたB社に譲渡し、事業承継を行いました。

A社はオーナー兼経営者が作るショートケーキが有名な喫茶店で街の人々や観光客に愛されておりましたが、後継者がおらずA社の経営者はM&Aで事業を譲渡することを決めました。

A社は口コミサイトや決算書、買い手企業の特徴等を入念にチェックしたうえでB社に経営を譲渡することにしたのです。B社は、A社を買収することで、地域への事業展開と、事業の拡大に成功しています。

⑦飲食店起業としての小規模M&AM&A

M&Aは既存の経営戦略上の有効手段でもありますが、一方で起業・創業といったスタートアップ時の有効的なツールにもなり得ます。

例えば、60年近く夫婦で営業していたラーメン店を引き継ぐため、若者に3~5年ほど技術取得のために働かせ、その間の賃金を買収資金として『スモールM&A』をしたことで、事業承継に成功することができた例があります。

老夫婦側はビジネスを自分たちの代で終わらせずに事業承継をすることができる上に、老後の資金も調達することができましたし、買い取った若者も、店舗と顧客をそのまま手にすることができました。

飲食店のM&A失敗事例

一方、飲食店のM&Aでは失敗事例もあります。

大手飲食チェーンへ事業承継後に経営悪化

1例目は、地元で人気のカレー店を経営していたAさんが大手飲食チェーンへ事業承継後に経営が悪化したケースです。

人気のカレー店で後継者がいないことから廃業を検討していたところ、関東を中心に飲食店をチェーン展開している会社の経営者から事業承継をしたいと声がかかりました。

しかし、事業承継をしたのち、大手飲食チェーン経営者の効率が悪く、カレーを速く大量につくろうとした結果味が落ちてしまい、売り上げが伸びない状況が続いてしまったのです。最終的にAさんは事業承継をした後者しばらくアドバイザーとして経営に入らなければ事業を持ち直すことはできませんでした。

②M&Aができず廃業を余儀なくされたケース

失敗事例2例目は、長年後継者を探し続けたものの、最終的に廃業を選択したケースです。

 

飲食店を経営していたBさんは、現役の時代から自分の代で飲食店を畳もうと思っていましたが付き合いのある銀行員から第三者事業承継がという方法でビジネスを続けていくことができると教えてもらったことでM&Aを検討し始めました。

しかしBさんはこだわりが強く、なかなか納得のいく事業承継先とで出会えずに、最終的に廃業を選択しました。

M&Aで事業承継をするには、自分とは違う第三者に経営を引き継ぐことになりますので、当然自分とは違う意見を持った、これからを担うことができる新しい人材を候補としていかねばなりません。成長性、経営力は事業承継先を選ぶうえで重要なポイントですが、あまりにも現状の経営の仕方にこだわりすぎると、M&Aがそもそもできないといったことも考えられますので、注意が必要です。

③娘への飲食店事業承継後に家族不和となったケース

3例目は娘への飲食店事業承継語に家族不和となったM&A失敗事例です。

飲食店をチェーンとして大きくしてきた創業オーナーのCさんは、会社の成長がいきづまったことなどから、自身の娘に飲食店の経営を事業承継します。その娘は大手経営コンサルティング会社やメガバンクで務めた経験のある方でしたので、経営は自身がありそうに見えましたが、Cさんと経営方針についてたびたび衝突し、売り上げも上向くことなく、親子関係も悪いまま事業を続けることができなくなってしまいました。

個人の飲食店や家族間に承継を希望する子供や孫がいれば、親族内で事業承継をするという方もおりますが、その際は、事業承継をする前に経営方針や承継後のプロセス等をしっかりと話し合っておく必要があると言えるでしょう。もしそれで意見が合致しなければ第三者に売り渡すということも考えられます。

経営者側も絶対に親族内で承継をしたほうが良いなどということにとらわれずに、色々な方法があるということを知っておくことが重要です。

飲食店がM&Aに成功するために知っておきたいこと

このように、飲食店のM&Aは企業間で行うものに限らず、事業承継や起業を望む若者を対象に行われるツールでもあります。

とはいえ、すべてがすべて成功するわけではなく、オーナー経営者が変わってしまったことで客離れを起してしまい、結果的にM&Aが失敗に終わる可能性もありますし、相手企業の借金が後々発覚して、借金を背負うことになってしまうなどのリスクもあります。

