Web制作会社のM&Aはどの手法で行うのが一番良い!?

近年多くの場所でインターネットが利用されるようになったことで、企業や店舗などそれぞれがWebサイトを持っていたり、個人でWebサイトを運営したりしている方も増えてきました。

ただ、そんな中webサイトはリッチ化が進み、Web制作会社においてはクライアントからの要求水準が上がっていることから、web制作に必要な技術は高くなってきています。それに対して、競争や競合の激化、慢性的な人材不足などの問題も大きくなっているのも現状です。

Web制作会社に対するニーズは今後も衰えず仕事も増えていくことが予想されるわけですが、人手が不足していればやむなく倒産といったことも考えられるでしょう。そこで活用したいのがM&Aです。

本記事ではWeb制作会社がM&Aを行う際、どの手法を利用するのが良いのかという点について解説してまいります。

Web制作会社のM&A市場について

Web制作会社とは、ECサイトや企業の公式サイトの制作を行っている会社のことを指します。一般的にIT企業といわれることもあり、いわゆるIT業界の1つです。

そんなWeb制作会社を含むIT業界では、2017年は748件、2018年は約1000件がのM&Aが実施されました。特に2018年の全M&A件数の35%を締め、Web制作会社を含むIT業界がM&Aの盛んな業界の1つといえるでしょう。

特に、近年ではインターネットの利用が増えてきているということはもちろんのこと、在宅Webライター、フリーランスなど、様々な働き方がされており、買収ニーズも高く、売却側の企業も最適な買収先を探しやすくなっているということが1つ要因としてあげられます。

また、売却案件が市場にたくさん出ていることで、買収側も希望の条件を満たすWeb制作会社を買収することができる可能性が高まってきています。

Web制作会社がM&Aをおこなう理由

Web制作会社がM&Aを行う理由は、主に下記の4点があげられます。

①後継者不足問題の解決

②大手の傘下入りをして規模の拡大を行うことができる

③譲渡・売却益を得ることができる

④競争力強化を見込むことができる

 

①後継者不足問題の解決

後継者不足問題は、日本の中小企業の約8割が抱えている問題であると言われておりWeb制作会社に限らず多くの業界がM&Aを行う1つの理由となっています。

また、Web制作会社は若手の経営者やベンチャー企業も多いですので、当初からM&AによるEXITや事業承継を目標としている経営者もいます。

このように、Web制作会社などのIT業界においては、後継者不足問題の解決、およびEXIT戦略としての後継者探しとして利用されることが多いです。

ベンチャー企業の起業家必見!ベンチャー企業がM&Aを行うときに知っておきたいEXIT戦略とは?

 

②大手の傘下入りをして規模の拡大を行うことができる

また、大手傘下入りをし、規模の拡大を目指してM&Aを行うケースもあります。特にWeb制作会社では、大手のデザイン会社の傘下に入ることで、新たな事業の展開などを行うことができる場合もあります。

③譲渡・売却益を得ることができる

M&Aの手法によっては、売却の辞典で譲渡益や売却益を得ることができます。そこで多額の資金調達ができれば、新たな事業を立ち上げたり、これまでの債務の返済に当てたりすることができるようになるでしょう。

ただ、新規事業の立ち上げについては事業譲渡の場合一定の期間同じ地域で同じ事業をしてはいけないというルールがあるので注意が必要です。

事業譲渡の解説と詳しい手続きについて徹底解説!

④競争力強化を見込むことができる

Web業界は競争が激化しやすい環境でもあり、同業者同士がM&Aを行うことで双方の強みやサービス体制を活かし、競争を強化するといったケースがよくあります。

前述にも例にあげましたが、Web制作会社がデザイン会社を買収することでデザイン会社のデザイン力と、Web制作会社の強みを合わせることで、更に良質なサービスを提供することができるでしょう。デザインに限らず他にも動画コンテンツの需要増加に合わせて動画制作や映像制作の事業に強みのある企業とM&Aを実施するといったことも考えられます。

このように、Web制作会社においてはWebに対する多様なニーズに対応することで競争力の強化につなげることができるというわけです。

また、これらの自社企業と相手企業の強みをかけ合わせて相乗効果が得られることをシナジー効果と呼ぶ場合もあります。シナジー効果については下記の記事でも詳しく解説しておりますのでご覧ください。

シナジー効果とは、M&Aで最も重要!シナジー効果が期待できるM&Aの特徴と発生させるポイント

 

Web制作会社のM&Aはどのスキームが良い?

