シナジー効果とは、M&Aで最も重要!シナジー効果が期待できるM&Aの特徴と発生させるポイント

M&Aを検討していると、『シナジー効果』という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、実際に『シナジー効果とは何か』と問われればそれについて詳しく説明できる方は多くないでしょう。

とはいえ、シナジー効果はM&Aを行うにあたって非常に重要なポイントでもあります。M&Aを検討している方は『シナジー効果』についての基礎知識をしっかりと得ておき、M&Aを実施する際にシナジー効果が期待できるのか、出来ないのか判断できるようにしておかなければなりません。

そこで本記事では、シナジー効果をテーマに、シナジー効果が期待できるM&Aの特徴やシナジー効果を発生させるためのポイントについて詳しく解説してまいります。

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シナジー効果とは

シナジー効果とは一言でいうと『相乗効果』のことです。M&Aなどのビジネスシーンでは、企業同士の事業提携や協業、グループ内での協働により、相乗効果が得られることを指します。

そもそも、M&Aにおいて合併や提携などをする場合は、売り手側企業、買い手側企業、どちらにも合併や提携をするメリットがないと行わないはずです。ですので、M&Aで協業や協働ビジネスを計画する際は、この『シナジー効果』が得られるかというのが買い手売り手双方にとって重要な決め手であり、ポイントとなりうるということになります。もはやシナジー効果なくしてM&Aの成功はないといっても過言ではないでしょう

M&Aにおけるシナジー効果の5つの種類

M&Aにおけるシナジー効果には、下記の5つの種類があります。

 

①収益シナジー

②コストシナジー

③財務シナジー

④信用力シナジー

⑤負のシナジー

 

①~④はいずれも、その名の通り、買い手の会社と連携することで収益が上がったりトータルコストを下げることができたり、はたまた借入等が減ることで信用力をアップさせたりすることができるような、双方にとって『プラス』のシナジー効果を指しています。

一方、⑤の『負のシナジー』とは、収益シナジー、コストシナジー、財務シナジー、信用力シナジーとは違い、2つの会社が合わさることによってマイナスの効果を生んでしまうことです。例えば大手企業の傘下に入ってしまうことで、そのライバル企業との取引がなくなってしまったり、大手傘下というだけで家賃の値上げ交渉を受けたり、行政支援が制限されたりすることなどがあげられます。

ですので、シナジー効果は常に『プラス』の場合だけでなく、時に『マイナス』の効果を生んでしまうことも頭に入れながらM&Aを行っていかなければなりません。

M&Aでシナジー効果の獲得に成功できた事例

このように、M&Aを実施することによる相乗効果を『シナジー効果』と呼ぶわけですが、実際に行われたM&Aでシナジー効果が獲得できた例を3例ご紹介いたします。

ソフトバンクと日本テレコムの事例

ソフトバンクは2004年に日本テレコム株式会社に対してM&Aを実施し、法人営業の強化と、国内通信事業の拡大に成功しました。日本テレコムが保有する約12,000kmに及ぶ光ネットワークインフラをソフトバンク・グループ独自のIPネットワークと統合し、ネットワークの強化や効率化が可能になったことで販路を拡大することができたのです。

そしてソフトバンクは2004年の日本テレコムとのM&Aの後も、ボーダフォンややヤフーなどに対してM&Aを実施し、通信事業の総合企業として大きな企業価値を持つことができるようになりました。

尤も、ソフトバンクは1981年に創業と、他のモバイルキャリアに比べて遅めの発足だったにも関わらず、日本を代表する大企業へと成長しています。このことから他企業と協業することによるシナジー効果の獲得は企業の成長戦略において、非常に重要であることが理解できるでしょう。

楽天とマイトリップネットの事例

楽天は2003年、宿泊施設の予約、航空券の予約などのサービスを提供していたWebサイト『旅の窓口』を運営するマイトリップネットの全株式を日立造船から323億円で買収しました。当時、楽天の年間の売り上げの何倍もの買収額でありながら、買収に至ったのは、旅行関係の事業への展開のため、そして『シナジー効果で買収額をすぐに回収することができる』と考えていたからだと言います。

現在、マイトリップネットは、楽天トラベルと社名を変更し、ホテル予約以外にも旅行のパッケージ販売などを行っており、楽天市場などと合わせて利用している方は多いでしょう。更に、楽天もソフトバンク同様、その後様々な企業とのM&Aを重ね楽天経済圏の拡大に成功しています。

ココカラファインとマツキヨの事例

また、ココカラファインの塚本厚志社長は22日に開催した2020年度3月期決算説明会で、2021年10月の経営統合を目指すマツモトキヨシホールディングスとの取り組みに言及し資本業務提携によるシナジー効果の早期実現で、21年3月期の下期において、ココカラファイン単体で約40億円の効果を見込んでいることを明らかにしました。