ここからは、それらのリスクを防ぐため飲食店がM&Aに成功するために抑えるポイントを解説いたします。

 

①ビジネスモデルや買収・売却後のプロセスを明確化する

②買い手企業を具体的にイメージする

③買い手候補に事業の強みや価値が伝わる説明を

④入念なデューデリジェンスを行う

⑤小規模M&Aの場合は買い手の教育を行う

⑥早めにM&Aに取り掛かっておく

①ビジネスモデルや買収・売却後のプロセスを明確化する

まずは、M&Aをする目的や、M&Aをした後の具体的なプロセスを明確化することです。何故M&Aをするのか?その後どのように変わっていきたいのか、どんなシナジー効果が期待できるのか等を具体的に説明できるようにしておくことで、その後のプロセスが描きやすくなってきます。

②買い手企業を具体的にイメージする

自社とM&Aを行うことで、自社と買い手と両社にどのようなメリットがあり、ビジネスとしてどのようなシナジー効果が期待できるのか、『こんな買い手が理想だ』といったイメージを持っておくことで、おのずと買収、売却後のプロセスを明確化しやすくなります。

仮にイメージと合わない企業とM&Aを実施してしまった場合や、プロセスが曖昧だった場合は、効果が得られず失敗する可能性が高くなりますので注意しましょう。

③買い手候補に事業の強みや価値が伝わる説明を

M&Aで売却先としてM&Aの情報サイトなどに登録していても、なかなか買い手がつかない可能性もあります。その場合は、説明文を事業の強みが価値が伝わる内容に変更することも大切です。

いくら本当は魅力のある事業であったとしても、最初のアプローチが効果的にできていなければ当然買い手は興味を示しません。買い手がつかず悩んでいる方は、是非説明の部分のところを見直ししてみてください。

④入念なデューデリジェンスを行う

飲食店に限らずすべてのM&Aを行うときに言えることですが、相手に簿外債務がないかどうか、借金や隠れた不祥事がないかどうかはきちんと確認するべきです。後々分かったときには、債務の名義が変わっており、思わぬ借金を背負うことにもなりかねません。

飲食店のM&Aでも大小関わらず、きちんと専門家を通して入念なデューデリジェンスを行うようにしましょう。

⑤小規模M&Aの場合は買い手の教育を行う

先ほどの成功事例にもありましたが、小規模M&Aで事業承継を行う場合は、買い手の手に経営が渡ったときにも同様のパフォーマンスができるよう、教育をしておくと効果的です。

お客にとっては経営者が変わっても、これまでのお店と変わらないお店でいてほしいものです。特に小規模店舗、個人事業の店舗はその傾向が強くなりますので、時間の許す限り教育を行っておくようにすると良いかもしれません。

⑥早めにM&Aに取り掛かっておく

M&Aは買い手が決まるまではもちろん、買い手が決まってからも手続に数か月係る可能性があります。そのため、事業承継等でM&Aを検討されている方はリタイアしたいと考えている時期よりも、1年ほど前くらいからM&Aにとりかかっておくと、スムーズに丁寧に進められます。

あせって買い手をみつけても良いことはありませんので、専門家と入念に話合いを重ねながら進めていくことが大切です。

まとめ

本記事では、飲食店のM&A事例から学ぶ、飲食店M&Aおよび飲食店の小規模M&Aの成功のためのポイントについて解説いたしました。

飲食店に限らずM&Aはどの事業にも同じことが言えますが、まずはM&Aを行うことで、どうなることが目的なのか、それを明確にすることが重要です。そしてそれを最大限に活かせる相手企業、相手と出会うためにも専門家の知識を借りながら丁寧に進めていくことも大切になります。

大、小、規模関わらず飲食店のM&AについてはDX承継くんにご相談いただけましたら丁寧にアドバイスをさせていただきます。お困りの方、疑問点のある方、ご相談事項のある方は是非DX承継くんのお問合せ窓口までご連絡ください。

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