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今話題の敵対的買収の成功率やメリットは?事例も5例ご紹介

大人気ドラマ半沢直樹や、大戸屋とコロワイドのM&Aニュースなどから、『敵対的買収』という言葉をよく聞くようになった方も多いのではないでしょうか。

実際に現在この記事を見ていただいている方の中には、半沢直樹で出てきた、もしくは大戸屋とコロワイドがもめている、『敵対的買収』とは一体何なのかというところが検索のきっかけだったという方もいらっしゃると思います。

よく耳にするとはいえ、それが実際どのような買収方法で、『敵対的』という言葉の意味から少しリスクがありそうな気もするが実際成功率などはどれくらいなのか、詳しくは知らない方が殆どであるはずです。

そこで本記事では今話題の『敵対的買収』についての疑問のあれこれについて詳しく解説し、敵対的買収のその他の事例についてもご紹介していきたいと思います。

敵対的買収とは

敵対的買収とは、簡単に言うと相手企業が同意をしていないのにも関わらず、一方的に買収を仕掛けることです。具体的には、取締役会などで同意を得ずに市場外で株式の取得を始めることで、発行済みの株式を集めて特別決議の拒否権を得たり、対象会社への発言力を高めたりします。

ただ、日本で行われるM&Aのうち約8割以上は敵対的買収の反対、『友好的買収』であり、敵対的買収は全体のうち2割程度しか実施例がありません。というのもM&Aは双方の企業にとってメリットがある場合に行われることが多く、被買収側も買収側の企業とM&Aを行うことで自社にもメリットがあると感じれば同意をしたうえで実行する『友好的買収』となることが多いからです。

現状話題となっている、大戸屋とコロワイドの場合は、大戸屋がコロワイドとM&Aを行うことにメリットがなかったとして、買収を拒んでいる状態になります。同事例についての詳しい解説は下記の記事をご覧ください。

【大戸屋VSコロワイド】敵対的買収に発展でTOBの行方はどうなる?

・敵対的買収の成功率が低い理由

敵対的買収は実施例も非常に少ないですが、成功率も非常に低いと言われています。その理由は2つあり、1つは被買収側が買収されないように買収防衛策をとってくること、2つ目は株主や労働組合の賛成を得にくいことです。

被買収側は買収をされたくないので、買収防衛策をとります。その買収防衛策は下記の4パターンがあり、それぞれの解説については以下の記事にて詳しくしておりますのでご覧ください。

①ポイズンピル

②ホワイトナイト

③パックマンディフェンス

④クラウンジュエル

半沢直樹に学ぶ!敵対的買収の4つの防衛策で倍返し

これらを被買収側に実行されることによって、買収側は買収が計画通りにできなかったり、買収活動を中止しなければならなくなったりします。

また、事前の通知がなく株式取得に踏み切った敵対的買収では、株主から買収の目的に疑問を抱かれやすくなります。そのため、株価より高い買い付け価格を提示されても、株主は株式の売却に応じなかったり買収に賛同しなかったりすることが大半です。

これらのことから、敵対的買収の成功事例は少なく、買収をすすめても結局は失敗に終わることが殆どであると言えます。

敵対的買収のメリット

ここまで解説した中では敵対的買収にはなんのメリットもないように感じられますが、どのようなメリットがあって、一定数実施する企業があるのか気になるところです。

主に考えられるのは下記のようなメリットになります。

①株式を高値で買収できる

②買収計画が立てやすい

③コストがかからない

①株価の買い付け価格を高値にすれば買収しやすくなる

まずは、株式を高値で買収できるという点です。買収側が株価よりも高い買い付け価格を提示すると、被買収側の株主は短期的な利益を得ようと株式を手放したくなります。

つまり、買収資金に余裕があれば、高値をつけることで株式の買収がしやすくなるということです。

②買収計画が立てやすい

また、あらかじめ買収する株式の数、買い付け価格、買い付けの時期をあらかじめ決めることができる敵対的買収は、買収計画が立てやすいという面でめりっとがあります。

想定した買収額と期間で対象会社の株式を取得できるのであれば、プロセスも明確にすることができるでしょう。

③コストがかからない

通常通り市場で株を購入すると、自社の購入により株価の上昇を招き、コストが余分にかかる可能性があります。また、追加の購入では株式に高値がついてしまい、買収にかかるコストを増やしかねません。

