M&A

M&Aでの後継者探し成功のために欠かせない『トップ面談』とそのポイント

M&Aでは最終的な契約締結を行う前に、売り手と買い手の意思決定権者が顔を合わせ、お互いの理解やM&Aの方針について意見交換をする場です。

このトップ面談について、顔合わせ程度と軽く考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、売り手側からすればトップ面談は、信頼できる後継者かどうかを判断する採用面接といっても過言ではありません。それだけM&Aにおいて『トップ面談』は重要なモノであるということです。

本記事では、トップ面談で売り手側が優秀な後継者かどうかを見抜くためのポイントについて解説すべく、トップ面談をする意義や準備物などから丁寧にご説明してまいります。

M&Aにおけるトップ面談の7つの意義

M&Aでは、いくつかの買い手候補がいる中でトップ面談次第で買い手を選ぶ場合もありますし、買い手候補が一社であってもトップ面談で買い手にふさわしくないとされれば、M&Aを取り下げる可能性もあるほど、トップ面談は重要な行程の1つです

まずは、M&Aにおけるトップ面談の意義や役割について解説していきます。

・経営者同士のご挨拶の場

トップ面談は、まず、経営者同士が初めて顔を合わせるご挨拶や顔合わせの場です。M&Aは双方にとって大きなお金の動く、企業の中でも重要な取引となります。

面接をなくして企業へ人材の採用ができないように、M&Aでも経営者同士の面談なくしてM&Aの取引や契約を締結させることはできません。

経営者同士のご挨拶の場というのが、トップ面談の第一の意義として挙げられます。

・売り手と買い手の意見交換の場

そもそも、買い手と売り手の経営者同士はこの時初めて顔合わせをしますので、殆ど相手企業のことを知らない状態です。現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオンラインによるトップ面談も増えているかもしれませんが、基本的には現場を訪問し、その場で雰囲気を見たり、社風を理解する場として活用されます。

そして、経営方針などの意見交換をしていく上で、自社とマッチするのかというところを見定めていくわけです。

・売り手が買い手の品定めをする場

率直にいうと、売り手側からすれば、トップ面談は買い手の品定めをする場でもあります。買い手の候補が何社かある場合等、トップ面談をしたうえで、どの経営者と波長が合うのか、どの経営者に今後の企業を任せたいと思ったのか、どの企業の社風が現状の売り手企業の社風とマッチしそうなのか、検討材料となります。

売り手企業は、トップ面談で経営者の人柄はもちろんのこと、従業員の仕事に対する姿勢等も見ておくと良いでしょう。

・買い手はアピールの場

そして、買い手側からすると売り手企業へのアピールの場です。人材採用面接などでも同様ですが、結局は企業に自分を売り込むことが受験者の目的であり、採用してもらうための手段となります。

それと同じで、トップ面談で買い手企業は様々なアピールをしてきますので、売り手側は多種多様なアピールを受ける中で、誠実かつ自社に合う企業を選ぶということも1つの指針であります。

・買い手が売り手側経営者の信頼性などを見極める場

買い手企業からしてみれば、膨大な資金を払って企業を買うというわけです。お金を払うからには買い手側は本当に売り手企業が信頼できる企業なのかどうかを見極めてくるでしょう。

また、買い手側はトップ面談の後、隠れた債務がないかなどのチェックのためにデューデリジェンスも実施します。買い手側は売り手側の経営者を見る際、『誠実に経営を進めてきた人なのか』『この企業を買っても損はしないのか』『今後成長させられる可能性が大いにあるのか』というところを主に見てくるかと思いますので、トップ面談の時点で不安を抱かせないよう、誠実に対応していくことが重要です。

・M&Aに対する双方の価値観を探る場

M&Aでは売り手買い手それぞれにM&Aに対する価値観や考えがあります。また、トップ面談が終わったらM&Aの交渉に入りますので、相手が何に譲歩できて、何に譲歩出来ないのか等を理解しておかなければなりません。

特に売却価額の交渉などでも、双方が譲歩しやすいところを知っておくことで、共に納得できる落としどころを見つけることもでき、スムーズに取引を進めることができるようになります。買い手は少しでも安くで買いたいと思うでしょうし、その割に従業員やその他資材などもそのまま受け継ぎたいと思うのが当然です。

金額交渉などになると対決モードともなりかねませんので穏やかなトップ面談のうちに、相手の価値観や考え方、譲歩できる部分などを探っておくと良いでしょう。

・M&A後の展望などをすり合わせる場

M&Aで事業や会社を売るということは、売り手側にとって、今後の経営はトップ面談で選んだ企業、経営者に任せるということです。

買い手側が自社を買い取って、今後どのように成長させていきたいと思っているのか、そして、自社が思い描いていた今後の展望とマッチするのか、そういったM&A後の展望などを語り合うことも1つ、検討材料となります。

当然、M&Aは売却して終わりではありません。売却したその先、企業が更に成長したり、大きくなっていかなければM&Aは成功したとは言えないシビアな世界なのです。展望が明確になっていて、かつ自社の考えに合うような企業とM&A取引を行うと、成功しやすくなるのではないでしょうか。