M&Aは買収側も売却側も多額の資金をかけておこなうものですので、どちらの企業にもメリットのある、WinWinな取引を行うことができれば一番気持ちが良いです。

Web制作会社のM&Aはどのスキームを選択するのが良いのかといわれれば、やはり企業の状況や、M&Aで得たいものによってそれぞれ変わってきますので一概にこの方法であると提示することはできません。ですので、Web制作会社がM&Aを行う際は、目的やプロセスを明確にしたうえでスキームを選択することが重要になります。

例えば、譲渡益・売却益を現金で得たい場合は事業譲渡や会社売却を選択するのが良いですし、大手の傘下に入り事業を拡大するのが目的である場合は、合併や吸収を選択し子会社化を目指すのが一般的です。

他にも、共同で新事業を行う場合などは資本・業務提携を選択するケースも考えられます。

このようにM&Aのスキームを選択する上で大切なことは、『M&Aの先に何を求めるのか』という点です。目的が明確になっていることで、相手企業との交渉をスムーズに進めることができます。

Web制作会社のM&Aでは専門家との相談を重ねながら入念なプロセスを練り、適当なM&Aの手法を選択するようにしましょう。

問い合わせはこちらまで

Web制作会社がM&Aを行うときの注意点

では最後にWeb制作会社がM&Aを行うときの注意点について解説していきます。

契約成立までに時間がかかる

Web制作会社に限らずですが、M&Aを行うときはすぐに契約が成立するわけではありません。一般的にM&Aや事業承継手続きは早くて3~6か月、長い場合は1年以上かかることもあると言われています。

M&Aは長期戦であることを念頭に入れ、当面の資金繰や交渉中の企業状態の維持や資料のまとめなどもおこなっていく必要があるといえるでしょう。

従業員が退社するとM&Aに失敗する可能性も

Web制作会社においては特に『人』、従業員が資産です。仮にM&Aで事業を売却するなどの情報が早期に従業員に漏洩してしまえば、不安を覚えた従業員が退社してしまう可能性もあります。そうすると、優秀な従業員や中心となる従業員が抜けてしまえば、M&Aの交渉において不利になったり、もはやM&A自体が行われない可能性もあるので注意が必要です。

従業員へのM&Aを実施するという周知は適切なタイミングで適切に対応していく必要があります。

企業の磨きあげを行う必要がある

Web制作会社がM&Aを行う際は、特に会社の内情に注意を払う必要があります。というのも、Web制作会社は個人が1人で行うことができる事業でもあるため、企業としてWeb制作を行っている会社では少人数で業務を回していたり、経営基盤が不安定であったりする可能性があるのです。

そうすると、コンテンツの魅力も低く経営基盤が不安定であると判断されれば買収側から値下げ交渉をされたり、M&Aを打ち切りにされたりする場合もあります。

ただ、先ほども申し上げたようにM&Aを行うには一定の時間がかかります。M&Aで事業承継を行おうと考えている方は、売却前に会社の磨き上げをしておくとコンテンツや企業の成長性に魅力を感じてもらえた企業とのM&Aが成功する可能性が高くなるでしょう。

Web制作会社のM&A成功事例

次に、Web制作会社で実際にM&Aを行って成功した事例を5つ紹介します。

ジェネレーションパスがカンナートを完全子会社化

2018年9月、ECマーケティング事業などを手掛ける株式会社ジェネレーションパスは、株式会社カンナートを完全子会社化しました。カンナートはWeb制作、事業開発、Web集客・キャンペーンなどの運営といった幅広い事業を展開しています。ジェネレーションパスは、カンナートの発行済株式をすべて取得株式取得を行ったことですることで、完全子会社化に成功しました。

ジェネレーションパスでは「リコメン堂」というネットショッピングサイトの運営や、Web制作・事業開発を手掛けています。また取引先商品の企画サポートや、インテリア・ファブリック商材の製造・販売なども行っています。こうしたEC分野の事業強化も、カンナート完全子会社化の目的として行われました。

カンナートは子会社化の時点で、創業14年目の制作会社でした。WebマーケティングやECサイト運営に確かなノウハウを持ち、エンジニア、プログラマーなど優秀な人材を抱えています。取引先には通信キャリアや食品メーカーまで、幅広い業界の顧客が存在します。大手企業が多く含まれていることも、強みの一つと言えるでしょう。カンナートを完全子会社化したことで、ジェネレーションパス側には以下のようなメリットがあるようですね。

・EC分野の事業強化

・Web制作機能の充実 など

SMN株式会社のASA買収

2019年8月、SMN株式会社(旧ソネット・メディア・ネットワークス株式会社)は、株式会社ASAの株式68.6%を取得して子会社化しました。この買収の目的は、ASAのサービスや顧客接点をグループの事業戦略へ反映することで、事業規模の拡大を目指すというものです。2020年4月7日にSMNが発表した業績修正決算スコアは、+3.31となっています。サービスに関しては、株式会社ASAの売上が連結されたことにより、前回発表予想を上回る見通しと発表されました。

SMN株式会社は、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の子会社です。買収当時の社名はソネット・メディア・ネットワークス株式会社でしたが、2019年10月より、現在のSMN株式会社に変更されました。主にインターネットにおける広告配信・宣伝業務などを主な事業内容としており、マーケティングテクノロジー事業も手掛けています。

