DX

ZOZOタウンの成功事例から読み解くアパレル業界のDXのポイント

近年とくに、デジタル技術などを活用した企業や事業の変革として『DX(デジタルトランスフォーメーション)』が注目され始めてきました。DXは今後どの業界においても必須事項となっていくことが予想され、アパレル業界も例外ではありません。

しかし、試着ができないといったことから、売り上げの殆どを店舗売り上げでまかなっているアパレル業界にとって、そもそもアパレル業界にはどのようなDXの方法があるのかわからないといった方もいらっしゃるはずです。

そこで本記事では、ZOZOTOWNが行ったDXの事例をもとにアパレル業界のDXにおける問題解決を実施してまいります。

ZOZOTOWNとは

ZOZOTOWNは、前社長の前澤友作氏が2000年に開始したファッション通販サイトです。以前は輸入レコード、CDのカタログ販売を行っておりましたが、2000年にインターネット通販に切り替え、更に取り扱う商品をアパレル商品に限定したことで、ZOZOTOWNは急成長することとなりました。

2019年3月期の商品取り扱い高は3,231億円、年間の購入者数は813万人で、アパレルの通販サイトでは他の追随を許さない堂々の1位であることから、日本を代表するファッション通販サイトであるといっても過言ではないでしょう。

また、ZOZOTOWNはファッション通販サイトのほかにも、ファッションコーディネートアプリ、『WEAR』や古着下取りサービス『ZOZOUSED』などのサービスも運営しており、特にWEARについては月間ユーザー数が1000万人を超えるなど人気のあるファッションアプリの1つとなっています。

ZOZOTOWNが行ったDX

そんなZOZOTOWNがどのようにDXを行ったのかというところを解説していきます。

アプリでアパレル商品を購入させる

1つはアプリなどインターネット上でアパレル商品を購入させるツールを確立させたことです。

これまでは店舗を見て、歩き、アパレル商品を購入するのが普通であった若者の行動を、ZOZOTOWNは、その市場を通販に移動させ、一変させました。これはまさにデジタルを使って起した変革であるといえるでしょう。

マルチサイズプラットホーム(MSP)を導入した

ファッションの購入市場を通販に移した、それだけがZOZOTOWNのDXではありません。

ZOZOTOWNの利用者ならご存知かもしれませんが、ZOZOTOWNでは『身長と体重で選ぶマルチサイズアイテム』というのが存在します。

アパレル商品を通販で購入するとなると、どうしても届いてからでないとサイズ感が分からないなどの問題があります。これを解消するべく、ZOZOTOWNではサイズ選びに悩まず購入できる『マルチサイズプラットフォーム(MSP)』を導入したことで購入者は自分に合ったサイズを購入することができるようになりました。

例えば、とあるデニムパンツを買うときに、『155㎝で40キロ』と入力すれば、『縦はM、横はSマイナス』が推奨サイズと表示されます。

単純にウエストだけでなく、縦と横の組み合わせが選べるアパレル商品が、MSPの対象商品となっているため、少しゆったりではきたいといった場合は、ご自身で調整も可能です。

作業効率化のため、業務もDX化

ZOZOTOWNは、人気アパレルブランドの他にもZOZOTOWN限定のアパレルブランドも展開しています。服を作る工程には、素材の調達などを覗いても企画やデザイン、発注、生産、郵送、配達など、様々な工程を経て購入者に届けられるものです。ZOZOTOWNはその作業工程をすこしでも効率化すべく、デジタル技術に任せられるところは自動化しました。

自動化、デジタルの導入を行った工程は下記の工程です。

①ケアラベルの自動化

②検寸データの連携

③検品データの連携

④進捗管理のデータ化

ケアラベルとは、洗濯の良し悪しやサイズなどが書いてある、服の裏につけられたラベルのことですが、ZOZOTOWNではこれまで自社製品においてケアラベルの作成は専属のデザイナーがPhotoshopを使って作っていたのだそうです。しかし、それでは繁忙期になるとケアラベルの作成に負荷がかかり、生産や発送に遅れが生じてしまいます

そこで、ケアラベルの作成を自動化し、人の手が必要なところは『何を記載するのかの選定』だけになったことで、生産から発送までスムーズに行うことができるようになりました。

また、検寸や検品についても、目視ではなく自動システムに任せることで、データを自動で残すことができますし、何よりヒューマンエラーを防ぐことにつながります。

そして、受注生産の商品に関しては受注数に合わせて服の生産を行います。つまり、服の生産が遅れてしまえば、購入者の手に届くのも遅れてしまうことになるわけです。このように、既存の商品を発送するだけでなく、受注生産を行う場合などは特に生産状況から発送状況までの進捗管理が重要になります。

この作業についても、クラウドアプリ上で行えるようにし、進捗を一元管理することができるようになったことで、遅れがあるものもすぐに把握できるようになり、迅速な対応ができるようになりました。

アパレル業界はIT化が遅れている?