この例は実際にM&Aが完了した事例ではなく、これからM&Aが行われる例なのですが、すでにシナジー効果が期待できる例としてご紹介します。

ココカラファイン厚木社長は、マツキヨとシナジー創出を目的として資本業務提携を行うことで、『医薬品をふくむナショナルブランド商品の仕入れの一本化、プライベートブランド商品の相互供給、共同開発を行う。また顧客販促において顧客基盤を統一し、より制度の高い顧客販促をしていくほか、1店舗あたりの物瓜生コストや店舗コストの低減を狙っていく』としています。

前述にご紹介したソフトバンクや楽天などの例と同様に、ココカラファインも2021年のマツキヨとのM&Aで期待したシナジー効果を獲得することができれば、今後様々な企業とM&Aを実施し、ますます大企業へと成長していくでしょう。

シナジー効果が期待できるM&Aの特徴

上記にシナジー効果を獲得することでM&Aに成功することができた事例を3例ご紹介しましたが、いずれも『この企業となら相乗効果を得ることができるはず』と期待してM&Aを実施しているわけです。

では、より高いシナジー効果が期待できるM&Aの特徴とは一体どのような事項があげられるでしょうか。

コストの削減が見込めるM&A

1つは、M&Aを行うことでコストの削減が見込めるM&Aです。例えば、M&Aによって仕入れ、販売、物流、製造、研究開発などに関わる業務の集約化や重複する設備の削減によりコスト効率をよくすることを期待できるものなどです。

具体的なM&Aの手法としては業務提携や合併などで、これまで重複していた店舗の統廃合をおこなったり、M&Aによって重複した経理などの管理部門を1つに集約することでコストシナジー効果が期待できるでしょう。

販路の拡大が見込めるM&A

先ほど成功事例としてご紹介したソフトバンクや楽天の例のように、法人営業への参入、旅行事業への参入など、自社が持っている強みと自社にはない強みを持っている他社とM&Aを行うことで販路拡大を行うことを見込めるM&Aも収益シナジーを見込むことができます。

時間の節約ができるM&A

ビジネスにおいて、人材を集めたり、ノウハウをためたりするのには相応の時間がかかります。そこでM&Aによって、相互に人材やノウハウ、ブランドなどの経営リソースを得ることが出来れば1から事業をスタートさせたり、1から人材を教育したりする必要がなくなります。優秀な人材がいる企業とのM&Aで新規事業に早期参入が期待できる場合も同様です。

そしてそれは大変な時間の節約となり大きなシナジー効果を生み出すことが出来るといえるでしょう。

M&Aでシナジー効果を発生させるポイント

シナジー効果は、買い手と売り手の努力により発生する現象です。ですので、狙えば必ず発生することができるものではなく、売り手と買い手がそれぞれシナジー効果を強く意識し、綿密なプロセスを構築することが重要になってきます。

それは、

①売り上げにつながるタイミングを把握

②M&A実施後のプロセスの検討

③負のシナジー対策

などを行った上で、M&A実施前も実施後も経営方針を明瞭化していくのが重要になるわけです。

特に、収益シナジーなどはM&Aの直後に発生するものではありません。いずれ売り上げにつながることが見込める、そして、その売り上げにつながるタイミングは大体いつ頃なのかということを把握し、M&A実施後のプロセスを構築していくことが大切です。

また、その上で仮にプラスのシナジー効果が得られず、マイナスのシナジー効果が発生してしまった場合を想定して、その対策も入念に行っておきましょう。

シナジー効果はM&Aの価格を変動させる?

シナジー効果はM&Aの価値を上げる効果を持っています。買い手は将来的な利益を見越してM&A投資を行うので、将来得られる利益もM&Aの価格に反映されます。つまり高いシナジー効果が期待できれば、買い手が出す投資額も高額になってくるでしょう。

シナジー効果により企業の価値を高められれば、M&A価格も変動させられるということです。それではこの価格上昇効果は、どのようにM&A価格に織り込まれていくのでしょうか。売り手側にとって気になる問題を、一つ一つ見ていきましょう。

シナジー効果とM&A価格について

M&Aにおけるシナジー効果とは、買い手側企業と対象企業の努力によるところが大きく、売り手側は部分的に手伝う程度です。本来であれば買い手側はシナジー効果による成果を価格に織り込み、売り手に還元する必要はありません。

