ベンチャー企業の起業家必見!ベンチャー企業がM&Aを行うときに知っておきたいEXIT戦略とは?

起業家がベンチャーを起業する目的の1つとしてあげられるのが、M&Aを実施し投資回収を得ることができる『EXIT(エグジット)』をおこなうことです。

日本の企業におけるEXITでは、これまで株式公開(IPO)が利用されてきましたが、IPOでは新規上場が行えるベンチャー企業は非常に少ない状態でした。しかし、近年、ベンチャー企業のM&AによるEXITは大手企業への高額バイアウトが流行しており、起業家は高額なキャッシュを手にしたり、起業家としての経験を重ねたりできるようになってきています。その上、買い手の大手企業もベンチャー企業のM&Aには積極的です。

本記事では、ベンチャー企業のM&Aや、EXIT戦略等について解説いたしますので、ベンチャー企業の起業家でM&AによるEXITや高額バイアウトを狙っている方は是非参考にしてください。

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ベンチャー企業がM&Aを行う理由

そもそも、ベンチャー企業の起業家がM&Aを行う理由としては下記の2点があげられます。

①成長戦略としてのM&A

②EXIT戦略としてのM&A

①成長戦略としてのM&A

発展途上にあるベンチャー企業は、自社の成長戦略としてM&Aを行うケースが多くあります。ベンチャー企業でなくても、シナジー効果などを求めてM&Aを実施する場合もあり、自社に持っていない他社の強みとかけ合わせることで企業として成長することを目的としています。
特に、資金やノウハウ、専門人材を提供可能な企業に共同経営者になってもらうことで、マーケティング機能を補完して自社単独では難しかった成長戦略の計画が可能になります。

②EXIT戦略としてのM&A

2つ目にEXIT戦略としてのM&Aです。ベンチャー企業の起業家が個人的に負っていた債務などをM&Aを行うことで個人保証を外すことなどが可能になります。EXIT戦略についての詳しい解説は事項で解説いたしますので、そのままご覧ください。

ベンチャー企業の『EXIT』とは?

では、ベンチャー企業のEXITとはいったい何かという点ですが、EXITとはハーベスティング(収穫)ともいわれ、一般的に投資回収を指します。ベンチャー企業のEXIT戦略は、株式公開にあたるIPOと、バイアウトにあたるM&Aがあげられ、いずれも基本的には保有している株式を現金化するのが目的です。

海外のベンチャー企業のEXIT戦略のうち約9割がM&Aを実施しておりましたが、日本ではこれまでIPOでEXITを目指すのが殆どでした。しかし、近年では日本でもM&Aが盛んになってきたことや、大手企業とのM&Aを実施することで高額バイアウトを狙えることから日本でのベンチャー企業のEXITでもM&Aが多く用いられ始めています。

また、EXIT戦略を明確にしておくことは、起業家や経営陣のモチベ―ションの向上にもつながるとされ、従業員等のインセンティブアップとともに事業を進めていく上での推進力となる可能性があるとされています。このことから、前述で解説したように、ベンチャー企業のビジョンを、EXITや高額バイアウトを目標としている企業が多くなってきているということが説明できるでしょう。

ベンチャー企業がEXIT戦略としてM&Aを行う理由

ベンチャー企業がEXIT戦略としてを行う理由は下記の3点があります。

①投資回収をするため

②時間的、費用的コストを削減するため

③M&Aによるシナジー効果が見込めるため

1つは、前述にも申し上げた、高額な投資回収をするためです。

また、IPOでは、株式上場に時間がかかり数年単位での準備が必要となるのが一般的であり、その上株式上場の準備に向けた人材の確保や社外のコンサルタントへの業務依頼などのコストもかかると言われています。株式上場をすれば高額の利益を得ることはできるかもしれませんが、M&Aではあくまでも当事者間の合意ですので、早ければ極端な話だと経営者間の一回の面談で決まることも在り得ます。

それ以前にかかるコストや時間が削減できるため、結果的にはM&AもIPOもあまりリターンが変わらないということもあり得るため、より短時間で利益の得られるM&Aを選択する企業が多いということでしょう。

更に、M&Aでは自社以外の他社と相互補完関係になることでシナジー効果を得ることができ、EXIT後のビジネスを効率的に成長させることができます。シナジー効果の代表的な例としては、コスト削減、売り上げ増加、販路拡大、事業拡大などがあり、資金計画に余裕ができるなどのメリットがあることから、EXIT戦略でM&Aを実施するベンチャー企業が増えています。

EXIT戦略におけるバイアウトの種類

『バイアウト』とは、売り手側目線から言うと『合併』や『売却』を表すものです。バイアウトの種類は3つあり、

1つは、現在の経営者陣が後継者となり、相手企業に株式を売却することで経営権を承継する方法である『MBO(マネージメントバイアウト)』

M&Aにおける『MBO』と『TOB』の違い

2つ目は、買い手の企業の従業員に株式を売却することで経営権を承継する方法である『EBO(エンプロイーバイアウト)』

3つ目は、買い手の企業が、売り手の企業の資産や今後期待されるキャッシュフローを担保として金融機関等から資金調達をしたうえで、売却に至る方法である『LBO(レバジッドバイアウト)』です。