ZOZOTOWNの利用者が年間800万人以上いることで、アパレル商品の通販はすでに世にまかり通っているものであると認識している方も多いでしょう。

しかし、実はアパレル業界は、他の業界と比べてもIT化が遅れている業界とも言われているのです。

試着ができないため通販に向かないとされてきた

というのも、通販では当然ながら試着ができないため実際のサイズ感が分かりません。特に、同じMサイズでもブランドによって実際の大きさが異なります。もちろんECサイト上にはS、M、Lといったサイズ表記と合わせて、着丈や袖丈、身幅の表記がされていますが、自分に適したそれらのサイズを完全に把握しているといった方は少ないでしょう。

アパレル業界で通販の売り上げは10%程度

そうしたことで、アパレル業界における通販の売り上げは全体の10%程度であるとされています。

実際、アパレル業界ではECサイトを展開しているブランドでもコロナ禍で売り上げ激減の大打撃を受けたことからサイトを通した購入者の少なさがうかがえるのではないでしょうか。

そのようなことで、アパレル業界自体はIT化が遅れている、向いていないとされています。しかし、ZOZOTOWNはアパレル商品のインターネット通販で一人勝ち状態ですよね。何故、IT化が進まないアパレル業界で、ZOZOTOWNは成功することができたのでしょうか。

その疑問については、次項から解説していきます。

何故ZOZOTOWNは通販で成功したのか

IT化が進まないアパレル業界、ZOZOTOWNはそうした中でも通販事業で成功しておりますし、アパレル商品の販売以外の面でもIT化、DX化を着々と実践していっています。

ここからは、何故ZOZOTOWNが通販で成功したのかという点について解説していきます。

人気の高いブランドから提携した

ZOZOTOWN発足時、ZOZOTOWNは提携ブランドをまずは『ユナイテッドアローズ』等人気のブランドから行いました。

そうすると、人気のブランドを通販で購入しようとしたお客がZOZOTOWNに集まり、その集まったお客の総客を目当てに他のブランドも続々と提携を申し出たのです。

MSPを導入している

また、先述にも申し上げた『マルチサイズプラットフォーム(MSP)』を導入しているというところについても、成功した要因の1つといえるでしょう。そもそもアパレル業界が通販サイトに向いていないと言われる原因が、この『試着』の面でのリスクでした。

しかし、ZOZOTOWNでは身長体重などを入力したうえで自分の体格に合ったサイズを細かく提示してくれるので、サイズ感が心配で購入できないという方でも安心して購入することにつながったのです。

ZOZO限定イベントの開催

ZOZOTOWNでは定期的に限定のタイムセールや、割引が行われています。中には『あなただけのタイムセール』と称して、これまでにユーザーが『お気に入り』に登録していた商品がセールになったときに、それらをまとめて表示するセールがあります。

これはおそらく、その商品をお気に入りに登録しているユーザー全員に表示されるセールであって、決して『わたしだけ』ではないのですが、ユーザーからしてみると『あなただけ』と言われた特別感で購入にいたるケースもあるようです。

こうした通販限定のユニークなイベントもZOZOTOWNが通販で成功した要因であるといえます。

アパレル業界が考えていくべきDX

ここまでにZOZOTOWNが行ったDXの事例について詳しく解説いたしました。では、これに倣い、アパレル業界はどのようにDXを行っていくべきなのでしょうか。

ここからは、アパレル業界が今後考えていくべきDXやその方法について解説していきましょう。

データの連携による売り上げアップ

1つは、検寸データや検品データ等を利用して、リアルタイムで情報を共有、分析し、生産性向上や機会損失のない販売につなげることです。そうすることで、結果的に売り上げアップにつなげることができます。

現状では、どのような商品が売れていて、どのような商品が売れているなどをリアルタイムで可視化できている店舗も少ないでしょう。

そうしたことを常に把握できるようになることで、おすすめする商品や、おすすめの仕方などもかわり、サービスの向上に役立てることもできるかもしれません。

データ連携で、サービス向上も

また、ZOZOTOWNの事例では、試着をしたいというユーザーのために、必要に応じて返品可能にしたり、身長や体重を入力することで、体系に合うサイズの服をおすす召してくれるサービスがありました。これもDXの一つです。

これは、今後リアルな店舗において、試着が面倒だというお客でも、サイトやアプリ上に慎重や体重などのデータを連携しておくことで、店舗でも試着なしで購入することができるようになるかもしれません。

VRを活用した新作発表も

アパレル業界では、シーズンごとに新作が発表されます。新作の発表は、現状サイトの写真や動画などでしか見ることができません。

しかし、DXの一環としてVRを用いたバーチャルファッションショーを企画している企業もあるようです。場所を問わずに臨場感のある形で参加でき、かつゲーム機能で着せる服のデザインをできる例もあり、顧客体験が充実してきています。

今後は、店頭で気軽にバーチャル試着などもできるようにする店舗も増えてくるかもしれません。

まとめ

ZOZOTOWNはそもそもアパレル商品をインターネット通販で販売するということが自体も『DX』の1つです。しかし、それだけでなく、通販利用者がサービスを安心して利用できるようにMSPを導入したり、内部の業務を効率化してよりよい商品を迅速に届けるためにとデジタル技術を上手く活用しながら改革を起していったことで、日本を代表するファッション通販サイトとなりました。

コロナ禍で人が家にひきこもることが増え、アパレル業界の需要は落ち込みつつあるかもしれません。しかし、そんなコロナ禍、アフターコロナを支える基盤となるのが通販であり、今後は徐々に市場も業務もデジタルに移行していくことが必然であるといえるでしょう。

自社サイトを持っていないアパレルブランドは自社サイトを持つことから始めるのも良いですし、現在ZOZOTOWNで通販を展開しているブランドについても、ZOZOTOWNに習って、内部業務にデジタルを導入するのも、DX化への一歩です。

是非今回ご紹介したZOZOTOWNの事例を参考に、DX化を実践しアパレル業界のITロスを取り戻していく計画を立ててみてはいかがでしょうか。

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