ASAはWebサイトやモバイルを始めとして、デジタルコンテンツの制作・開発を主に手掛けています。さらにデジタルコンテンツの検証を行う品質保証(QA)事業など、関連領域で複数のサービスも提供しています。SMNは買収によりASAのサービスや顧客を加えることで、さらなる事業拡大を目標として運営されています。

宝印刷によるイーツーの子会社化

2017年、ディスクロージャーサービスなどを行う宝印刷が、Web制作会社のイーツーを買収しました。宝印刷がイーツーの株式を取得し、非連結子会社とすることの合意書が締結されました。宝印刷にとって、Webサイト構築ビジネスの充実、拡大は一つのテーマです。そのため、この分野に秀でた企業とのシナジーは今後のWebビジネスの活性化に重要であると判断され、株式取得が決定されました。

 

宝印刷株式会社は、ディスクロージャーとIRを専門とする情報加工会社で、主にX-Smart.の開発・販売を実施しています。近年では企業情報利用者である投資者の、Webサイトでの利用状況が拡大していました。多様なニーズを反映して、投資者への情報開示の充実、対話手段の拡大などが求められています。上場企業におけるディスクロージャー・IRサイトの充実ぶりには、格段の進展が見られていました。このようなディスクロージャー・IRツールの一つであるWeb関連の環境変化に、宝印刷も対応が求められています。

イーツーはホームページの企画・制作事業などを展開するクリエイティブ企業です。イーツーの子会社化により、宝印刷ではイーツーが保有するWebサイトに関する技術と連携できるようになりました。企業IRサイト制作から、法定開示情報の自動表示連携まで、ワンストップで提供できるサービス体制を強化すると共に、シナジー効果も見込まれています。

SHIFTがさうなしを子会社化

2019年1月、ソフトウェアの品質保証やテストを専門とする株式会社SHIFTは、株式会社さうなし株式の持分比率100%を取得することで子会社化としました。SHIFTは、幅広い業界のソフトウェア品質保証サービスを展開しています。2005年に創業し、2009年にはソフトウェアテスト事業を手がけるようになりました。それ以来エンタープライズ領域を主軸として、さまざまな業界でソフトウェアの品質保証サービスを手がけています。SHIFTはさうなしを子会社化することで、BtoCだけでなくBtoB領域で活用されるソフトウェア製品まで、カバーを追求していきます。機能面だけではなく使いやすさ、活用性における観点からも追求していくために、買収へと至りました。

さうなしは子会社化された時点で、創業13年のWeb制作会社でした。デザインやビジネスへの理解が強く、以下のような事業を主力として手掛けています。

・Webサイトデザイン・クリエイティブ制作

・ブランド戦略の立案

・コンサルティング など

大手企業からの直接受注を主な案件としており、以下のような幅広い分野の制作を手掛けています。

・ブランドサイト

・採用サイト

・オンラインショップ など

また、さうなしは高い開発力を持つ優秀な人材も抱えています。専門性の高い優秀な人材を確保することで、ユーザーへの最適な品質を届けることも目標とされているようですね

UTグループがレイハウオリを子会社化

2017年には、UTグループ株式会社が株式会社レイハウオリの全株式を取得して、子会社化しました。これはUTグループにおけるITや、Web事業の人材ビジネスを拡大する目的で実施されました。

もともとUTグループは製造・設計・開発といった分野で、無期雇用派遣事業を展開しています。派遣社員の安定雇用を重視した事業が特徴的であり、モノづくり産業への貢献が事業目的とされています。
近年ではエンジニア派遣や、受託領域にも進出していました。レイハウオリを子会社化した時点で1,500人以上のエンジニアが在籍し、さらに未経験者の育成も進められています。株式会社レイハウオリは、高い技術力とデザイン性に強みを持つ企業で、Web制作事業を基軸としています。大手企業から安定・継続した受注実績があり、高い付加価値を持つサービス提供が特徴的だとされていました。

レイハウオリの子会社化により、UTグループはさらにIT・Web領域へと進出しています。UTグループの営業力と、レイハウオリのノウハウをそれぞれ活かすことにより、企業価値の向上に繋げているようですね。

まとめ

Web制作は今後インターネット通信技術の向上もあり、動画コンテンツの需要やECサイトの需要も更に拡大していくことが予想されます。そうした意味でもWeb制作会社のM&Aは今後更に増加していくことでしょう。その中で自社の強みを活かせる他社とのM&Aは更にWeb業界を盛り上げていくきっかけになることもできるかもしれません。

ただ、Web制作会社がスムーズにM&Aを進めていくためには専門家への相談が必須です。専門家と話し合いを重ねながら自社のM&Aを行う目的と、その後のプロセスを明確にし、より効果的なM&Aを行うことができるようにしましょう。

DX承継くんではWeb制作会社のM&Aに関するお問合せを下記のお問合せ窓口から随時受け付けております。ご相談のある方は是非下記の窓口からお気軽にご連絡ください。

問い合わせはこちらまで

おすすめの記事