MBOとEBOの違いは、前述の通り、買い手の企業の誰が株式を購入するのかという点で、いずれも買い手の企業の社内の人間が買主です。一方LBOでは社外の人間、第三者が株式を買収するという点に大きな違いがあります。

特に、LBOでは金融機関等から資金調達をし、今後事業の改善等から得た利益からキャッシュを返済していく形となりますので、買い手側としては自己資金がなくても買収することができるため、将来性のある事業はスムーズにM&Aが進む可能性が高いです。

ベンチャー企業がEXIT戦略としてM&Aを行うメリット

まずはベンチャー企業がEXIT戦略としてM&Aを行うメリットを見ていきましょう。

他社とのシナジー効果

M&AによるEXIT戦略のメリットには、シナジー効果が期待できるというものがあります。たとえば他社の経営ノウハウや、経営資源と融合することによって、事業拡大も期待できるということなどです。自社単独で経営していた頃に比べると、遥かにスムーズかつスピーディーに拡大できると考えられます。また大手企業の参加に入れば、金融機関や取引先への信用力アップにもつながる可能性もあるでしょう。

基本的にベンチャー企業が得られるシナジー効果には、以下のようなものが挙げられます。

・販売シナジー … 相手企業の流通経路などが使えるようになる。

・投資シナジー … 設備などを共同で活用できるようになる。

新しく事業を興したばかりのベンチャー企業では、大規模な流通経路や設備をまだ持っていないケースもありますよね。M&Aで相手企業と流通経路や設備を共同で使うことにより、新規開拓や設備投資にかかるコストが大幅に削減できます。自社の経営資産活用の機会も増加するので、事業規模をさらに拡大できるようになるのも、シナジー効果と考えられます。 

統合する企業によって、どのようなシナジー効果が発生するか変わってきますので、M&Aによってどのようなシナジー効果を期待するのか、慎重に見極め、売却企業を選ぶ必要があります。

必要コストが低い

従来、EXIT戦略といえばIPO(株式公開)が主流でした。しかしM&Aの流行により、EXIT戦略として利用するケースが増えています。M&AはIPOと比べても、必要コストが低く済むのがメリットの一つです。逆にIPOは時間がかかりやすく、株式上場に数年単位の準備が必要とされてきました。その準備に向けた人材確保や、業務依頼などのコストも発生します。

M&Aでは、IPOに適した社内体制を構築する必要がありませんので、人材、費用、時間といった経営資源を浪費することなく、事業運営に集中させることが可能となるでしょう。

株式を現金化できる

基本的にM&Aは、売り手と買い手双方の合意が形成されれば、売買が成立します。合意の成立後は株主が持つ株式が売却されて、現金化されます。近年、起業家の間では「シリアルアントレプレナー」というスタイルが注目されているのを、ご存じでしょうか。これは連続して何度も新しい事業を立ち上げる起業家(アントレプレナー)を指す言葉です。M&Aで事業を売却し、より大きな資金を確保しては、また次の事業を立ち上げる連続事業家もいます。こうしたスタイルが実現できるのは、M&Aならではのメリットと言えるでしょう。

売却の条件がない

M&Aのメリットには、売却の条件がないことも挙げられます。IPOの場合では資本金や利益額など、定められた条件をクリアしなければいけません。しかしM&Aなら、買い手先の企業さえ見つかれば、資本金や利益額といった条件を満たさなくても大丈夫です。

短期間で利益が得られる

M&AはIPOと比べると、遥かに短期間で利益が得られます。買い手側の企業が買いたいと思った時点で成立するので、IPOよりスムーズにEXITが実現できるでしょう。近年では、導入期・成長期・成熟期・飽和期・衰退期の5つのサイクルからなる「プロダクトライフサイクル」が短くなっています。そのためマーケットの変化も激しく、長い時間をかけてしまうと予想していたEXITが実現できないリスクも出てきます。M&Aなら短期間でEXITの実現が可能なので、IPOよりもM&Aを選択する企業が増えているのです。IPOが数年がかりなのに対して、M&Aは数ヶ月、短い例だと3日で行われた事例もあります。IPOよりも遥かにハードルが低い手法であると言えるでしょう。

 

ベンチャー企業がEXIT戦略としてM&Aを行うデメリット

EXIT戦略としてM&Aを行うには、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

譲渡した株式の経営権を失う

M&Aで株式を譲渡すると、起業家は譲渡した株式分の経営権を失うことになります。事業への経営関与度合いが下がれば、後に企業価値が上昇した場合にも、得られる利益が少なくなってしまいます。また経営権がなくなることで、従業員や取引先にも影響が出るでしょう。たとえば取引先との契約方法や内容が変われば、取引自体が中止になる可能性もあります。こうしたトラブルを避けるためにも、M&Aを行い際には関係者に十分な説明を行ってください。