理論上適正な企業価値評価を第三者機関(公認会計士など)に頼んだ場合も、シナジー効果が反映されない評価が算出されます。

しかし現状では、買い手側はシナジー効果を織り込んだ価格を売り手側に提示します。なぜかというと、シナジー抜きの株式価格で入札してしまうと、競合の買い手候補に案件を奪われてしまうかもしれません。そのため実際にはシナジー効果で得られる成果の一部がM&A価格に上乗せされ、売り手側にも還元されるようになっているのです。

とはいえシナジー効果のすべてがM&A価格に反映されると、買い手側が一方的に損をすることになってしまします。そのため、買い手側に還元されるシナジーの成果は、一部だけと考えておきましょう。現状ではどの程度が一部にあたるかという基準は、明確には存在しません。M&A価格は買い手側の基準で決まります。同様に、どの程度が売り手側に還元されるかも、主観によって決定されます

一般的には、シナジー効果の実現可能性により判断されることが多いようですね。たとえば以下のような、比較的実現可能性が高く簡単なシナジーは、還元される価格に織り込まれやすくなります。入札時には、他の買い手候補に負けない金額水準を確保することになるでしょう。

・共通化コストシナジー

・財務シナジー

その一方で、比較的実現が困難かつ不確実性が高い以下のようなシナジーは、価格に織り込まれにくい傾向にあります。

・収益シナジー

・信用力シナジー

上記二つの中間になるシナジーは、確実性が低いと判断されれば織り込まれず、高いと判断されれば織り込むという臨機応変な対応が取られています。

・事業コストシナジー

シナジー効果と入札戦略について

このようにシナジー効果は、実現可能性が高いものほどM&A価格に織り込まれます。しかし、どの程度実現可能性が高いかといった判断は、やはり買い手側の判断によるところが大きいと言えるでしょう。確率の見積もりや経済効果、どの程度の実現可能性まで織り込むかといった判断は、最終的には買い手側が決定します。シナジー効果は入札額を決定する上で大事な判断要素です。シナジー効果を最終的にどう評価するかは、買い手側の経営者次第で判断することになります。

買い手は対象企業を買収できなければ、意味がありません。そのため入札ではライバルに負けない価格を提示する必要がありますが、投資額を回収しきれない金額を提示しては、損をしてしまいます。

また単純に、投資額のみ回収できればいいというわけではなく、投資額以上の利益を出し続けなければいけません。ライバルに負けない金額を提示し、さらに利益を追求するとなると、シナジー効果の追求が欠かせなくなります。

買い手側は入札前のフェーズにおいて、対象企業へのコンタクトを取り、必要な情報を集めます。入札前のデューデリジェンスやシナジー分析など、入念に行った上で入札額を決定してください。その際にはM&Aに詳しい専門家やアドバイザーへの相談も有効なので、おすすめします。

シナジー効果を売却額に織り込ませるための売り手戦略

売り手側がシナジー効果を入札額に織り込ませ、M&A価格を引き上げる戦略もあります。買い手側にシナジー効果の実現可能性が高いと判断させれば、売却金額を高く見積もらせることが可能となります。
そのためにも公開情報には、買い手候補がシナジー効果を正確に見積もれる情報を提示しておきましょう。不明確な情報では、買い手側が正確なシナジー分析が行えず、確実性が低いと判断されてしまいかねません。反対に確度が高い情報を掲載しておけば、買い手は安心して高値を出しやすくなります

この際に注意しておきたいのが、現実にそぐわない情報を載せても意味はないというポイントです。入札後にはデューデリジェンス(投資対象企業の価値、リスクなどの調査)が待っています。その時に正確性の低い情報が発見されれば、買い手主導で価格が修正されます。一時的に良い情報を見せても意味はないので、正確な情報を提示しておきましょう。

まとめ

本記事では、M&Aの成功、失敗を分ける重要な要素である『シナジー効果』について詳しく解説いたしました。M&Aを行う目的とは、もはや、シナジー効果の獲得であって、シナジー効果なくしてM&Aの成功はないといっても過言ではないでしょう。

ですから、これからM&Aを実施しようと考えている方は今回ご紹介したシナジー効果が期待できるM&Aの特徴、発生させるためのポイントをしっかり頭に入れておかなければなりません。ただ、シナジー効果ばかりを気にして、隠れていた債務が発覚したり、蓋を開ければ優秀な人材が退職していたなどのトラブルが起きないよう、入念に調査を行って契約を進めていくことも大切です。

ただし、専門家の調査や助言などを受けずにM&Aを実施してしまうと、どちらかの企業に隙をとられてしまったり、損する方向に契約を進められてしまったりする可能性があります。M&Aでシナジー効果を狙いたい場合は、是非、DX承継くんお問合せ窓口までお気軽にご相談ください。

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