その点、敵対的買収は指定した価格で株価を買い取ることができ、買収する株式の数に制限を設けることができるので余分な株式を購入したり、コストをかけてしまうリスクを防ぐことができます。

敵対的買収の成功事例

ではここからは、敵対的買収の成功事例はどのような例があるのか、実例をあげて解説していきます。

・コロワイドによる大戸屋HDへの敵対的買収

まずは大戸屋を運営する大戸屋HDと、牛角やしゃぶしゃぶ温野菜等を運営するコロワイドの敵対的買収の例です。

簡単に経緯を解説すると、コロワイドは大戸屋の筆頭株主であり、大戸屋に対して『セントラルキッチン』を取り入れるよう指示をしておりました。ところが大戸屋は創業当初から『家庭の味が楽しめる定食屋』として自店舗での調理を売りにしており、セントラルキッチンの導入、およびコロワイド傘下にはいることを拒否していたのです。

そうしたことから、コロワイドによる大戸屋の買収は、敵対的買収へと発展していました。

そして2020年9月9日、コロワイドは大戸屋の株式のうち47%の取得に成功し、敵対的買収が成立しました。今後コロワイドは大戸屋の業績の立て直しを急ぐ方針です。

【大戸屋VSコロワイド】敵対的買収に発展でTOBの行方はどうなる?

・日本アジアグループによるサンヨーホームズへの敵対的買収

2018年4月、日本アジアグループは、サンヨーホームズに対して資本関係の強化によって利益を拡大させることを目的に敵対的買収を実施しました。

TOB成立条件として下限をつけていなかったため、TOB自体は成立しています。日本アジアグループは資本関係の強化をすることが目的でしたので、敵対的買収による取締役の派遣や経営の支配は行わず、現状を維持する方針です。

・エフィッシモ・キャピタル・マネージメントによるセゾン情報システムズへの敵対的買収

2015年2月、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントはセゾン情報システムズへの敵対的買収を成功させました。もともと双方のやり取りについては2011年から行われており、なかなか成立とならなかったものの、2015年2月にエフィッシモ・キャピタル・マネージメントによって株式の追加取得を許す形となっています。

エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは敵対的買収の目的として、純投資をあげており、経営への関与を行う目的ではありませんでしたので、株式の保有率を33%にとどめている状態です。

・英国企業による国際デジタル通信への敵対的買収

国際デジタル通信は英国企業、ケーブルアンドワイヤレスに敵対的買収をしかけられ、国際デジタル通信は資本提携をしていたNTTにホワイト役を求めました。

しかし度重なる買い付け価格の引き上げには応じることができず、結果的にケービルアンドワイヤレスが発行済み株式のうち97%を取得して敵対的買収を成功しています。

通常の株式取得では50%以上でその企業の経営権を掌握できるためそれを目指す企業が多いですが、この例のように97%という株式を取得すると、被買収企業の経営や重大な決定事項の殆どを買収企業が行うことができるようになります。

 

・韓国企業M&FCによる日本精密への敵対的買収

2007年8月、韓国企業のM&FCは日本精密への敵対的買収に成功しました。

韓国企業による日本企業の敵対的買収の成功事例は、この例が1例目で、M&FCは経営不振に陥っていた日本精密を買収することで立て直しを図る目的であったといいます。

実際この時M&FCは敵対的買収により、日本精密の発行済み株式の49.81%を取得し、筆頭株主になったことにとどまらず、自社が推薦した人物を経営陣に参加させることで経営権の掌握に成功しました。

まとめ

本記事では、今話題の『敵対的買収』について取り上げ、メリットや事例を挙げて解説いたしました。

敵対的買収は日本ではあまり行われていないM&A手法ではありましたが、コロワイドが大戸屋に対しての敵対的買収に成功し、今後大戸屋の業績を右肩上がりで上げていくことができれば、今後日本のM&A市場においても『敵対的買収』の見方が変わってくるのではないでしょうか。

尤も、コロワイドはこれまでアナログであった大戸屋の運営形態を、セントラルキッチンを導入することで業務効率化につなげ、業績アップにつなげていきたい方針です。世の中のあらゆる企業が買収したり買収されたりしながら、ビジネスのあり方も変わっていくときなのかもしれませんね。

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