M&AでEXIT戦略に失敗する可能性もある

M&Aを行った結果、EXITに失敗したというケースも存在します。たとえば買い手側が事業拡大のために、ベンチャー企業を買収した事例を挙げてみましょう。近年ではプロダクトライフサイクルが短くなっているので、短期間の間にベンチャー企業のビジネスモデルが古くなり、競争力が発揮できなくなるというケースもあります。その結果、買い手側企業がマネジメントや資金・リソースなどの提供を行わなくなり、業績は悪化。最終的に減損処理を強いられることになるという事例も見受けられます。

また買収された後に、売り手側と買い手側の従業員が方向性を巡って対立するという事例も、少なくありません。売り手側のベンチャー企業に在籍していた優秀な人材が次々と会社を去り、事業が閉鎖に追いやられたケースも見受けられます。このように、M&Aを行うとEXIT戦略に失敗する可能性もあります。これらは買収額など表面的な要素を重視した結果に発生しやすいデメリットです。金額交渉も大事な要素ですが、本当に大事なのはM&A後も事業が続いていくことだと、肝に銘じておきましょう。

利益が少ないケースもある

M&AのEXIT戦略では、IPOに比べると得られる利益額が少なくなるケースもあります。IPOは将来的にベンチャー企業が成長する場合、株価が上昇するので得られる利益額も高くなっていきます。M&Aでも将来性を考慮して売却金額が決定されるでしょう。

しかし将来的に得られる利益を、正確に予想するのは困難です。そのため最終的な利益額が、IPOに比べると過小評価される可能性もあると留意しておいてください。

M&Aに向いているベンチャー企業の特徴

買い手から高く評価され、M&Aに発展するベンチャー企業は多くあります。ベンチャー企業のEXIT戦略としてはIPOとM&Aがあるわけですが、実際M&Aを実施するのに向いているベンチャー企業の特徴とはどんな要素があげられるのでしょうか。

①将来性があるベンチャー企業

まずは、M&Aにおいて買い手がよく見るポイントとしても挙げられる『将来性があるかどうか』です。将来性がある企業は、当然M&A実施後のシナジー効果も大いに期待することができるでしょう。更に、ベンチャー企業のM&Aにおいては、大企業とM&Aを行うことで高額バイアウトを狙える可能性が高くなるわけですが、大企業では生み出すのが難しいような新たなアイディアや技術を持っている場合も買い手がつきやすくなります。

現時点では利益がそれほどついていないという場合でも、買い手にとって将来性があると見込まれ、魅力的に移るような強みを持っている企業であれば、M&Aに向いているベンチャー企業であるといえるでしょう。

②ある程度の顧客を所有しているベンチャー企業

また、M&Aでは売り手の企業がどれだけの取引先や顧客を所有しているかというのも重要な判断材料になります。特に、ベンチャー企業では若い取引先や顧客が対象になる可能性も高い為、若年層の顧客の獲得をすることで販路拡大を目指している企業からのオファーがくる可能性もあるかもしれません。

いずれにせよ、魅力的な取引先や顧客を所有しているとM&Aで買い手がつきやすくなります。

③優秀な人材がいるベンチャー企業

また、将来性があるという部分と少しかぶるかもしれませんが、現在あまり利益が出せていないベンチャー企業でも優秀な人材がいれば、将来的に利益をあげられる人材であると見込まれ、買い手がつきやすくなるケースもあります。

というのも、人材の採用には通常多大なる時間とコストを要する上に、砂漠で宝石を見つけるくらいの確率でしか自社にあった優秀な人材を最初から採用することはできません。採用したとしても一定の期間は教育が必要であったり、試用期間が儲けられる場合もあるでしょう。

それに対して、買い手からしてみればM&Aで優秀な人材を一気に確保すると時間的にも費用的にもコスト削減ができるようになるというわけです。

ベンチャー企業のEXITにおいてM&Aを検討している方は、日ごろから優秀な人材の教育と、ベンチャーならではの商品開発、営業ノウハウ等を蓄積しておくと良いかもしれません。

まとめ

本記事では、ベンチャー企業におけるM&Aと、M&AでのEXIT戦略について解説いたしました。

ベンチャー企業は、何十年も続いている大企業に比べて発展途上でスピード感のある企業が多いです。それゆえ、大企業にとってはマンネリ化した経営体制や営業戦略に新しい風を吹かせたいと考えたとき、ベンチャー企業とのM&Aが頭に浮かぶ大企業の経営者も少なくないでしょう。

EXITは直訳すると出口ですが、EXIT戦略は新しいフェーズに踏み入れるための道しるべとも言えます。事業を効率的で有利に拡大する手法として、早い時期からM&Aを選択肢に加えて、先々を見据えておきましょう

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