M&Aでトップ面談を成功させるために準備すべきこと

と、このようにトップ面談は売り手企業買い手企業双方の顔合わせであるのに加えて、本格的な交渉につながる重要な行程であるということが分かります。

むしろM&Aにおいて重要でない工程などないのですが、特にこのトップ面談は売り手企業にとっては、良い後継者を見定めるための最初で最後の面談なのです。そのため、トップ面談を行うにあたって、売り手側の企業は準備も入念にしておかなければなりません。

・買い手企業の意向表明書を熟読しておく

意向表明書とは買い手企業の自己紹介やM&A後の事業計画書を記載した書面です。トップ面談をする前に、相手企業の意向を知っておくことでトップ面談の際に質問したいことなどをまとめておくことができます。

売り手側企業からの質問だけでなく、買い手側の企業から、意向表明書を読んでマッチングする可能性はあったかなど意見を求められる可能性もありますので、しっかりと読んでおくようにしましょう。

・相手の情報を集め、知っておく

意向表明書だけでなく、相手企業のホームページや相手企業が展開しているサービス等に目を通したり、情報収集をしておいたりすることで、買い手企業それぞれの特徴を見出し、自社を譲渡することでどんなメリットが生まれるのか等を想像しやすくなります。

後は、転職の口コミサイトなどに目を通すことで、従業員が実際に働いて働きやすいと感じているのか、はたまたそうではないのか等を生の声を知っておくことができます。この後にも別途解説しますが、M&AではM&Aの手法によっては従業員もそのまま譲渡対象となることもありますので、働く現場などの意見も情報収集しておくとよいでしょう。

・買い手企業に移籍する従業員のことを考える

株式譲渡などM&Aの手法によっては従業員も譲渡対象になります。つまり、M&Aをすることによって、M&A後勤めていた従業員は買い手企業の従業員に変わるということです。

意向表明書を読んだり、相手企業の情報に目を通していく上で、今後買い手企業で働くことになる従業員がどんな環境であったら、働きやすいのか検討しておく必要があります。そして、従業員に対する待遇は売却後どのようにしてほしいのか、意向を固めておくことも重要です。

もし従業員に関する取り決めが曖昧ですと、買い手企業の良いように進められて、結局M&A後に従業員がやめてしまったり、従業員から恨みを買ってしまう可能性もありますので、慎重に準備をしておきましょう。

・求めている買い手企業を明確にしておく

従業員に関してのことももちろんですが、どんな企業に経営を引き継いでほしいのか、求めている買い手企業を明確にしておくことも重要です。

当然トップ面談では買い手企業は良い面をアピールしてきます。そうすると、良い面ばかり見せられると、それぞれ良いなと思ってしまうものです。

軸がぶれてしまいますとその後のプロセスも崩れてしまう可能性がありますので、何故M&Aが必要で、どんな買い手企業をもとめていて、買い手企業には今後こんな経営をしてほしいといったところまで明確にしておくと、スムーズに進められます。

・求めるシナジー効果を想像しておく

M&Aにおいてシナジー効果が得られない取引は失敗といっても過言ではないほど、M&Aを行うにあたって『シナジー効果が得られるかどうか』というところは重要視されています。

それゆえ、新規事業参入を目的とした異業種が買い手の場合、捕らぬ狸の皮算用にしか思えないシナジー効果を持ち出してくることがあるかもしれません。売り手側としては、それが実現すればうれしいと感じるものであったとしても、トップ面談でしっかりと話し合い、それが本当に実現できそうな会社であり、信頼できそうな経営者であるのか、見極める必要があります。

トップ面談で良い後継者を選ぶためのポイント

そうはいっても、書面上、面談上はどの企業も良い買い手企業見える可能性もありますし、逆にどの企業も今後の経営を任せたいと思う企業に当てはまらないといった可能性もあるかもしれません。

ここからはトップ面談で良い経営者を選ぶためのポイントについてお伝えいたします。

・相手の話を聞くこと

1つは相手の話を聞くことです。それはM&Aに関連する話だけではなく、他愛もない話でも同様で、相手と話しをしているうちに普段の考え方などを聞き出せたり、トップ面談で顔を合わせなければ聞くことができなかった話を聞くことができるかもしれません。

・信頼できるかどうか

後は、何においてもそうですが、信頼できるかどうかというところが最も重要です。結局信頼できない相手には何も任せることはできませんし、不安になってしまいます。

これまで手塩にかけて作り上げてきた企業を売り渡す、その相手はまさに信頼できることが重要であるといえるでしょう。それは人間的に信頼できる経営者かどうかというところに加えて、M&Aで後継者となったのち、会社を成長させていくことができるのか、そういった面での信頼性も必要です。

まとめ 

トップ面談で良い後継者が見つからなければ妥協する必要もないと思います。必要なことは、M&Aプロセスを明確にしておくこと、今後の経営方針の展望とマッチする企業かつ信頼できる経営者を選択する審美眼を持っておくことです。

しかし、あまりにもこだわりが強すぎると、トップ面談の時点で脱落させてしまう買い手企業ばかりで、なかなか交渉まで進むことができないこともあるかもしれません。妥協も必要というわけでなく、絶対に譲れないことをいくつか決めて置き、それ以外のことは他の面で補える可能性があるのであれば交渉を進めてみるのも良いでしょう。

トップ面談は、売り手側にとって良い後継者を探すための重要なターニングポイントになります。今回解説したポイントを押さえて、M&A専門家の助言も取り入れながら丁寧に進めて行くことが重要です。

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